衛生管理の知識

健診実施後は産業医による就業区分の判定が義務

健康診断の診断区分は健康診断機関の医師が判行います。健康診断実施後の就業上の措置(通常勤務、就業制限、要休業)は産業医が判定します。これらは全事業場で実施する義務があります。

健康診断実施後の保健指導は努力義務です。

健康診断の診断区分を判定する医師は健康診断機関の医師

事業者は労働安全衛生法第66条第1項から第4項までの規定に基づき、労働者に対し医師等による健康診断を実施し、当該労働者ごとに診断区分(異常なし、要観察、要医療など)に関する医師等の判定を受ける必要があります。
この診断区分を実施する医師等は産業医では無く、健康診断機関の医師です。産業医は健診結果の診断区分の「判定」する必要はなく、「確認」をすれば足りるものと考えられています。

健康診断実施後の就業上の措置を判定する医師は産業医

事業者は労働安全衛生法第66条の4の規定に基づき、健康診断の項目に異常の所見がある労働者に対して、医師等から就業上の措置についての意見を聴く必要があります。
この診断区分を実施する医師等は産業医です。産業医の選任義務のない事業場(労働者が50名未満)においても医師等から意見を聴く義務があります。労働者数に関係なく、全ての事業場で実施する必要があるため、本社の産業医や当社などを活用して下さい。

産業医による就業上の措置についての意見の内容

産業医は健康診断の結果を確認し、通常勤務、就業制限、要休業といった3区分で判定します。健康診断が行われた日もしくは労働者が健康診断の結果を事業者に提出した日から三月以内に行います。
有所見者を含め、ほとんどの労働者が通常勤務に区分されます。著しい健康診断結果の異常(例えば血圧や血糖が極めて高い、貧血が著しいなど)の場合は就業制限に区分されることがあります。要休業とすることはほとんどありません。

通常勤務

通常の勤務でよいものです。9割以上がこれに区分されます。

就業制限

勤務に制限を加える必要のあるものです。勤務による負荷を軽減するため、労働時間の短縮、出張の制限、時間外労働の制限、労働負荷の制限、作業の転換、就業場所の変更、深夜業の回数の減少、昼間勤務への転換等の措置を講じます。
当社では週5日、フルタイム、日勤、残業禁止、出張禁止、心身への負荷がかかる業務禁止、通院の時間の確保などという意見を付すことが多いです。

要休業

勤務を休む必要のあるもので、療養のため、休暇、休職等により一定期間勤務させない措置を講じます。

要休業とした場合、欠勤による休業補償が発生する可能性があります。労働安全衛生法第68条、労働安全衛生規則第61条による「病者の就業禁止」は、慎重に行う必要があります。就業禁止とする場合は、労働安全衛生規則第61条第2項によりあらかじめ産業医などの意見を聴く必要があります。

(休業手当)第二十六条 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。

産業医からの意見の聴取の方法

産業医は労働安全衛生規則等に基づく健康診断の個人票の医師等の意見欄に、就業上の措置に関する意見を記入します。
事業場によっては個人票ではなく、健診結果に意見を記載することもあり、こちらが一般的な運用のようです。

就業措置を実施する前に労働者からの意見聴取を

>事業者は、産業医の意見に基づいて、就業区分に応じた就業上の措置を決定する場合には、あらかじめ当該労働者の意見を聴きます。十分な話合いを通じてその労働者の了解が得られるよう努めて下さい。

健診結果後の保健指導は努力義務

脂質異常症、高血圧症、糖尿病、肥満、肝機能障害などは生活習慣を変えることで改善することがあります。薬による治療を行っている場合も生活習慣を変えなければ数値が良くならないことがあります。これらのため保健指導はとても大切です。

事業者は、労働者の自主的な健康管理を促進するため、一般健康診断の結果、特に健康の保持に努める必要があると認める労働者に対して、医師又は保健師による保健指導を受けさせる努力義務があります。保健指導を通じて疾病への理解を深め、日常生活面での指導、健康診断に基づく再検査又は精密検査、治療のための受診の勧奨等を行います。

当社では健康診断を産業医が確認し、要医療、要精密検査等と判断された者に対して保健指導を行うことが望ましいと事業者に意見を付すことが多いです。僅かな肝機能障害、尿蛋白±などは対象としません。労働者から産業医や保健師による保健指導を自由に受けられるような体制を作るように心がけています。




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