衛生管理の知識

雇入時健康診断の実施時期と健診の省略について

昨今は雇用形態の多様化に伴い、入社時期が年度初めの4月に固定されておらず、様々な時期に入社をする機会があります
事業者は労働者を雇入した際には健康診断を実施する義務がありますが、いつ実施すればいいか?、健診を省略できるか?といったお問い合わせをいただく機会が増えています。

雇入時健康診断の実施時期は入社から1ヶ月以内する必要がある

雇入の際とは、雇入の直前又は直後のことです(昭和23年1月16日付基発第83号、昭和33年2月13日基発第90号)。
雇入時健康診断の目的は常時使用する労働者を雇入れた際における適正配置、入職後の健康管理の基礎資料に資するための健康診断の実施を規定したもの(昭和47年9月18日基発第601号の1)であり、健康管理の基礎資料という点から直後は入社から概ね1ヶ月以内と言われています。
健康診断を受けてから3か月以内の者を雇入れる場合で、健診結果を提出した時は、その項目の健診を省略できる(労働安全衛生法第43条)と定められており、入社から3か月以前に実施した健康診断の結果がある場合には、その結果を雇入時健康診断の結果として利用することができます。
雇入の3か月前の健診診断の結果が有効ならば、雇入時健康診断は、雇入から3か月以内に行えばよいという訳ではありません。

雇入時健康診断はいつ実施すべきか

直前又は直後に実施する必要がある点から、4月1日に入社をする場合には、3月1日から4月30日に実施する必要があります。

原則は雇入時健康診断は省略することができない

原則は雇入時健康診断の実施を省略することはできません。上述の通り健康診断を受けてから3か月以内の者を雇入れ、その健康診断が法定の雇入時健康診断の項目を満たしている場合はその結果を利用することができます。
定期健康診断は、雇入時健康診断を受けた者については、その健康診断実施の日から1年間に限り、その項目の健康診断を省略できる(労働安全衛生法第44条第3項)と定められており、雇入時健康診断を実施した場合には、定期健康診断を省略することができる場合があります。

雇入時健康診断は定期健康診断と異なり項目を省略できない

定期健康診断については、医師の判断による検査項目の一部を省略することができますが、雇入時健康診断については項目の省略はできません。 尚、定期健康診断の項目の一部を省略する際には医師の判断に基づく必要があります。

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