衛生委員会
衛生委員会は、労使一体となって、労働者の健康障害の防止や、健康の保持増進に関する取り組みなどについて調査や審議を行う委員会です。従業員が50名以上の事業場で月に1回以上行う必要があります。
労働安全衛生法第18条には、事業者(会社)は、政令で定める規模の事業場ごとに、次の事項(健康や衛生に関すること)を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、衛生委員会を設けなければならないと記載されています。
衛生委員会は労使交渉の場ではありませんが、労使が自由闊達に議論できる体制が望ましいです。
労働安全衛生法第18条には、事業者(会社)は、政令で定める規模の事業場ごとに、次の事項(健康や衛生に関すること)を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、衛生委員会を設けなければならないと記載されています。
衛生委員会は労使交渉の場ではありませんが、労使が自由闊達に議論できる体制が望ましいです。
衛生委員会のメンバー
衛生委員会のメンバーを次のように選ぶ必要があります。- 総括安全衛生管理者又は事業の実施を統括管理する者等(以下、総括安全衛生管理者等)
- 衛生管理者
- 産業医
- 労働者(衛生に関する経験を有する者)
要は、半数以上を労働者側にして、労働者側の意見を聞きなさいということです。
総括安全衛生管理者等とは
社長、人事部長、工場長などの事業場を管理管轄する方から選びます。衛生管理者
衛生管理者の免許があれば、管理監督者でも、一般職でも会社の役職は問わずに選任できます。衛生管理者が労働組合等から推薦を受けている場合は、労働者側と考えます。推薦を受けていない場合は、会社側と考えます。産業医
産業医は会社が労働組合等の推薦を受けずに選任することが普通です。会社側が産業医を選任する(労働者が産業医を探してきて選任されることは無い)ため、衛生委員会内での立場は会社側となります。労働者(衛生に関する経験を有する者)
衛生に関する経験者がいない場合には、未経験者から選んで下さい。労働者を何名選ぶ必要があるかは、衛生管理者に労働組合等の推薦があるかによって決まります。衛生管理者が労働組合等の推薦を受けている場合
産業医は労働組合等の推薦を受けずに、会社側が選任しているため、産業医は常に労働者側の立場でなく会社側の立場となります。会社側は合計1名【産業医1名】、労働者側は【衛生管理者1名】となります。
労働者は1名以上を委員として選ぶ必要があるため、労働組合等から推薦を受けた労働者を1名選任します。
合計4名【総括安全衛生管理者等1名、産業医1名、衛生管理者1名、労働者1名】の最小人数で衛生委員会を運営できます。
このメンバー構成で衛生委員会を運営する企業が多いようです。
きちんと労働組合等から推薦を受けたという記録を残すことが大切です。当社にはこのフォーマットを用意しています。
衛生管理者が労働組合等の推薦を受けていない場合
同様に産業医は会社側の立場となります。衛生管理者は労働組合等からの推薦を受けない場合、上記とは異なって衛生管理者は会社側の立場となります。会社側は合計2名【衛生管理者1名、産業医1名】となります。
総括安全衛生管理者等以外のメンバーの半数以上を労働者側とする必要があり、労働組合等から推薦を受けた労働者を2名以上選任します。
合計5名【総括安全衛生管理者等1名、産業医1名、衛生管理者1名、労働者2名】で衛生委員会を運営できます。
衛生管理者が労働組合から推薦を受ければ衛生委員会のメンバーを1名少なく運営することができます。もちろん衛生委員会にたくさんの労働者を参加させたい場合は、労働者の立場で多くの人を参加させることができます。
衛生委員会の開催
事業者(会社)は衛生委員会を月に1回開催する義務があります。安全委員会も同様です。労働安全衛生規則第23条に定められています。衛生委員会の運営について必要な事項は、委員会が定めます。議事録の作成・周知・保存
事業者は、委員会の開催の都度、速やかに議事録を作成、労働者に周知し、保存する義務があります。
- 常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付けること。
- 書面を労働者に交付すること。
- 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。
- 事業者は、委員会における議事で重要なものに係る記録を作成して、これを3年間保存しなければなりません。
委員会開催当日のタイムスケジュールはこちらをご覧ください。
参照:衛生委員会のタイムスケジュール例
衛生委員会で調査・審議する内容
職場の衛生や健康に関することを労使で話し合います。
労働安全衛生法第18条第1項及び労働安全衛生規則第22条には、次の内容を調査・審議するように記載されています。
- 労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること
- 労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること
- 労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に関すること
- 衛生に関する規程の作成に関すること。
- 法第28条の2第1項別ウィンドウが開きますの危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置のうち、衛生に係るものに関すること。
- 安全衛生に関する計画(衛生に係る部分に限る。)の作成、実施、評価及び改善に関すること。
- 衛生教育の実施計画の作成に関すること。
- 法第57条の3第1項及び第57条の4第1項別ウィンドウが開きますの規定により行われる有害性の調査並びにその結果に対する対策の樹立に関すること。
- 法第65条第1項又は第5項別ウィンドウが開きますの規定により行われる作業環境測定の結果及びその結果の評価に基づく対策の樹立に関すること。
- 定期に行われる健康診断、法第66条第4項別ウィンドウが開きますの規定による指示を受けて行われる臨時の健康診断、法第66条の2別ウィンドウが開きますの自ら受けた健康診断及び法に基づく他の省令の規定に基づいて行われる医師の診断、診察又は処置の結果並びにその結果に対する対策の樹立に関すること。
- 労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置の実施計画の作成に関すること。
- 長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること。
- 労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること。
- 厚生労働大臣、都道府県労働局長、労働基準監督署長、労働基準監督官又は労働衛生専門官から文書により命令、指示、勧告又は指導を受けた事項のうち、労働者の健康障害の防止に関すること。
第13次労働災害防止計画に書かれている項目や、健康や衛生に関する日常で感じていることなどを取り上げて下さい。
当社では毎月これらに準拠した資料をお客さまに提供し、衛生委員会に産業医が参加する場合は産業医による解説を行っています。
参照:衛生委員会で調査・審議することが多いテーマ
議事録の作成
衛生委員会を実施後、速やかに議事録を作成する必要があります。議事録の書き方はこちらをご参照ください。
参照:衛生委員会の議事録見本
議事録、健康診断やストレスチェック結果の保存期間
衛生委員会の議事録や労働者の健康診断、ストレスチェックの結果は保存期間が定められています。議事録の保存期間
議事録の保存期間は3年間です。議事録は従業員が見られる場所に置く必要があり、就業規則と同じ場所に設置する企業が多いです。
サーバー上に保存したり、メールで全体に周知するといった運用も可能です。
健康診断の結果の保存期間
定期健康診断の健康診断個人票は5年間保存する必要があります。じん肺の健康診断及びX線は7年間、ベンゼン等の特別管理物質の製造・取扱業務従事者や電離放射線業務従事者の健康診断は30年間、アスベスト業務等従事者の健康診断は40年間です。
ストレスチェックの結果の保存期間
ストレスチェックの結果について本人の同意が得られた場合は、5年間保存する必要があります。
衛生委員会の立ち上げや運営は、慣れるまで難しいと思います。
経験豊富な産業医が所属する当社にご相談をお願いいたします。