衛生管理の知識

事務所衛生基準規則(事務所則)と労働安全衛生規則

梶本隆夫産業医がNHKの取材を受けました。こちらからご覧ください。

一般的な事務作業を行うオフィスのことを事務所といいます。事務所では事務所衛生基準規則(事務所則)と労働安全衛生規則に従って作業環境を整えます。
事務所以外には事務所則は適応となりません。事務所則の適用がない工場、小売店、飲食店などでは労働安全衛生規則に従って作業環境を整えます。

事務所とは

事務所とは一般的なオフィスのことです。パソコンでの作業、電話での対応、打ち合わせといった業務を行う場所が該当します。
工場や店舗の場合、商品を製造したり商品を売る場所は事務所ではありません。一方、事業場の一部に事務作業を行う場所を設けることが通常であり、この事務作業を行う場所のみを事務所とみなします。事務所の部分のみ事務所則に従う必要があります。

事務所則と労働安全衛生規則の比較

一般的な事務所は事務所則と労働安全衛生規則に従って作業環境管理を行う必要があります。

工場、小売店、飲食店などは事務所ではないため、労働安全衛生規則に従います。
労働安全衛生規則には事務所則と同じようなことが記載されていますが、若干異なります。

項目 事務所則 労働安全衛生規則
気積 10立方メートル/人以上(義務) 同左
窓その他の開口部 常時床面積の1/20以上(義務) 同左
一酸化炭素(CO) 50ppm以下(義務) 記載なし
二酸化炭素(CO2) 0.5%以下(義務) 記載なし
温度 10℃以下で暖房など(義務)
冷房時は外気温より著しく低くしない(義務)
記載なし
空気調和設備等の遊離粉じん 0.15mg/立方メートル以下(義務) 記載なし
空気調和設備等の一酸化炭素 10ppm以下(義務) 記載なし
空気調和設備等の二酸化炭素 0.1%以下(義務) 記載なし
空気調和設備等のホルムアルデヒド 0.1mg/立方メートル以下(義務) 記載なし
空気調和設備等の気流 労働者に直接、継続して及ばないようにし、0.5m/s以下(義務) 記載なし
空気調和設備等の室温 18℃以上28℃以下 冷房、暖房、通風等適当な温湿度調節(義務)
空気調和設備等の湿度 40%以上70%以下 冷房、暖房、通風等適当な温湿度調節(義務)
燃焼器具の設備 排気筒、換気扇その他の換気設備を設ける(義務) 記載なし
燃焼器具の点検 使用するときは、毎日、当該器具の異常の有無を点検(義務) 記載なし
機械による換気のための設備の点検 はじめて使用するとき、分解して改造又は修理を行なったとき及び2月以内ごとに1回、異常の有無を点検し、その結果を3年間保存(義務) 記載なし
冷却塔及び加湿装置に供給する水 水道法に基づいて管理。使用開始時及び使用を開始した後、1月以内ごとに1回、その汚れの状況を点検し、必要に応じ、その清掃及び換水等を行う(義務) 記載なし
加湿装置 使用開始時及び使用を開始した後、1月以内ごとに1回、定期に、その汚れの状況を点検し、必要に応じ、その清掃等を行う(義務) 記載なし
空気調和設備内に設けられた排水受け 使用開始時及び使用を開始した後、1月以内ごとに1回、定期に、その汚れ及び閉塞の状況を点検し、必要に応じ、その清掃等を行う(義務) 記載なし
冷却塔、冷却水の水管及び加湿装置の清掃 それぞれ1年以内ごとに1回、定期に、行う(義務) 記載なし
照度 一般的な事務作業 300ルクス以上
付随的な事務作業(資料の袋詰め等、事務作業のうち、文字を読み込んだり資料を細かく識別したりする必要のないものが該当) 150ルクス以上(義務)
同左
採光及び照明 明暗の対照が著しくなく、かつ、まぶしさを生じさせない方法(義務) 同左
照明設備の点検 6月以内ごとに1回(義務) 同左
騒音及び振動 隔壁を設ける等その伝ぱを防止するため必要な措置を講ずる(義務) 同左
カード穿孔機、タイプライター等の事務用機器を5台以上集中して作業 しや音及び吸音の機能をもつ天井及び壁で区画された専用の作業室を設ける(義務) 記載なし
給水 飲用に供する水その他の飲料を十分に供給する(義務) 同左
排水 補修及びそうじを行なう(義務) 記載なし
大掃除 6月以内ごとに1回、定期に、統一的に行う(義務) 同左
ねずみ、昆虫等による被害 6月以内ごとに1回、定期に、統一的に調査を実施し、発生を防止するため必要な措置を行う(義務) 同左
労働者の清潔保持 労働者は、事務所の清潔に注意し、廃棄物を定められた場所以外の場所にすてない(義務) 同左
便所 男性用と女性用に区別。
男性用大便所の数は男性労働者60人以内ごとに1個以上。
男性用小便所の数は男性労働者30人以内ごとに1個以上。
女性用便所の数は女性労働者20人以内ごとに1個以上。
男女別に便所を設けた上で、独立個室型の便所(多目的トイレなど)を設ける場合、便所1個につき男女それぞれ10 人ずつ減らすことができる。
少人数(同時に就業する労働者が常時10人以内。マンションの一室で企業する場合など)の作業場では独立個室型の1個で問題ない。 便池は汚物が土中に浸透しない構造。
流出する清浄な水を十分に供給する手洗い設備を設ける。
便所を清潔に保ち、汚物を適当に処理。(義務)
同左
洗面設備 被服を汚染し、若しくは湿潤し、又は汚染し、若しくは湿潤するおそれのある労働者のために、更衣設備又は被服の乾燥設備を設ける(義務) 記載なし
休憩の設備 労働者が有効に利用することができる休憩の設備を設ける 同左
睡眠又は仮眠の設備 夜間、労働者に睡眠を与える必要のあるとき、又は労働者が就業の途中に仮眠することのできる機会のあるときは、適当な睡眠又は仮眠の場所を、男性用と女性用に区別して設る。
寝具、かやその他の必要な用品を備え、かつ、疾病感染を予防する措置を講じる(義務)
同左
休養室 常時50人以上又は常時女性30人以上の労働者を使用するときは、労働者がが床することのできる休養室又は休養所を、男性用と女性用に区別して設ける。
随時利用可能であれば問題ないため、休養室を会議室として利用できる(ただし、休養室を使う場合は会議室を必ず空ける必要がある)。
目隠し、出入り制限等、設置場所等に応じ、プライバシーと安全性の両者に配慮する。
(義務)
同左
立業のためのいす 持続的立業に従事する労働者が就業中しばしば座ることのできる機会のあるときは、いすを備える(義務) 同左
救急用具 負傷者の手当てに必要な救急用具及び材料を備え、その備付け場所及び使用方法を労働者に周知させなければならない。
救急用具及び材料を常時清潔に保たなければならない(義務)
同左
※労働安全衛生規則には有害原因の除去、保護具など、有害物質毎に応じた対応方法も言及されています。
上記の表では事務所則の項目を元に労働安全衛生規則との比較を行っています。