労働時間には法定労働時間と所定労働時間があります。
法定労働時間は労働基準法で定められている労働時間の限度で、原則は1週40時間、1日8時間です。所定労働時間は事業者が労働基準法の範囲内で決めるものです。
法定労働時間と所定労働時間はともに休憩時間を除きます。

法定労働時間

労働基準法で1週40時間、1日8時間と定められています。
事業場が下記の条件を満たした場合、特例措置対象事業場として1週44時間と定めることができます。特例措置対象事業場の適応を受けている事業場は非常に少なく、多くの事業場での法定労働時間は1週40時間、1日8時間です。
  • 常時使用する労働者が10人未満の事業場
  • 商業(卸売業、小売業、理美容業、倉庫業、駐車場業、不動産管理業、出版業(印刷部門を除く)など。映画・演劇業(映画の映写(映画の製作の事業を除く)、演劇など。保健衛生業(病院、診療所、保育園、老人ホームなどの社会福祉施設、浴場業(個室付き浴場業を除く)など。接客娯楽業
36協定、過重労働者に対しての医師面談、労働災害などは法定労働時間を基準とします。

所定労働時間

それぞれの事業場の就業規則で定めた労働時間です。法定労働時間の範囲内で設定する必要があります。
所定労働時間を設定する際には1週50時間、1日10時間というような法定労働時間を上回る労働時間を設定することはできません。
多くの事業場では所定労働時間は法定労働時間と同様の1日8時間です。労働者に対するワークライフバランスの改善や、求職者を増やすために、所定労働時間を1日7時間30分といった、法定労働時間よりも短い時間で設定する事業者もあります。
残業代は所定労働時間を基準とする事業場が一般的です。

時間外労働と労使協定(36協定)

法定労働時間を超えて働くことを時間外労働といいます。

36協定

時間外労働をさせるためには労使協定(36協定)を結び、労働基準監督署に届け出る必要があります。未締結や見届けの場合、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課されることがあります。
労働基準法第36条に時間外労働について書かれているので、一般的に「36(サブロク)協定」と呼ばれています。1ヶ月36時間まで時間外労働ができるという意味ではありません。
36協定を結ぶときの時間外労働は上限が定められており、一般の労働者の場合、時間外労働の限度時間は1ヶ月45時間、3カ月120時間、1年間360時間です。この基準を上回る協定が締結された場合、労働基準監督署は事業者に対して指導を行います。

36協定には以下の項目を定める必要があります。

  • 時間外または休日の労働をさせる必要のある具体的な事由
  • 業務の種類
  • 対象労働者の業務、人数
  • 1日についての延長時間のほか、1日を超え3か月以内の期間および1年間についての延長時間
  • 休日労働を行う日とその始業・終業時刻
  • 有効期間

有効期限が切れるまでに、改めて監督署に36協定を届け出る必要があります。

特別条項付き協定

限度時間(1ヶ月45時間など)を超えて労働時間を延長しなければならない特別な事情が生じた時に限り、労使間の手続きを経て、限度時間を超える一定の時間まで労働時間を延長できる旨の協定をすることが認められています。 以下の注意事項を守って下さい。

  1. 限度時間を超えて時間外労働を行わせなければならない特別な事情を具体的に定めること
  2. 特別な事情は、(1)一時的又は突発的であること、(2)全体として1年の半分を超えない(1年間の半分の6ヶ月)ことが見込まれること
  3. 一定期間の中途で特別な事情が生じ、原則としての延長時間を延長する場合に労使がとる手続きを、協議、通告、その他具体的に定めること
  4. 限度時間を超える一定の時間を定めること
  5. 限度時間を超えることのできる回数を定めること

特別条項は一時的、突発的というような、特別の事情がある場合に限られます。年間を通じて時間外労働が多いような場合は該当しません。

時間外労働と労災

上述の通り、法定労働時間は所定労働時間以上です。残業代を計算する際は所定労働時間を基準に時間外労働の時間を計算しますが、その時間は法定労働時間を基準とした時間外労働の時間よりも多くなります。
心筋梗塞や脳卒中、精神障害で労働災害が認められる場合がありますが、労働局で労災の認定を行う際には法定労働時間を基準とした時間外労働の時間を用います。
心疾患、脳疾患の労災では時間外労働の時間数と相関して件数が増えることが分かっています。つまり、労働時間が長ければ心筋梗塞や脳卒中になった際には労災と認定される可能性が高くなります。 月45時間以上の労働時間で心疾患、脳疾患が増え始めます。原則は時間外労働を行わない勤務とし、どうしても時間外労働をする必要がある場合のみ最長で月45時間以内にして下さい。

休日労働と深夜労働

休日労働

休日には法定休日と法定外休日(※)があります。 休日労働は法定休日に働くこと、休日の振替(事前に話し合って他の労働日と休日を交換すること)を行わずに働くことを示します。 休日労働をするためには事前に時間外労働と同様に労使協定が必要です。

※法定休日と法定外休日
法定休日は、原則として毎週1回か4週間を通じて4日以上です。 法定外休日は、国民の祝日・年末年始・夏季など、労働時間短縮などのための法定休日以上の休日です。 例えば週休2日制の場合は土曜日を法定外休日、日曜日を法定休日とします。

深夜労働

深夜労働は夜10時から翌朝5時までに働くことです。 1日の所定労働時間の一部がこの時間にかかればその分は深夜労働となります。 管理監督者であっても、深夜割増賃金は支払う必要があります。 年少者(18歳未満)は時間外労働、休日労働、深夜労働は原則禁止されています。
業務の常態として、深夜業(午後10時から翌朝午前5時までに一部でもかかる業務)を1週間1回以上又は1月に4回以上行う場合、6ヶ月以内に1回の特定業務従事者の健康診断を実施する必要があります。
労働法は一つの法律を示している訳では無く、労働者を守るための複数の法律を総称したものです。
労働法に含まれる法律は沢山ありますが、個別的労使関係法、集団的労使関係法、職業安定関係法に大別されます。

個別的労使関係法

労働基準法、労働安全衛生法、労働契約法、労働者災害補償保険法、作業環境測定法など

集団的労使関係法

労働組合法、労働関係調整法など

職業安定関係法

労働者派遣法、高年齢者雇用安定法、障害者雇用促進法、雇用保険法など

法律、施行令、施行規則の違い

労働安全衛生法は法律で国会が定めます。
労働安全衛生法施行令は政令で内閣が定めます
労働安全衛生規則は省令で厚生労働大臣が定めます。
最も上位の概念が法律です。法律の条文は曖昧であり、具体的に何をどうすべきかが記載されていません。政令(施行令)、省令(施行規則)を定めて法律の曖昧さを具体的に説明しています。
法令は法律、施行令、施行規則のことです。

通達

通達は上位の行政機関(例えば厚生労働省)から下位の行政機関(例えば各都道府県の労働局)への命令で、法令の解釈などが含まれます。

産業医として接することが多い労働法

産業医や衛生管理者の選任、衛生管理者の設置などについては労働安全衛生法に記載されています。
36協定、時間外労働、就業規則などについては労働基準法に記載されています。
障害者雇用については障害者雇用促進法に記載されています。

当社の産業医は社会保険労務士などの士業と協力しながら業務を行っています。

お問い合わせはこちら

全ての事業場では労働安全衛生規則に従って職場環境の管理を行う必要があります。
一般的なオフィスでは、労働安全衛生規則に加えて、事務所衛生基準規則(事務所則)に従って、酸素、二酸化炭素、温度、湿度などを適切に管理することが義務づけられています。
労働安全衛生規則と事務所則の比較はこちらをご覧下さい。

なぜ酸素や温度が決められているのか?

換気をしないと酸素が減り、健康に悪影響をおよぼします。
人は呼吸をします。呼吸により酸素を消費し、二酸化炭素が発生します。職場にガスコンロや給湯器があると、燃焼により酸素を消費し、一酸化炭素と二酸化炭素が発生します。
窓を開けたり、換気扇を使い、酸素を増やし、一酸化炭素と二酸化炭素を減らす必要があります。

温度が高すぎたり低すぎても同様に健康にとって悪影響です。
快適に仕事を行う上では温度と湿度の管理が大切です。温度が低すぎると手が思うように動きませんし、温度が高すぎると身体の活動性が低下します。湿度が低すぎるとインフルエンザなどが職場で蔓延する可能性が高まり、湿度が高すぎると大量に汗をかきます。
適宜エアコンや加湿器で快適な空気を作る必要があります。

尚、事務所則において一酸化炭素、二酸化炭素、温度、湿度は次のように定められています。
  • 一酸化炭素(CO)・・・50ppm以下(義務)
  • 二酸化炭素(CO2)・・・0.5%以下(義務)
  • 空気調和設備等(エアコンなど)を用いた場合の室温・・・17℃以上28℃以下
  • 空気調和設備等を用いた場合の部屋の湿度・・・40%以上70%以下

事務所則の内容

一般的な事務所では労働安全衛生規則と事務所則に従って職場環境の管理を行う必要があります。工場や小売店は事務所ではないため、労働安全衛生規則に従います。
労働安全衛生規則と事務所則の比較はこちらをご覧下さい。
項目 定められている内容 その他注意事項
気積 10立方メートル/人以上(義務)
窓やその他の開口部 常時床面積の1/20以上(義務) 換気が十分に行なわれる性能を有する設備を設けたときは、この限りでない
一酸化炭素(CO) 50ppm以下(義務)
二酸化炭素(CO2) 0.5%以下(義務)
温度 10℃以下で暖房など(義務)
冷房時は外気温より著しく低くしない(義務)
空気調和設備等の遊離粉じん 0.15mg/立方メートル以下(義務)
空気調和設備等の一酸化炭素 10ppm以下(義務)
空気調和設備等の二酸化炭素 0.1%以下(義務)
空気調和設備等のホルムアルデヒド 0.1mg/立方メートル以下(義務)
空気調和設備等の気流 労働者に直接、継続して及ばないようにし、0.5m/s以下(義務)
空気調和設備等の室温 17℃以上28℃以下
空気調和設備等の湿度 40%以上70%以下
燃焼器具(ガス給湯器や石油ストーブなど)の設備 排気筒、換気扇その他の換気設備を設ける(義務)
燃焼器具の点検 使用するときは、毎日、当該器具の異常の有無を点検(義務)
機械による換気のための設備の点検 はじめて使用するとき、分解して改造又は修理を行なったとき及び二月以内ごとに一回、異常の有無を点検し、その結果を三年間保存(義務)
冷却塔及び加湿装置に供給する水 水道法に基づいて管理。使用開始時及び使用を開始した後、一月以内ごとに一回、その汚れの状況を点検し、必要に応じ、その清掃及び換水等を行う(義務) 一月を超える期間使用しない冷却塔に係る当該使用しない期間においては、この限りではない
加湿装置(加湿器) 使用開始時及び使用を開始した後、一月以内ごとに一回、定期に、 その汚れの状況を点検し、必要に応じ、その清掃等を行う(義務) 一月を超える期間使用しない加湿装置に係る当該使用しない期間においては、この限りではない
空気調和設備内に設けられた排水受け 使用開始時及び使用を開始した後、一月以内ごとに一回、定期に、その汚れ及び閉塞の状況を点検し、必要に応じ、その清掃等を行う(義務) 一月を超える期間使用しない排水受けに係る当該使用しない期間においては、この限りではない
冷却塔、冷却水の水管及び加湿装置の清掃 それぞれ一年以内ごとに一回、定期に、行う(義務)
照度 精密な作業 300ルクス以上
普通の作業 150ルクス以上
粗な作業 70ルクス以上(義務)
採光及び照明 明暗の対照が著しくなく、かつ、まぶしさを生じさせない方法(義務)
照明設備の点検 六月以内ごとに一回(義務)
騒音及び振動 隔壁を設ける等その伝ぱを防止するため必要な措置を講ずる(義務)
カード穿孔機、タイプライター等の事務用機器を5台以上集中して作業 しや音及び吸音の機能をもつ天井及 び壁で区画された専用の作業室を設ける(義務) コピー機、プリンター、シュレッダーなどが該当
給水 飲用に供する水その他の飲料を十分に供給する(義務)
排水 補修及びそうじを行なう(義務)
大掃除 六月以内ごとに一回、定期に、統一的に行う(義務)
ねずみ、昆虫等による被害 六月以内ごとに一回、定期に、統一的に調査を実施し、発生を防止するため必要な措置を行う(義務)
労働者の清潔保持 労働者は、事務所の清潔に注意し、廃棄物を定められた場所以外の場所にすてない(義務)
便所 男性用と女性用に区別。
男性用大便所の数は男性労働者六十人以内ごとに一個以上。
男性用小便所の数は男性労働者三十人以内ごとに一個以上。
女性用便所の数は女性労働者二十人以内ごとに一個以上。
便池は汚物が土中に浸透しない構造。
流出する清浄な水を十分に供給する手洗い設備を設ける。
便所を清潔に保ち、汚物を適当に処理。(義務)
洗面設備 被服を汚染し、若しくは湿潤し、又は汚染し、若しくは湿潤するおそれのある労働者のために、更衣設備又は被服の乾燥設備を設ける(義務)
休憩の設備 労働者が有効に利用することができる休憩の設備を設ける
睡眠又は仮眠の設備 夜間、労働者に睡眠を与える必要のあるとき、又は労働者が就業の途中に仮眠することのできる機会のあるときは、適当な睡眠又は仮眠の場所を、男性用と女性用に区別して設る。
寝具、かやその他の必要な用品を備え、かつ、疾病感染を予防する措置を講じる(義務)
休養室 常時五十人以上又は常時女性三十人以上の労働者を使用するときは、労働者がが床することのできる休養室又は休養所を、男性用と女性用に区別して設ける(義務)
立業のためのいす 持続的立業に従事する労働者が就業中しばしば座ることのできる機会のあるときは、いすを備える(義務)
救急用具 負傷者の手当てに必要な救急用具及び材料を備え、その備付け場所及び使用方法を労働者に周知させなければならない。
救急用具及び材料を常時清潔に保たなければならない(義務)
救急用具についてはこちらをご参照下さい。
産業医の定期巡視の際にお客さまからワクチン接種を依頼されることがあります。産業医はお客さまを訪問する際には医療行為を行わないため職場でワクチン接種をすることができません。

ワクチンや点滴は医療行為

ワクチン接種は医療行為です。
医療行為は生命に関係する行為です。医療法に基づく届け出が必要で、行える場所は病院、診療所などに限定されています。
産業医がお客さまの事業場を訪問する際に医療行為を行うことはありませんので、職場でワクチン接種をすることはできません。

労働安全衛生法に定められた労働安全・衛生に関する業務を行う

産業医は職場の健康管理(健康診断の確認や、労働者との面談など)、作業管理(姿勢や防護具の着用など)、作業環境管理(有機溶剤の局所排気装置や湿度の管理など)、労働衛生教育(インフルエンザやメンタルヘルスに関する情報の提供など)を担います。

衛生委員会ではインフルエンザ、風疹、子宮頸癌などのワクチンに関する情報提供をしています。
当社では、ワクチン接種や医療行為が必要と考えられる場合には、連携する医療機関の紹介を行っています。

お問い合わせはこちら

平成29年6月1日から労働安全衛生規則第52条の2の改正により、時間外・休日労働が月100時間を超えた労働者の労働時間に関する情報を産業医に提供する義務が課されるようになりました。
専属産業医だけでなく、嘱託産業医にも過重労働者の勤務状況についてきちんと報告をし、健康管理を行って下さい。

法定労働時間と所定労働時間

法定労働時間は労働基準法で定められている労働時間のことで、1日8時間、1週間40時間です。
所定労働時間は就業規則で定められている労働時間のことで、企業によっては法定労働時間より短い時間となっています。当社のあるお客さまでは所定労働時間が1日7時間30分、1週間37時間30分となっています。

時間外・休日労働時間とは

厚生労働省は時間外・休日労働時間を、休憩時間を除き、1週当たり40時間(※)を超えて労働させた場合における、その超えた時間と定めています。 法定労働時間を基準として時間外・休日労働時間を計算をします。
企業によっては、就業規則で1日の労働時間が7時間30分とし、法定の1日8時間よりも短く設定されています。この場合は、残業代の計算で利用される就業規則上の時間外労働時間(所定労働時間を基準に計算している場合)と厚生労働省が定める時間外・休日労働時間の時間(法定労働時間を基準に計算)は異なることがあり、厚生労働省の時間外・休日労働時間のほうが短くなることがあります。

労働時間に関する情報とは

時間外・休日労働が月100時間を超えた労働者の氏名、及び当該労働者の超えた時間に関する情報です。
産業医の立場で過重労働者についての情報をいただく際に、氏名と時間しか伝えられないことがあります。これらだけでは産業医として適切な判断を行うことができません。
業務内容、職場環境、体調、勤怠、最新の健康診断の結果、今後の時間外労働の見込みなどをすみやかに産業医へ提出する必要があります。
可能であれば同時に法定に基づく過重労働者に対する産業面談の設定を設けることが望ましいです。

法令の時間外労働は法定労働時間が基準

月100時間を超過した場合の産業医へ報告以外にも、過重労働による労災などでも法定労働時間を基準にして時間外・休日労働の時間を計算します。

時間外労働の抑制を

時間外労働は心身への負担となり、時に心筋梗塞やうつ病などの病気につながることがあります。
時間外労働が発生しないように企業運営を行い、慢性的に時間外労働がある場合は働き方改革を実施する必要があります。
労働者に時間外労働をさせる場合は、管理者が時間の管理を行い、残業を命じる際には本人の体調にも配慮をして下さい。

管理職も労働時間の抑制を。同様に産業医に報告を

管理職と管理監督者は異なる場合があります。管理監督者は労働条件の決定などについて経営者と一体的な立場にある者で、労働基準法で定められた労働時間、休憩、休日の制限を受けません。店長、課長といった役職名だけで、管理監督者かどうかは判断できないため、その者の職務内容、責任、権限、勤務態様などによって判断します。
管理監督者は時間外・休日労働をしても手当が支給されないことが一般的です。一方、管理監督者であっても、一般の労働者であっても労働時間が長ければ健康被害を起こす可能性が高まることは同一です。過重労働による労災は管理職でも認められることがあります。
全労働者が法定労働時間内で業務を終わらせられるように業務を遂行することが望まれます。
管理職であっても企業が労働時間の管理をし、時間外・休日労働が月100時間を超えた場合には産業医へ報告をすることが大切です。
労働安全衛生規則が平成29年6月1日に改正されました。産業医の職場巡視を月1回以上実施する必要がありましたが、現在は2ヶ月に1回以上の頻度に減らすことができます。
産業医の訪問頻度を減らすためには衛生委員会での審議が必要で、実際には現在も月1回、年12回の職場巡視が一般的です。
当社では産業医の訪問を2ヶ月に1回にする割安なプランをご用意しています。

産業医の職場巡視を2ヶ月に1回にするための要件

産業医の職場巡視の頻度(産業医の訪問頻度)の変更には事業者の同意及び、事業者から産業医に所定の情報が毎月提供されることが必要です。
また、産業医の意見に基づいて衛生委員会等において調査審議を行い、事業者の同意を得る必要があります。

事業者が産業医に提供する情報とは

毎月以下の内容を産業医に報告をすることが求められています。
  1. 衛生管理者が少なくとも毎週1回行う作業場等の巡視の結果(元々、衛生管理者は職場巡視を毎週1回実施する義務がある)
  2. 1に掲げるもののほか、衛生委員会等の調査審議を経て事業者が産業医に提供することとしたもの(不調者の情報、労災などが一般的です)
  3. 休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1か月当たり100時間を超えた労働者の氏名及び当該労働者に係る超えた時間に関する情報(これは産業医が毎月訪問をしている際にも報告をする義務があります)
1と3は産業医の訪問頻度に関係なく実施する必要があることです。衛生委員会で審議した内容を産業医に定期的にメールなどで産業医に訪問すれば産業医の訪問頻度を減らすことができます。
会社側にとって産業医の訪問頻度が減ればコスト削減ができます。一方、労働者側にとって産業医の訪問頻度が減ることによるメリットはありません。衛生委員会の委員の半数以上が労働者側のため、労働者側の協力を得て2番を乗り越えられるかが産業医の訪問頻度を減らすことの鍵となります。
当社では2ヶ月に1回しか訪問しないご契約の場合、メールや電話で健康などについての相談をできるサービスを提供しています。

現在もほとんどの事業場では産業医の巡視は月1回

衛生委員会のメンバーに産業医は含まれています。労働安全衛生法で衛生委員会は毎月1回実施する義務があります。衛生委員会に産業医が参加し、その際職場巡視を行うことが一般的なため、現在も多くの事業場で毎月1回の産業医による巡視が続いています。
当社は職場の衛生環境の維持や、健康管理のために産業医の巡視は月1回以上が望ましいと考えます。

衛生委員会・産業医のお問い合わせ

救急用具の設置は義務です。救急箱の場所や使用方法を労働者に周知する義務もあります。

救急箱に入れる必要がある物は決まっていない

以前は救急用具及び材料として備えなければならない法令で定められ、下記の通りでした。
  • ほう帯材料、ピンセツト及び消毒薬
  • 高熱物体を取り扱う作業場その他火傷のおそれのある作業場については、火傷薬
  • 重傷者を生ずるおそれのある作業場については、止血帯、副木、担架等
現在は作業場に備えるべき救急用具・材料について、一律に備えなければならない具体的な品目についての規定はありません。職場で発生することが想定される労働災害等に応じ、応急手当に必要なものを産業医等の意見、衛生委員会等での調査審議し、企業毎に決める必要があります。
コロナ禍以後は感染症対策た重視されるようになりました。産業医の立場では上記に加え、マスク、アルコール消毒液を入れることが望ましいと考えています。

風邪薬や胃薬は職場に置く必要がない

上記には風邪薬や胃薬などは含まれていません。
お客さまから救急箱の中身や、常備薬の必要性について相談を受けた時には、「法令に従って設置して下さい」、「消費期限の管理をきちんと行って下さい」、「風邪薬や痛み止めを置く場合は、数量の管理をきちんと行い、むやみやたらに従業員に使わせないで下さい」とアドバイスをしています。
比較的高頻度で市販の風邪薬や胃薬でアレルギー症状が出ます。研修医時代に「尿が出なかったり、湿疹がある場合は市販の薬を飲んでいるかを確認する」と指導を受けたことがあります。職場の常備薬で副作用が出る可能性もあります。体調が悪い労働者がいる場合には常備薬を飲ませるのではなく、帰宅や通院の指示を出して下さい。

常備薬を置く際には消費期限と個数の確認を

職場巡視の際に消費期限が切れた薬を発見することがあります。救急箱に入っている在庫が想定より減っていることもあります。
常備薬を置く際には消費期限と個数を適切に管理して下さい。

特定業務とは労働安全衛生規則第13条第1項第2号に記載された業務のことを指します。健康に有害な業務であり、これらの業務では労災のリスクが高くなります。

労働基準法施行規則第18条において、これらの業務(坑内、深夜、水銀などを取り扱う業務、病原体によって汚染のおそれが著しい業務を除く)では1日の時間外労働を2時間以下にする必要があります。36協定の特別条項で80時間/月の時間外労働を定めても、暑熱が著しい職場では法定労働時間を超える時間外労働は2時間/日に制限されます。1日の法定労働時間は8時間であり、これに2時間を加えた1日10時間が労働時間の最大値となります。尚、平日だけでなく、土日でも10時間まで働くことができます。

特定業務の種類

以下の業務が特定業務として定められています。
当社のお客さまでは、「多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務」、「重量物の取り扱い等重激な業務」、「深夜業を含む業務」に該当する事業場が多いようです。
  1. 多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
  2. 多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務
  3. ラジウム放射線、X線その他の有害放射線にさらされる業務
  4. 土石、獣毛等の塵埃または粉末を著しく飛散する場所における業務
  5. 異常気圧下における業務
  6. 削岩機、鋲打機等の使用によって、身体に著しい振動を与える業務
  7. 重量物の取り扱い等重激な業務
  8. ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
  9. 坑内における業務
  10. 深夜業を含む業務
  11. 水銀、ヒ素、黄リン、フッ化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、苛性アルカリ、石炭酸、その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務
  12. 水銀、砒(ひ)素、黄りん、弗(ふつ)化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカリ、石炭酸その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務
  13. 鉛、水銀、クロム、砒(ひ)素、黄りん、弗(ふつ)化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリンその他これらに準ずる有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務
  14. 病原体によって汚染のおそれが著しい業務
  15. その他労働大臣が定める業務

特定業務の解説

多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務

溶融又は灼熱せる鉱物、煮沸されている液体等摂氏100度以上のものを取り扱う業務や、労働者の作業する場所が乾球温度摂氏40度、湿球温度摂氏32.5度、黒球寒暖計示度摂氏50度又は感覚温度32.5度以上の場所における業務です。
例:鉄工所や火を扱う工場で高温な業務

多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務

液体空気、ドライアイスなどが皮膚にふれ又はふれるおそれのある業務や、乾球温度摂氏零下10度以下の場所における業務です。空気の流動ある作業場では気流1秒あたり1メートルを加うる毎に乾球温度摂氏3度の低下あるものとして計算します。
例:冷蔵倉庫業、製氷業、冷凍食品製造業における冷蔵庫、貯氷庫、冷凍庫等の内部における業務

ラジウム放射線、X線その他の有害放射線にさらされる業務

放射性物質を扱う業務です。

土石、獣毛等の塵埃または粉末を著しく飛散する場所における業務

粉じんが顕著な業務です。具体的には、植物性(綿、糸、ぼろ、木炭等)動物性(毛、骨粉等)鉱物性(土石、金属等)の粉じんを、作業する場所の空気1立方センチメートル中に粒子数1,000個以上又は1立方メートル中に15ミリグラム以上含む場所における業務です。特に遊離けい石50パーセント以上を含有する粉じんについては、その作業する場所の空気1立方センチメートル中に粒子数700個以上又は1立方メートル中10ミリグラム以上を含む場所のことです。

異常気圧下における業務

1.高気圧下における業務
潜函工法、潜鐘工法、圧気シールド工法その他の圧気工法による大気圧をこえる圧力下の作業室、シャフト等の内部における業務、ヘルメット式潜水器、マスク式潜水器その他の潜水器を用い、かつ、空気圧縮機若しくは手押しポンプによる送気又はボンベからの給気を受けて行う業務です。

2.低気圧下における業務
海抜3,000メートル以上の高山における業務など、気圧の変化が顕著な業務です。

削岩機、鋲打機等の使用によって、身体に著しい振動を与える業務

身体へ衝撃が大きい業務です。衝程70ミリメートル以下及び重量2キログラム以下の鋲打機は含みません。

重量物の取り扱い等重激な業務

重量物を取扱う業務とは、30キログラム以上の重量物を労働時間の30パーセント以上取扱う業務及び20キログラム以上の重量物を労働時間の50パーセント以上取扱う業務です。過激な業務とは前号に準ずる労働負荷が労働者にかかる業務で、労働時間の多くを重量物の運搬に費やす業務などが該当します。

ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務

ボイラー業務で、職場の音圧が100デシベル以上の強さの場合です。100デシベルは電車のガード下の騒音と同様です。

坑内における業務

言葉の通り、坑内の業務です。

深夜業を含む業務

深夜業(午後10時から翌朝午前5時までに少しでもかかる業務)を一週間に1回以上又は一か月に4回以上行う業務に従事する場合、業務内容に深夜労働が含まれている場合が対象となります。

繁忙期は深夜労働をし、閑散期は日勤で定時で帰れる働き方をしている場合、業務内容に深夜労働が含まれているが実施は深夜労働をしない場合も健康診断の対象となります。

水銀、ヒ素、黄リン、フッ化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、苛性アルカリ、石炭酸、鉛、クロム、亜硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、ベンゼン、アニリン、その他これらに準ずる有害物のガス、蒸気または粉塵を発する場所における業務

有害物を扱う業務です。

病原体によって汚染のおそれが著しい業務

病院などで感染源と接したり、検査などを行う業務です。

特定業務における時間外労働の制限

労働基準法施行規則第18条には法定労働時間の延長が2時間/日を超えてはならない業務が定められています。特定業務に常時従事する場合、労働時間が1日10時間を超えない(法定労働時間で2時間しか残業ができない)という意味です。例えば事務作業を4時間、冷凍庫作業を4時間であれば、特定業務の労働時間は4時間のため、さらに6時間冷凍庫作業ができるといえます。
特定業務(有害業務)の多くがこの時間外労働の制限の対象となっています。坑内、深夜、病原体取り扱いなど、一部の業務は時間外労働が2時間/日に制限されません。36協定で月45時間と定めていても、毎日2時間までの時間外労働が限度となります。特定業務は心身への負荷が目立つため、休憩時間を確保したり、他の業務を組み合わせることが推奨されます。産業医の指示を受けながら作業環境管理、作業管理、健康管理を実施することが求められます。

特定業務と時間外労働の制限一覧

業務内容 労働安全衛生規則 労働基準法
多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務 対象 対象
多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務 対象 対象
ラジウム放射線、X線その他の有害放射線にさらされる業務 対象 対象
土石、獣毛等の塵埃または粉末を著しく飛散する場所における業務 対象 対象
異常気圧下における業務 対象 対象
削岩機、鋲打機等の使用によって、身体に著しい振動を与える業務 対象 対象
重量物の取り扱い等重激な業務 対象 対象
ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務 対象 対象
坑内における業務 対象 対象外
深夜業を含む業務 対象 対象外
水銀、ヒ素、黄リン、フッ化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、苛性アルカリ、石炭酸、その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務 対象 対象外
鉛、水銀、クロム、ヒ素、黄リン、フッ化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリン、その他これらに準ずる有害物のガス、蒸気または粉塵を発する場所における業務 対象 対象
病原体によって汚染のおそれが著しい業務 対象 対象外
労働基準法第18条では、上記特定業務のほか、厚生労働大臣の指定する業務も時間外労働制限の対象となっています。

特定業務従事者の健康診断

労働安全衛生規則第45条には、特定の業務に常時従事する労働者に対して、配置換えの際及び6ヶ月に1回の健康診断の実施が定められています。
よくご相談をいただく業務は、暑熱、重量物、深夜業、一酸化炭素、病原体に関わる業務についてですが、こちらの業務については年2回の健康診断の実施が必要です。
健康診断の際の検査項目については、健康診断をご参照ください。

特定業務(高温、重量物、深夜などが多い)についての業務が多く寄せられます。

特定業務における産業医のお問い合わせ

衛生委員会では職場で問題となっている健康や衛生について審議をする必要があります。安全衛生委員会では健康や衛生に加えて、転落や挟み込みといった安全に関することも取り上げます。
当社では毎月健康、衛生、安全に関する資料をお客さまに提供しています。当社の産業医が衛生委員会、安全衛生委員会に参加した際に、このテーマについて解説をしています。委員会の議事録を作成する際には当社が提供する資料を付けると議事録の作成が簡単になります。

当社が実施している衛生委員会では、産業医が腰痛、メンタルヘルス、生活習慣病、季節の話題(インフルエンザや花粉症など)などについての講話を行い、その後に参加者とディスカッションをする形式が多いです。
委員会で取り上げるテーマは厚生労働省定める審議事項やお客さまからのご要望に基づいて決めています。健康診断を受けた後は定期健康診断の有所見率や生活習慣病、ストレスチェック実施後であればメンタルヘルスに関するセルフケア、冬にはノロウイルスやインフルエンザ、夏には熱中症などを取り上げています。

厚生労働省が定める、衛生委員会で審議すべき事項

厚生労働省は衛生委員会で審議すべき事項を定めています。健康診断、衛生管理、時間外労働などに関することです。
衛生や健康に関するルールや計画作成、日頃の巡視で見つかったハザード(危険性・有害性)への対策、労働者への教育体制の構築、健康診断の実施とその後の対応、過重労働や労災対策などについて衛生委員会で審議して下さい。
労働基準監督署が臨検をする際にもこれらの事柄について聞かれることが多く、きちんと行われていない場合には指導対象となります。
  • 衛生に関する規定の作成に関すること。
  • 厚生労働大臣が公表する技術上の指針(安衛法第28条第1項)の危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置のうち、衛生に関すること。
  • 安全衛生に関する計画(衛生)の作成、実施、評価及び改善に関すること。
  • 衛生教育の実施計画の作成に関すること。
  • 法定の化学物質の有害性調査(安衛法第57条の3第1項、第57条の4第1項)並びにその結果に対する対策の樹立に関すること。
  • 法定の作業環境測定(安衛法第65条第1項、第5項)の結果及びその結果の評価に基づく対策の樹立に関すること。
  • 定期的に行われる健康診断、臨時の健康診断、自ら受けた健康診断および法に基づく他の省令に基づいて行われる医師の診断、診察又は処置の結果並びにその結果に対する対策の樹立に関すること。
  • 労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置の実施計画の作成に関すること。
  • 長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること。
  • 労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること。
  • 厚生労働大臣、都道府県労働局長、労働基準監督署長、労働基準監督官又は労働衛生専門官から文書により命令、指示、勧告又は指導を受けた事項のうち、労働者の健康障害の防止に関すること。

当社が過去に取り上げたテーマの例

労災関連についてのテーマの例

  • 腰痛
  • 熱中症
  • 過重労働と労働災害の関係

健康診断関連についてのテーマの例

  • 健康診断の有所見率の年次推移
  • 各検査項目の読み方、考え方
  • 二次健康診断
  • 食事療法
  • 運動療法

身体の病気についてのテーマの例

  • 生活習慣病(高血圧症、脂質異常症、糖尿病)
  • 食中毒
  • 肝炎

メンタルヘルスについてのテーマの例

  • セルフケア
  • ラインケア
  • ストレスチェックの職場分析
  • うつ病、適応障害、パニック障害、発達障害などの概念
  • 抗うつ薬、睡眠薬などの解説
  • 認知行動療法

その他のテーマ

  • パワーハラスメント
  • セクシャルハラスメント
  • スメルハラスメント
  • アルコール
  • サプリメント
  • 禁煙
  • VDT
  • 有機溶剤
  • 障害者雇用
  • LGBT、外国人などの多様性を尊重した働き方
  • 労働基準監督署が臨場した際に指導することが多い事項

当社は委員会のテーマを毎月無償で提供しています

毎月お客さまがテーマを考え、資料を用意することは困難なことが多いようです。
当社は無償で委員会で議論する資料をご用意しています。

衛生委員会、安全衛生委員会、産業医についてお困りのことがございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。

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