有機溶剤を少ししか利用していない事業場での対応
印刷、洗浄、検査などで少しだけ有機溶剤を利用している事業場がたくさんあるようです。
例えば、週1回、トルエンを洗浄業務で利用している職場があります。トルエンは第二種有機溶剤で、有機則に従って有機溶剤の管理を行う必要がありますが、利用量が月に1gといった極めて少量しか利用しておらず、許容消費量以下の場合はどのような対応をすべきでしょうか?
参照: 有機溶剤 / 有機溶剤中毒予防規則(有機則)
有機溶剤を利用している場合には法令遵守が必須
少量だからといって何もしないことは不適切です。当社に業務をご依頼いただいているお客さまにおいて、有機溶剤を大量に利用している事業場のほうが、少量しか利用していない事業場よりも有機則や労働安全衛生規則などを遵守しているように感じます。
少量か利用していない場合でも有機溶剤による健康被害を防ぐために法令に基づいて対応をする必要があります。
どの物質が有機則に含まれているか
有機則に含まれている有機溶剤は次の通りです。 有機溶剤中毒予防規則(有機則)有機溶剤を少量しか利用していない場合の実施義務
少量かどうかは下記の計算式で求めます。
作業時間1時間に消費する有機溶剤等の量が下の式で許容消費量を超えないときは少量とみなします。
第一種有機溶剤 W=1/15*A
第二種有機溶剤 W=2/5*A
第三種有機溶剤 W=3/2*A
Wは有機溶剤等の許容消費量(グラム)、Aは作業場の気積(最大150立方メートル)
上述の許容消費量を超えない場合、設備の設置及び性能、有機溶剤作業主任者、有機溶剤等の掲示及び表示、保護具の着用といった措置が除外されます。
健康診断、作業環境測定、事故の場合の退避等、有機溶剤等の貯蔵及び空容器の処理については除外されず、法令に従って実施義務があります。
また、労働監督署に届け出ることにより、作業環境測定、健康診断を除外することができますが、この場合においても事故の場合の退避等、有機溶剤等の貯蔵及び空容器の処理については除外されず、法令に従って実施義務があります。