梶本隆夫産業医がNHKの取材を受けました。こちらからご覧ください。

職場で持ち運べる荷物の重量には制限があります。産業医の立場で、男性は体重の40%以下かつ25kg未満、女性は体重の24%以下かつ20kg未満を推奨しています。

全ての職場で段ボール、書類などの重たい物を運ぶ機会があり、その際に腰痛による労災が発生する可能性があります。4日以上の業務上疾病において、腰痛が占める割合は約6割です。2022年(令和4年)の統計では全体9,506件(コロナを除く)に対して、腰痛は5,959件です。当社の一部のお客さまでは作業環境管理に加えて、作業管理としてCYBERDYNE社の支援ロボットを用いて、腰にかかる負荷の軽減を行っています。

平成25年6月18日基発0618第1号「職場における腰痛予防対策の推進について」により、腰痛健康診断の実施が勧奨されています。重量物取り扱い作業など腰部に著しい負担がかかる業務を対象とする健康診断の具体的な対象者は定められていません。重量物は何キロ以上、何時間以上の継続・断続作業、週に何日勤務などを法令や通達で定められていないことから、腰痛健診を実施する事業者は非常に少ないです(2022年(令和4年)で受診労働者数59,679人、有所見者数11,786人)。

業務上疾病の圧倒的一位は腰痛

4日以上の業務上疾病の約6割が腰痛です。次に多い疾病は熱中症です。長年、腰痛、熱中症という順位は変わっておらず、現在の腰痛発生件数は以前と統計と同様で、非常に多い状態が続いています。
建設業、製造業、運送業は重量物を運ぶ機会が多い業種です。しかし、腰痛はこれら以外の業種で発生することが多いことが知られています。一般的な事務所や小売店でも段ボールなどの重量物を運ぶ機会があり、全ての事業場で腰痛とは無縁ではいられません。重量物を搬送する際には腰痛になる可能性が高いという認識を持つべきで、腰痛対策を全事業場で実施すべきです。
常態として重量物を運ぶ事業場ではマニュアルの作成、教育、健康診断などの実施が必要です。事務作業では座っている時間が多く、座位は立位より腰部への負荷が1.5倍かかるというデータがあります。一般的なオフィスでも腰痛に関する知識を持つ必要があります。

労働基準法(労基法)、年少者労働基準規則(年少則)での年少者の重量制限

労基法第62条第1項、年少則第7条の重量制限は次の通りで、これらは義務です。18歳未満の労働者がいる場合はこの制限を遵守して下さい。断続作業と継続作業の区別が困難な場合が少なからずあるため、産業医の立場では断続作業の数値を参考に制限をかけることが望ましいと考えます。16歳未満の労働者はいないことが多いため、18歳未満では、男性は20kg未満、女性は15kmg未満と理解して下さい。
  • 対象は18歳未満の男女
  • 満16歳未満の男性・・・断続作業の重量15kg未満、継続作業の重量10kg未満
  • 16歳以上満18歳未満の男性・・・断続作業の重量30kg未満、継続作業の重量20kg未満
  • 満16歳未満の女性・・・断続作業の重量12kg未満、継続作業の重量8kg未満
  • 16歳以上満18歳未満の女性・・・断続作業の重量25kg未満、継続作業の重量15kg未満

女性労働基準規則(女性則)での重量制限

女性則第2条第1項の重量制限は次の通りで、これは義務です。年少則より制限が緩く、18歳以上の女性が対象です。産業医の立場では断続作業の数値を参考に制限をかけることが望ましいと考えます。女性は20kg未満と理解して下さい。
  • 対象は18歳以上の女性
  • 断続作業の重量30kg未満
  • 継続作業の重量20kg未満
  • 機械を利用した作業は重量制限に当てはまらない
  • 18歳未満の場合、上記の年少則が適応される

職場における腰痛予防対策指針(平成25年6月18日基発0618第1号)での重量制限

通達による重量制限は次の通りで、これらは努力義務です。労働災害が生じた際に、この指針を守っていない場合は、事業者側が不利になるため、産業医の立場ではこの指針を義務化し、断続作業の数値を参考に制限をかけることをお勧めします。男性は体重の40%以下、女性は体重の24%以下と理解して下さい。
  • 男性・・・重量制限は体重のおおむね40%以下
  • 女性・・・重量制限は男性の制限の60%(一般に女性の持上げ能力は、男性の60%位のため)。妊娠中及び産後1年は禁止

職場における腰痛予防対策の推進について(平成6年9月6日基発第547号)での重量制限(職場における腰痛予防対策指針により廃止)

上記の指針により廃止となった通達ですが念のため記載します。通達による重量制限は次の通りです。これらは義務と努力義務が混在しています。
  • 男性・・・重量制限は55kg以下(義務)。体重のおおむね40%以下(努力義務)
  • 女性・・・重量制限は男性の制限の60%(努力義務)

断続作業と継続作業の違い

継続作業は重量物を一定時間、休憩なしで運ぶ場合、断続作業は重量物を1回もしくは連続で2、3回運ぶ場合(運んだ後に他の作業を行う場合)と考えてください。重さ、形、気温などによって人への負荷は異なるため、連続の作業時間、連続の何回という基準の設定は実情に合わないためです。

産業医の立場で取り扱う重量の推奨値

労働基準法、年少則、女性則、腰痛対策指針を鑑み、産業医の立場で、成人の男性は体重の40%以下かつ25kg未満、女性は体重の24%以下かつ20kg未満を推奨しています。
男性の制限を25kg未満とした理由は、人によって身長、体脂肪率、筋力、基礎疾患が異なるため、体重が重ければその分重たい荷物を運べるとは限らないことを前提にしています。日本人男性の平均体重は60kgであり、これの40%は約25kgであり、この数値を基準にすることが職場の腰痛対策として簡便で有用であると考えています。もちろん、人によっては腰痛にならずにこれ以上の重量の荷物を運ぶことができるため、産業医と相談の上、業務歴、体格などを鑑みて実情にあった運用が必要です。腰への負担を減らすため、休憩時間を確保したり、他の業務を組み合わせることが推奨されます。

重量制限の具体例

38歳、60kgの男性が運べる重量は?

成年の男性なので年少則、女性則に該当しません。
腰痛予防対策指針の重量制限は60kg×40%=24kgであり、24kgまで運べます。

25歳、55kgの女性が運べる重量は?

成年なので年少則に該当しません。
女性則の重量制限は断続作業30kg未満、継続作業20kg未満です。
腰痛予防対策指針の重量制限は55kg×40%×60%=13.2kg以下です。
女性則と腰痛予防指針を考慮し、値が小さい13.2kgまで運べます。

職場の腰痛対策で困っている場合には産業医へ相談を

腰痛対策は全ての業種、全ての事業場で必要です。産業医の意見を聞いた上で、作業環境管理、作業管理、健康管理、教育に分けて対策を実施します。

作業環境管理

労働安全衛生規則、事務所則に従って職場の温度、照明管理を行うことが腰痛予防につながります。

温度

寒冷ばく露は腰痛を悪化させ、又は発生させやすくするため、屋内作業場において作業を行わせる場合には、作業場内の温度を適切に保つ必要があります。冬季の屋外のように低温環境下で作業させざるを得ない場合には、保温のための衣服の着用や暖房設備の設置に配慮します。

照明

作業場所、通路、階段等で、足もとや周囲の安全が確認できるように適切な照度を保ちます。

作業床面

労働者の転倒、つまずきや滑りなどを防止するため、作業床面はできるだけ凹凸がなく、防滑性、弾力性、耐衝撃性及び耐へこみ性に優れたものとします。

作業空間や設備、荷の配置等

作業そのものや動作に支障をきたすような機器や設備の配置や整理整頓が不十分で雑然とした作業空間、狭い作業空間は、腰痛の発生や症状の悪化につながりやすいため、作業そのものや動作に支障がないよう十分に広い作業空間を確保し、作業姿勢、動作が不自然にならないよう、機器・設備、荷の配置、作業台や椅子の高さ等に配慮します。

振動

車両系建設機械の操作・運転等により腰部と全身に著しく粗大な振動、あるいは、車両運転等により腰部と全身に長時間振動を受ける場合、腰痛の発生が懸念されるため、座席の上にクッションを置く等をして振動ばく露の軽減対策をとります。

作業管理

自動化、省力化

腰部に負担のかかる重量物を取り扱う作業、人を抱え上げる作業、不自然な姿勢を伴う作業では、作業の全部又は一部を自動化することが望ましいです。それが困難な場合には、負担を減らす台車等の適切な補助機器や道具、介護・看護等においては福祉用具を導入するなどの省力化を行い、労働者の腰部への負担を軽減します。

作業姿勢、動作

労働者に対し、次の事項に留意させます。
  • 前屈、中腰、ひねり、後屈捻転等の不自然な姿勢を取らないようにします。適宜、前屈や中腰姿勢は膝を着いた姿勢に置き換え、ひねりや後屈捻転は体ごと向きを変え、正面を向いて作業することで不自然な姿勢を避けるように心がけます。また、作業時は、作業対象にできるだけ身体を近づけて作業します。
  • 不自然な姿勢を取らざるを得ない場合には、前屈やひねり等の程度をできるだけ小さくし、その頻度と時間を減らすようにします。また、適宜、台に寄りかかり、壁に手を着き、床に膝を着く等をして身体を支えます。
  • 作業台や椅子は適切な高さに調節します。具体的には、立位、椅座位に関わらず、作業台の高さは肘の曲げ角度がおよそ 90 度になる高さとします。また、椅子座面の高さは、足裏全体が着く高さとします。
  • 立位、椅座位等において、同一姿勢を長時間取らないようにします。具体的には、長時間の立位作業では、片足を乗せておくことのできる足台や立位のまま腰部を乗せておくことのできる座面の高い椅子等を利用し、長時間の座位作業では、適宜、立位姿勢を取るように心がけます。
  • 腰部に負担のかかる動作では、姿勢を整え、かつ、腰部の不意なひねり等の急激な動作を避けます。また、持ち上げる、引く、押す等の動作では、膝を軽く曲げ、呼吸を整え、下腹部に力を入れながら行います。
  • 転倒やすべり等の防止のために、足もとや周囲の安全を確認し、不安定な姿勢や動作は取らないようにします。また、大きな物や重い物を持っての移動距離は短くし、人力での階段昇降は避け、省力化を図ります。

作業の実施体制

  • 作業時間、作業量等の設定に際しては、作業に従事する労働者の数、作業内容、作業時間、取り扱う重量、自動化等の状況、補助機器や道具の有無等が適切に割り当てられているか検討します。
  • 腰部に過度の負担のかかる作業では、無理に1人で作業せず、初めから複数人で作業する。また、人員配置は、労働者個人の健康状態、特性、技能・経験等を考慮して行います。

作業標準(マニュアル)

  • 腰痛の発生要因を排除又は低減できるよう、作業動作、作業姿勢、作業手順、作業時間等について、作業標準を策定します。
  • 作業標準の見直し
  • 作業標準は、個々の労働者の健康状態・特性・技能レベル等を考慮して個別の作業内容に応じたものにしていく必要があり、定期的に確認し、また新しい機器、設備等を導入した場合にも、その都度見直します。

休憩・作業量、作業の組合せ等

  • 適宜、休憩時間を設け、その時間には姿勢を変えるようにします。作業時間中にも、小休止・休息が取れるようにします。また、横になって安静を保てるよう十分な広さを有し、適切な温度に調節できる休憩設備を設けます。
  • 不自然な姿勢を取らざるを得ない作業や反復作業等を行う場合には、他の作業と組み合わせる等により、当該作業ができるだけ連続しないようにします。
  • 夜勤、交代勤務及び不規則勤務にあっては、作業量が昼間時における同一作業の作業量を下回るよう配慮し、適宜、休憩や仮眠が取れるようにします。
  • 過労を引き起こすような長時間勤務は避けます。
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靴、服装等

  • 作業時の靴は、足に適合したものを使用します。腰部に著しい負担のかかる作業を行う場合には、ハイヒールやサンダルの着用を避けます。
  • 作業服は、重量物の取扱い動作や適切な姿勢の保持を妨げないよう、伸縮性、保温性、吸湿性のあるものとします。
  • 腰部保護ベルトは、個人により効果が異なるため、一律に使用するのではなく、個人毎に効果を確認してから使用の適否を判断します。
  • 健康管理

    健康診断

    平成25年6月18日基発0618第1号「職場における腰痛予防対策の推進について」により、腰痛健康診断の実施が勧奨されています。重量物取扱い作業、介護・看護作業等腰部に著しい負担のかかる作業に常時従事する労働者に対して、作業に配置する際及びその後6月以内ごとに1回、定期に健康診断を実施します。
    実際には重量物取り扱い作業など腰部に著しい負担がかかる業務を対象とする健康診断の具体的な対象者は定められていません。重量物は何キロ以上、何時間以上の継続・断続作業、週に何日勤務などを法令や通達で定められていないことから、腰痛健診を実施する事業者は非常に少ないです(2022年(令和4年)で受診労働者数59,679人、有所見者数11,786人)。

    産業医による事後措置

    産業医が腰痛の健康診断の結果を確認し、事業者に作業環境管理、作業管理、健康管理といった就業措置に関する意見を伝え、事業者は就労上必要な措置を講じます。
    労働安全衛生法に基づく、定期健康診断後の産業医による結果確認と事後措置と同様の流れです。

    腰痛予防体操

    重量物取扱い作業、介護・看護作業等の腰部に著しい負担のかかる作業に常時従事する労働者に対し、適宜、筋疲労回復、柔軟性、リラクセーションを高めることを目的として、腰痛予防体操を実施させます。体操を行う時期は作業開始前、作業中、作業終了後とします。

    職場復帰時の措置

    腰痛は腰痛自体の再発リスクが高く、心理的な不安からメンタルヘルスの問題が生じやすいため、休業者等が職場に復帰する際には、事業者は産業医と主治医の意見を十分に尊重し、腰痛の発生に関与する重量物取扱い等の作業方法、作業時間等について就労上必要な措置を講じ、休業者等が復帰時に抱く不安を十分に解消します。

    労働衛生教育

    重量物取扱い作業、同一姿勢での長時間作業、不自然な姿勢を伴う作業、介護・看護作業、車両運転作業等に従事する労働者については、当該作業に配置する際及びその後必要に応じ、腰痛予防のための労働衛生教育を実施します。
    実際に働いている労働者から意見を聞き、それを教育材料に含めることで、腰痛予防対策が速やかに進みます。


    当社は物流センター、土木建築業、製造業などの腰痛発生リスクが高いお客さまからの業務を請け負っています。職場での腰痛対策について、お気軽にお問い合わせ下さい。


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    必ず職場巡視記録を作成してください。労基署の臨検時に巡視記録を確認されることがあります。

    衛生管理者は週1回、産業医は月1回(一定の条件を満たせば産業医の職場巡視を2ヶ月に1回に頻度を減らすことが可能。コロナ禍でも産業医は巡視のために訪問する必要がある)の頻度で職場巡視を行う義務があります。

    職場巡視の際に見つけたハザード(有害性や危険性があるもの)が経時的にどのように改善したかを把握するためにも巡視記載は有益です。衛生委員会の議事録と同様に3年間の保存をお勧めします。

    職場巡視の目的

    職場巡視の目的は法令遵守と、労基署対策と、職場のハザードの把握です。

    衛生管理者は週1日、産業医は月1回の職場巡視の義務があります。産業医の巡視頻度は2ヶ月に1回に減らすことができますが、コロナ禍であっても巡視義務があるため、定期的に訪問をする必要があります。実施した結果をの残さなければ実施したことを第三者に示すことができません。労基署の臨検時に職場巡視記録を確認されることが一般的です。簡単なもので結構ですので、作成する、保管することを習慣にしてください。

    職場巡視記録の作成

    一般的なオフィスでの巡視では、事務所則と労働安全衛生規則に則って記録をつけます。これらの法令では事業場で遵守すべき項目が記載されているため、項目を一つ一つ確認しながら巡視をして下さい。工場や小売店では事務所則が適応さないため、労働安全衛生規則に則って記録をつけます。
    事務所則と労働安全衛生規則の比較はこちらで確認することができます。
    以下のような巡視記録を用いれば簡単に職場の巡視記録をつけることができます。 職場巡視記録のフォーマットはこちらです。
    職場巡視記録の見本はこちらです。
    巡視記録には、悪い点だけでなく、良い点も記載して下さい。
    初めから複雑で細かい管理簿を用いているお客さまがおられますが、使いにくく現実的ではありません。
    このような簡単な管理簿を用いて職場巡視を実施し、適宜使いやすいように改定して下さい。

    職場巡視記録の保管

    職場巡視記録の作成は義務では無いため、保管も義務ではありません。
    しかし、労働基準監督署の指導の際に職場巡視について問われることは一般的であり、職場巡視をきちんと行っていることを示すためにも職場巡視記録を作成、保管して下さい。
    衛生委員会の際に職場巡視の結果を報告することが多いため、衛生委員会の議事録と同様に3年間保存をすることをお勧めしています。

    指摘事項の管理方法

    職場巡視の指摘事項は直近のものだけであれば職場巡視記録で管理できます。
    指摘事項が多くなると巡視記録では管理ができませんし、時系列で何に対してどう対応したかも分かりにくくなります。
    可能であれば巡視で発見したハザードに対して、職場巡視指摘事項管理簿という別のファイルを用いて管理をすることが望ましいです。
    職場巡視指摘事項管理簿の例
    可能であればこの管理簿を用いてリスクアセスメントを実施して下さい。

    過去の職場巡視の結果を管理するために、下記ような項目が必要となります。

    リスクアセスメントを実施

    リスクアセスメントはハザードの有害性や重篤さと、事故が起る確率をスコア化して、優先的に取り組みべき事項を評価することです。
    当社ではマトリックス法とコントロールバンディングを用いたリスクアセスメントを支援しています。
    事故が起きた際に重症度が高く、事故が生じる頻度が高い、つまりリスクが高いハザードに対して優先的に対策を実施して下さい。

    リスクアセスメントを行い、最優先で取り組む事項から実施することが大切です。
    参照:ハザードとリスクの違い



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    統合失調症は人口の約1%といわれています。てんかん、関節リウマチと同様の割合です。生産年齢で発症をすることが多い病気です。
    障害者雇用の推進と共に、精神障害者の雇用が進んでいます。職場で良く知られているメンタルヘルスの病気はうつ病、パニック障害、適応障害ですが、たくさんの統合失調症の方が職場で働いています。

    統合失調症の概要

    人口の1%という比較的よくみられる病気です。100人に1人の割合ですから、大学の同級生や会社に同僚に複数の統合失調症の方がいらっしゃるのかもしれません。
    多くの統合失調症の方は症状が目立たず、見た目や雰囲気でも分かりません。
    10代後半から30代前半に好発します。生産年齢で発症することが多いため、会社員になってから統合失調症という診断を受ける方がたくさんおられます。
    幻覚(幻聴が多い)、妄想(被害的な内容が多い)、思考障害(考えがまとまらない、考えていることが誰かにテレパシーで伝わるなど)、興奮、意欲の低下などの症状が認められることがあります。
    初期症状はうつ状態(気持ちが落ち込む状態)、不眠、不安、倦怠感など様々です。数ヶ月から数年後に幻覚妄想状態などが現れることが知られています。

    初期症状の際に精神科やメンタルクリニックを受診すると、「うつ病」、「不安障害」などと診断されることがあります。
    統合失調症の初期症状は多様で、初期症状の段階で統合失調症と診断することは困難です。
    統合失調症が慢性化すると、感情が無くなる、意欲が低下するといった症状が目立つようになります。

    統合失調症の症状

    てんかんは統合失調症と同様で人口の1%です。てんかんはけいれんや意識消失が認められることがありますが、統合失調症ではてんかんのように比較的分かりやすい症状はありません。
    統合失調症という病気に対して幻覚妄想状態、興奮状態というイメージがあるかもしれませんが、多くの統合失調症の方の症状は目立たず、日常生活に支障が無い方がたくさんおられます。そのため、たくさんの統合失調症の方が障害者雇用としてでは無く一般雇用として働かれています。もちろん障害者雇用として働かれる方もおられます。

    幻覚

    幻覚は、現実は無いものを感じてしまう感覚の異常です。
    聴覚に異常があると幻聴、視覚に異常があると幻視が認められます。
    統合失調症の幻覚は幻聴が多いことが知られています。
    「・・・しろ」、「また・・・しているのか」、「おまえは駄目だ」といった行動を示唆するような内容や、「お前馬鹿だろ」といった本人を否定するような内容が特徴的です。

    妄想

    妄想とは、現実に無いものをあると考え、確信している状態です。
    「誰かに襲われるのでは」という被害妄想、「周囲が自分を見ているのでは」という注察妄想、「私は世界をコントロールできる」という誇大妄想などが認められます。

    思考障害

    自分の考えが整理できなくなる状態です。 「考えていることが誰かに伝わる」という考想伝播(思考伝播)、「考えていることが言葉で聞える」という考想化声、「考えていることが抜き取られて、消し去られる」という考想奪取などが認められます。

    感情や意欲の障害

    統合失調症に長期間罹患すると、感情が平板化したり、意欲の障害が認められます。
    感情の平板化のため、喜怒哀楽が目立たなくなり、楽しいこと、悲しいことを感じられなくなります。
    意欲の障害のため、何もせずにぼーっとしたり、風呂に入らなくなったり、同じ服を着続けたり、他人との交流を持てなくなったり、口数が減るようになります。

    職場での受け入れの際に配慮すること

    統合失調症の方の多くは日常生活に支障はありません。障害者雇用としてだけでなく、通常の雇用形態でたくさんの方が就労されています。
    統合失調症の方は幻覚妄想状態だけでなく、思考や意欲の障害を持つことがあります。職場で何らかの症状が認められる場合には職場環境の調整を行う必要があります。
    本人のペースで行える、同じような作業を繰り返す、人との接点が少ない作業は本人への負担が少ないです。

    幻覚妄想状態が目立つ場合は職場の環境や同僚が関係している可能性があります。
    例えば、○○さんが私を狙っている、△△さんが私の悪口を言っているという症状があることがあります。病状により対人関係や業務に支障がある場合には、職場の上長が本人と話し合うことが大切です。本人が気になっていることを傾聴し、実際にそのようなことは無いという事実を繰り返し伝え、安心してもらうことが大切です。また、職場に問題があればすみやかに改善します。
    幻聴や被害妄想の内容を直ぐに否定するような対応は好ましくありません。本人の訴えを傾聴し、実際にその内容が現実に起っているかどうかを調査することが必要です。

    思考や意欲の障害が目立つ場合は仕事を円滑に進められません。仕事をきちんと進められないことに対しての不安を抱かないように、業務内容を繰り返し説明します。業務内容をきちんと覚えられない際には、メモやカレンダーに作業内容を記載するなどの配慮を行います。

    統合失調症の症状は人によって異なります。メンタルヘルスと産業医業務に精通する医師に相談を行うことが望ましいです。体調が悪い場合は休ませて下さい。かかりつけ医への通院をし、主治医に職場での症状を伝えるように支持することも重要です。

    衛生委員会(安全衛生委員会)を実施した際には必ず議事録を作成して下さい。議事録は3年間保管し、見やすい場所に掲示するなどして従業員に周知する義務があります。労働基準監督署の臨検があった際には衛生委員会の議事録を3年分確認されることが一般的です。

    衛生管理者が議事録を作成することが一般的です。衛生委員会にパソコンを持ち込み、その場で作成をすれば速やかに議事録を作成することができます。議事録を作成後は産業医の確認が必要です。

    議事録は、社内メール、サーバーに保存(事前に保存場所は周知する必要あり)、タイムカードの近くに就業規則と一緒に保管のいずれかで労働者に周知して下さい。

    議事録の見本

    当社では以下の内容を議事録に記載するようにお願いしています。
    衛生委員会で審議した事項、各委員からの報告(職場で困っている健康や衛生に関する問題を自由に発言してもらう)、労災、過重労働を含めて下さい。
    作成後は必ず産業医にメールをするなどの方法で確認をしてもらって下さい。

    2016年12月 衛生委員会議事録
    作成者:衛星良子

    日時/場所:2016年12月7日 17:00~17:30 会議室K

    出席者:委員長【安全太郎、管理本部長】、衛生管理者【衛星良子、人事部課長】、産業医【梶本隆夫】
    委員(労働者側)【健康次郎、建材本部】、【快適花子、店舗開発部】
    欠席者無し

    議事内容
    1.健康診断の有所見率について
    産業医より:健康診断についての講演。資料は別紙の通り。全員が健康診断を受検したことは素晴らしい。昨年よりも血圧、中性脂肪の有所見率が増えている。健康の維持には日頃から運動と食事に気をつけることが大切。運動は週4日、1日30分のウォーキングでいいので、昼休みに職場周辺を歩いたり、通勤の際に最寄り駅より1駅手前で降り、歩くことを習慣にして下さい。健康診断の結果が著しく悪い場合、労働負荷によって心筋梗塞や脳卒中が生じるリスクが高くなるため、産業医として時間外労働や出張の禁止といった就業制限を行うことがある。
    安全太郎より:昨年よりも社内の有所見率が増えているため、2017年1月に食事、運動キャンペーンをしてみてはどうか?来年も全員が健康診断を実施できるようにして欲しい。
    快適花子より:残業の際にファストフードを食べながら働く人が多い。栄養についての知識が足りないのでは?
    健康次郎より:運動をする機会が無いため、福利厚生でフィットネスを利用できるようにして欲しい。
    衛星良子より:スポーツクラブの法人会員について調べ、次月の衛生委員会で報告をします。前職ではベネフィットステーションを利用できたので、気軽にスポーツクラブを利用できました。

    2.各委員からの報告
    健康次郎より:キャビネットの上に段ボールが乗っていて危ない。キャビネットが地震で倒れてこないか
    →安全太郎より:今月中に段ボールを他の場所に動かします。全てのキャビネットは固定されているため倒れる可能性は低いです
    快適花子より:ウォーターサーバーメンテナンスは行われているか?
    →衛星良子より:業者に月に2回の洗浄を依頼しています。蛇口や水受けは各部署の衛生委員が毎日きれいに洗浄して下さい。
    健康次郎より:咳をする人が多くて困っている。
    →産業医より:咳エチケットは季節に関係無く行うべきです。パンフレットとポスターをお渡ししますのでご利用下さい。パンフレットとポスターは別紙の通り。

    3.労災 衛星良子より
    今月の労災:無し。
    過去の労災事例への対応状況:2016年11月の階段での転倒について、12月1日に手すりを設置した。段ボールを運ぶ際には腰痛のマニュアルに従って下さい。階段で段ボールを運ぶことは禁止です。

    4.過重労働 衛星良子より
    時間外労働45時間以上の該当者1名(営業部に所属。突発的な苦情対応が原因で、次月以降は時間外労働は予定していない。疲れは無く、産業医面談は望んでいない。)

    5.前月の産業医による職場巡視とその後の対応 衛星良子より
    管理本部の通路が狭い→私物を片づけ、安全な通路を確保しました。
    労働者を増やす場合は気積を守って欲しい。一部の島において極めて人口密度が高い→事務所則と労働安全衛生規則を遵守して、机を設置するルールにしました。

    6.他 安全太郎より
    引き続き労働時間管理を徹底して下さい
    次回の予定は2017年1月8日 17:00からです。内容は職場環境とメンタルヘルスについてです。うつ病や適応障害で休職する労働者が過去にいたことから、産業医に精神科専門医の立場で解説をしてもらう予定です。
    インフルエンザやノロウイルスが流行する時期となりましたので、手洗い、うがい、咳エチケットなどを励行して下さい。トイレや更衣室に咳エチケットのポスターを掲示し、総務課に労働者が自由に利用できるマスクを設置する予定です。

    衛生委員会の議事録見本のダウンロードはこちら

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    数多くの労働者と面談を行ってきました。不調者に対して通院を勧める場合と、通院を勧めない場合があります。
    身体的な問題でも、メンタル面の問題でも同じような基準で考えます。
    産業医がどのように判断をしているかを記述します。

    どのような場合に通院を勧めるか、勧めないか

    体調不良のため仕事や家事といった日常生活に支障を及ぼしている場合は通院を勧めます。
    体調不良の原因が明らかに職場環境である場合は通院を勧めないことがあります。

    通院を勧める基準

    体調不良のため、下記のような状態が続く場合には通院を勧めます。症状が続いていることが大切で、1日だけ体調不良があっただけでは通院を勧めません。
    • 遅刻早退欠勤が増えた
    • 通勤電車に乗れない
    • 通勤電車で体調を崩す
    • 仕事が以前よりはかどらない
    • 仕事でミスが増えた
    • 仕事中に体調が悪くなる
    • 食事がとれず、体重が減った
    • よく寝られない
    • 感情の起伏が激しい
    • 家で掃除や料理ができなくなった
    • 趣味への関心が無くなった
    • 家でずっとぐったりしている・・・
    気持ちに問題があっても、体に問題があっても、仕事やプライベートで以前よりも明らかに水準が低下している状態が続いていることが基準になります。
    産業医として労働者と面談をしている際にも、外来で患者さまと面談をしている際にも同様の基準で考えています。

    通院を勧めない場合の基準

    体調不良の原因が明らかに職場環境であると考えられる場合には通院を勧めないことがあります。下記のような訴えが不調者からあった場合には職場環境が原因と考えます。
    • 過重労働がある
    • 業務量が非常に多い
    • 業務内容に慣れていない
    • ハラスメントがある・・・
    職場環境が原因であっても、著しい不眠、不安などがあった場合には通院を勧めます。
    職場環境に問題があると、医療的な介入を行っても職場環境が変わらない限り体調の改善は限定的です。メンタルクリニックを受診して精神科医による精神療法や薬の処方を受ければ、ある程度まで症状が回復するかもしれませんが、悪化する要因が職場にあった場合には職場に戻ると症状が悪化したり、症状が遷延します。

    産業医として事業者に対してどのような意見を述べているか

    産業医は不調者からの訴えに基づき、職場環境が原因と考えられる場合には、事業者に対して職場環境の調査、職場環境の調整といった意見を述べます。不調者の性格は多様であり、「しんどい」、「辛い」などの訴えを過度にする方が少なからずいらっしゃいます。本人の訴えを客観的に精査する能力が産業医には求められています。
    不調者側の意見が事実かどうかが分からない場合は上司、同僚、人事労務担当者と面談をすることもあります。

    産業医は不調者→通院とは考えていません。不調者であっても就業規則通りに勤務ができ、職責に応じた仕事を行え、仕事を通じて体調が悪化していなければ勤務の継続が望ましいという意見を記載しています。 上述の通り、職場環境が原因と考えられ、体調不良が著しく無い場合には通院を勧めずに、職場環境の改善を事業者に求めます。
    まとめて休んでしまうと、復帰する際の心身の負荷(周囲へ迷惑を掛けてしまったのではという自責の念や、業務を再開する際の負担)が出ます。さらに休むことによる所得の減少により金銭的な悩みが増える傾向があります。体調がある程度安定していれば、勤務を続けたほうがメリットが大きいです。

    産業医面談の例

    身体の不調者との産業医面談の例

    機械を使わずに段ボールを運ぶ作業をしている方から「腰痛」の訴えがあり、産業医面談を行いました。
    重い荷物を終日搬送している職場環境であれば、腰痛は職場環境に起因するものと考えられます。
    彼に整形外科や接骨院への通院を勧めても、一時的に痛みは良くなるかもしれませんが、職場環境が変らない限り腰痛は治りません。
    産業医が事業者へ職場環境の調査、職場環境の調整(機械の導入、腰痛にならないための教区、作業ローテーション)などの意見を述べ、腰痛が生じにくい職場に変りました。
    本人の腰痛の症状が軽度であり、職場環境が速やかに改善したため、本人は通院しませんでした。もちろん通院を希望している場合は本人の意思を尊重します。

    メンタルヘルスの不調者との産業医面談の例

    上司が本人に高圧的で、毎月100時間以上の時間外労働がある方から「仕事に集中できない」、「気力が出ない」との訴えがあり、産業医面談を行いました。
    本人に通院だけを指示しても、上司の対応や時間外労働が減らない限り、仕事を通じてうつ状態が悪化することが予想されました。
    産業医が事業者へ職場環境の調査(上司の対応など)、職場環境の調整(時間外労働の禁止など)について意見を述べ、病状が著しかったことからすみやかにメンタルクリニックを受診するように伝えました。
    産業医が事業者へ職場環境の調査、職場環境の調整(上司の言動、時間外労働の必要性、同僚との業務の配分)などの意見を述べ、ハラスメントが無くなり、残業を前提としない職場に変りました。気力が戻り、家での生活に支障が無くなったことから、すみやかに職場復帰をしました。

    本人のメンタルの状態が軽い場合(仕事外の日常生活に影響が少なかったり、仕事を従前とと変らずに行えているこ場合などは症状が軽い可能性が高い)、通院の指示を出さずに、職場環境の改善についてだけ意見をすることもあります。
    産業医がメンタルヘルスの専門家の場合、産業医面談を通じて本人に対してアドバイスを実施することができます。本人がストレスを抱きやすい特徴を持つ場合(責任感が強い、些細なことを気にしやすい、こだわりが強い、家庭内に問題がある、身体疾患を持つなど)には、少しずつそれらを改善できるようにアドバイスをすることができます。

    職場環境が全ての原因という事例は少ない

    実際には体調不良の原因の全てが職場環境という事例は事例は少ないです。職場環境と本人がそれぞれどのくらいの割合で原因になっているかを評価できることが産業医の能力と考えています。
    産業医は客観的かつ現実的で、冷静な判断をすることが求められています。

      健康診断は事業者にとっても労働者にとっても義務です。勤務時間中に実施し、100%の受診率を目指して下さい。
    事業者は労働安全衛生法第66条に基づいて、健康診断を実施する義務があり、労働者は健康診断の受検義務があります。
    健康診断を実施した際には労働基準監督署への届け出が必要です。当社では監督署への報告書の見本をご用意しています。

    健康診断の種類

    種類 対象 実施時期
    雇入時健康診断 常時使用する労働者 雇入れ時
    定期健康診断 常時使用する労働者 1年以内に1回
    特定業務従事者の健康診断 労働安全衛生規則第13条第1項第2号の業務に従事する労働者 配置換えの際及び6月以内に1回
    海外派遣労働者の健康診断 海外に6ヶ月以上派遣される労働者 海外に派遣する際及び帰国後
    他にも、給食従業員の検便検査を行う場合があります。
    雇入時健康診断は入社から1ヶ月以内に実施して下さい。雇入の3か月前に法定項目を実施している場合には免除することができます。

    健康診断の項目

    項目名 雇入時健康診断 定期健康診断 特定業務従事者の健康診断
    既往歴及び業務歴 必須 必須 必須
    自覚症状及び他感症状 必須 必須 必須
    身長 必須 ※ ※
    体重 必須 必須 必須
    腹囲 必須 ※ ※
    視力 必須 必須 必須
    聴力 必須 必須 必須
    胸部X線 必須 必須 1年以内に実施されていれば省略可能
    喀痰検査 不要 ※ ※
    血圧 必須 必須 必須
    血色素量(ヘモグロビン、Hb)及び赤血球数 必須 ※ ※
    GOT(肝機能) 必須 ※ ※
    GPT(肝機能) 必須 ※ ※
    γGTP(肝機能) 必須 ※ ※
    血清トリグリセライド(中性脂肪) 必須 ※ ※
    LDLコレステロール(悪玉コレステロール) 必須 ※ ※
    HDLコレステロール(善玉コレステロール) 必須 ※ ※
    血糖(空腹時血糖又は随時血糖) 必須 ※ ※
    尿蛋白 必須 必須 必須
    尿糖 必須 必須 必須
    心電図 必須 ※ ※

    ※は医師の判断で省略可能
    参照:健康診断の一部項目は省略が可能です

    雇入時健康診断は検査項目を省略することができません。血糖検査では空腹時又は随時血糖の検査が必須です。 HbA1cは2-3ヶ月の血糖の推移を把握するために有用な検査ですが、HbA1cのみの検査は認められません。

    特定業務従事者の健康診断

    重量物の取扱い等重激な業務、深夜業を含む業務で該当する事業場が多いです。
    特定業務従事者は6ヶ月以内に1回、健康診断を実施して下さい。定期健康診断を実施後、1年以内であれば特定業務従事者の健康診断を省略することができます。
    多くの事業場では特定業務従事者の健康診断を実施する場合は年に1回しか実施しません。年1回の定期健康診断と年1回の特定業務従事者の健康診断としています。

    重量物とは

    おおむね30キログラム以上の物のことです。

    深夜業とは

    業務の常態として、深夜業(午後10時から翌朝午前5時までに一部でもかかる業務)を1週間1回以上又は1月に4回以上行う業務のことです。
    午後10時以降の勤務が平均して週1回以上ある場合や、繁忙期のみ(業務の常態に該当)午後10時以降に働く場合は深夜業に該当します。
    参照:特定業務(有害業務)

    雇入時健康診断と定期健康診断の実施時期

    雇入時健康診断は雇入れ時に、定期健康診断は1年以内毎に1回実施する義務があります。

    雇入時健康診断を実施して間もない労働者の定期健康診断

    雇入時健康診断を実施後、1年以内であれば定期健康診断を省略することができます。雇入時健康診断の検査項目が定期健康診断に含まれているからです。

    アルバイト、パート、契約社員の健康診断について

    以下の1〜3に該当し、1週間の所定労働時間がフルタイムの労働者の4分の3以上である場合は定期健康診断を実施する義務があります。
    1. 雇用期間の定めのない者
    2. 雇用期間の定めはあるが、契約の更新により1年以上使用される予定の者
    3. 雇用期間の定めはあるが、契約の更新により1年以上引き続き使用されている者
    一方、派遣労働者(派遣元で実施)や業務委託の労働者に対しては実施する義務はありません。

    健康診断の費用は誰が払うべきか

    労働安全衛生法によって事業者に課された義務であり、原則として費用は事業者が負担すべきです。

    定期健康診断の血液検査は省略可能

    雇入時健康診断では検査項目の省略ができません。法定の肝機能や脂質などを測定するために血液検査を実施する義務があります。
    定期健康診断では医師の判断で一部の検査項目を省略することができます。血圧などを省くことはできませんが、血液検査を省略することは可能です。医師の判断といのは健診機関の医師ではなく、職場や労働者の事情を熟知している産業医が該当します。検査項目を省略する際には産業医と相談して下さい。
    血液検査を実施しないと肝機能や脂質の値を知ることはできません。これらの有所見率は約50%です。産業医の立場では、原則は血液検査を実施することが望ましいと考えます。

    健康診断の結果

    事業者は健康診断の結果を医師等に確認させる義務があります。医師等には医師(産業医)と歯科医師が含まれます。一部の有害物質は歯に影響を与えることが知られていることから企業内に歯科医がいる事業場があります。
    健康診断の結果には健診機関の医師の名前、検査結果、ABCDE評価、生活習慣指導や通院などのコメントが書かれています。これは「健康診断の結果を医師等に確認させる義務」には該当しません。きちんと健康診断の結果を産業医に見せて下さい。
    忘れられがちですが、事業場の労働者数に関係無く健康診断を実施し、結果を産業医(いなければ他の医師)に確認をしてもらう義務があります。同様に過重労働者の面談義務についても労働者数に関係無く義務化されています。当社では健康診断の結果確認や過重労働者の面談のみの業務も請け負っています。

    産業医は健康診断の結果を見て、異常所見の有無を確認します。検査結果が就業に影響するかを通常勤務、就業制限、要休業の3つの区分に分けます。
    異常所見があったとしても概ね仕事には影響はありません。ほとんどが通常勤務に区分されます。しかし、明らかに心身の負荷となるような健康状態の場合には、就業制限とし、「過重労働や夜勤などを制限して下さい」というような意見を述べます。要休業に区分することはほとんどありません。
    参照:健康診断の結果が届いたら

    定期健康診断は年次推移を把握し、前年より健康状態が悪化している労働者については産業医面談を積極的に設定するなど、健診結果を活用することが労働者の健康管理に大切です。
    参照:事業場で定期健康診断の年次推移を作ろう

    健康診断結果の取り扱い

    健康診断の結果は労働者に渡し、事業場でも保管する必要があります。多くの企業では人事部、総務部で健康診断の結果の管理をしています。

    誰が取り扱うか?

    健康診断の結果は究極のプライバシー情報ともいえるため、事業場で誰が取り扱うかを事前に決める必要があります。
    時々、「正社員以外の派遣社員、パート社員も健康診断の結果の管理やデータ入力業務を担当できますか?」という質問を受けます。労働法令に就業形態による制限は無いため、雇用区分に関係なく扱うことができます。一部の企業では「正社員のみ」が健康診断の結果を扱うようにルール化されていますが、派遣社員、パート社員などもその業務を担うことができます。
    健康診断の結果は個人情報です。取り扱い担当者には守秘義務が課されます。健康診断の業務を外れた後であっても、守秘義務は続きます。
    是正勧告と指導票は異なるものです。
    労働基準監督署の監督官は臨検時に法令違反を発見すると是正勧告を出します。
    法令違反では無い場合でも明らかに安全や衛生にとって問題があった場合には指導票を出します。

    労働基準監督署は監督署?労基署?

    当社は労働基準監督署のことを監督署といいますが、多くの人は労基署という言葉を使うようです。 業務で労働局(監督署の上部組織で各都道府県に1カ所ある)や労働基準監督署とやり取りをしている際に、彼らは労基署という言葉を使わずに監督署といっています。監督署で指導を行う担当者を監督官といいます。
    監督署は警察署と同様に捜査機関という側面を持っています。事業者が法令違反を行った際には法人や代表者などを検挙することができます。

    監督署が来る確率

    年に5%といわれています。20年の企業活動で1回しか来ないことになりますが、他店舗展開している小売店や飲食店では毎年どこかの事業場に監督官が来るといっても過言ではありません。
    大企業だけを狙い撃ちにしている訳ではありません。労働者が数名の事業場にも監督官が来ることがあります。実感としては小規模の事業場に監督が入ることが多いように感じます。
    事前に連絡が来ることもありますが、無連絡でいきなり監督官が訪問することもあります。労災が多発している、重大な労災が発生した、労働者や元労働者から監督署に相談があった、若者を使い捨てしている可能性がある場合には通常よりも高確率で監督があります。

    定期監督

    約80%
    年次計画により実施される調査

    申告監督

    約10%
    内部通告や相談などにより実施される臨時の調査

    災害監督

    労働災害が多発したり、重大な労災発生した場合に実施される臨時の調査

    監督官からの指導への対応

    是正勧告は法令違反が認められた場合に出されます。対応する義務があると理解して下さい。早期に指導内容を改善し、改善の状況について労働基準監督署に報告して下さい。
    指導票は法令違反ではありませんが、安全・衛生・健康面で不適切な場合に出されます。対応する義務はありませんが、対応をすることが望ましいと理解して下さい。早期に指導内容を改善し、是正勧告と同様に改善の状況について労働基準監督署に報告して下さい。
    監督官から渡される指導書には改善すべき内容(法令違反の内容など)と出頭期限日が記載されています。
    通常はどのように対応をしていいかが分からないと思いますので、産業医経験が豊富な産業医へご相談の上、すみやかに適切な対応を行って下さい。

    指導された内容を放置しない

    監督官は事業者に嫌がらせをするために指導をすることはありません。労働災害の予防、法令遵守(法令は労働災害を予防するためにあるともいえる)のために指導を行っています。
    指導内容を改善すると労災が減る、健康の悪化リスクが減る、働きやすい環境ができるといったメリットがあります。指導があった際は、今の状況だと労災が発生しやすい、健康被害が出やすい、働きにくいといえます。
    指導内容について前向きに考えて下さい。すみやかに指導内容の全てを改善して下さい。
    多くの指導書を見ていますが、対応が難しい指導内容はほとんどありません。

    時間外労働と指導票

    平成29年11月の東京労働局のキャンペーンでは、指導対象となった事業場の50%で「時間外労働を月45時間以内にするように」との指導票が出されました。
    このことから、36協定内の時間外労働であっても、時間外労働は月45時間以内にすることが求められます。
    基本的には定時に仕事を終わらせ、時間外労働を行わないことが望ましいです。やむを得ず残業をさせる必要がある場合には月45時間以内として下さい。
    参照:労働時間

    一部の業種では臨検時に是正勧告ではなく指導票にして下さいと訴えることがあるようです。

    監督署からの指導をきっかけにご契約をいただく事例が増えています。お気軽にお問い合わせ下さい。
    労働基準監督署は事業場の労働衛生、安全管理などについての監督指導を行っています。監督指導のことを臨検といいます。
    臨検対象の事業場は労働者数と関係ありません。労働者数が数名の事業場に監督官が訪問する事例を多く経験しています。

    臨検の種類

    臨検にはいくつかの種類があります。
    定期的な訪問(定期監督)、労働者からの申告がある場合(申告監督)、労働災害を繰り返す場合や重大な労働災害が生じた場合(災害監督)、労働法令違反の疑いがある場合に分けられます。
    約8割が定期監督です。「チクリがあったから労基署(当社では監督署という)が来た」という話をよく耳にしますが、実際にはスケジュール通りに実施されることがほとんどです。
    当社のお客さまでは、4ヶ月連続で労災があった、定期健康診断結果報告書を提出しなかったことが原因と考えられる臨検があり、日頃から衛生・安全・健康に関する職場環境の改善が必要です。

    臨検の確率

    労働基準監督署が臨検する可能性はそれぞれの事業場あたり5%/年といわれており、20年に1回の確率です。
    それぞれの事業場あたりの確率であり、複数の事業場がある企業の場合、10事業場では10事業場×5%=50%/年という高確率で、労働基準監督署の監督官の訪問があるかもしれません。

    労災を繰り返している、過労死などの重大な労災請求がある、若者の使い捨てが疑われる、明らかに労働者が50名を超えているのに産業医の選任報告などを監督署に提出していない場合には狙い撃ちされることがあります。
    もちろん、労働者からの告発がある場合にも同様に臨検の確率は上がります。

    小規模事業場なら臨検は無い?

    小売店や飲食店といった労働者が50名未満の事業場では産業医の選任義務はありません。
    参照:衛生委員会と選任の早見表

    「小規模の職場では監督官が来ない」という都市伝説をお客さまから伺ったことがありますが、実際には労働者数に関係無く、臨検の対象となります。
    平成29年11月の東京労働局のキャンペーンにおいて、臨検を受けた事業場について、労働者数50名未満の事業場が68%でした。当社の事例でも同様の割合で小規模の事業場での臨検が多いようです。
    労働者が50名未満の事業場では産業医の選任義務はありませんが、このような事業場でも労働環境を適切に整える必要があります。

    労働環境が業績向上のカギ!

    飲食店、小売店、介護施設、工場などの労働者が50名未満の事業場から多くのご依頼をいただいています。労働者が50名未満の事業場でも産業医(いない場合は他の医師)による健康診断の確認と事後措置、過重労働者の面談が義務となっています。
    小規模事業場においても労災やメンタルヘルスの問題が多発しています。
    労働環境が良い職場では労働者が定着し、愛社精神が醸成され、業績の向上が期待されます。

    産業医の選任義務が無い職場でも積極的に産業医を利用し、職場の健康や衛生に対しての意識を高めることが望ましいと考えます。

    お問い合わせはこちら

    介護現場は「人」を扱うため、労働者にとっては重量物を抱えることにより腰への負担が大きくなります。
    利用者を運ぶ際に粗雑に扱うことは許されず、常に気が張った状態で仕事をする必要があります。夜勤があったり、労働者が不足していることから、メンタル面への負荷もかかります。

    平成25年6月18日基発0618第1号「職場における腰痛予防対策の推進について」により、腰痛健康診断の実施が勧奨されています。重量物取り扱い作業など腰部に著しい負担がかかる業務を対象とする健康診断の具体的な対象者は定められていません。重量物は何キロ以上、何時間以上の継続・断続作業、週に何日勤務などを法令や通達で定められていないことから、腰痛健診を実施する事業者は非常に少ないです(2022年(令和4年)で受診労働者数59,679人、有所見者数11,786人)。

    特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、介護付有料老人ホームからの業務を請け負っており、腰痛やメンタルヘルスについて支援をしています。

    介護施設での腰痛の状況

    腰痛の業種別発生割合では、全業種の中で保健衛生業(介護施設や病院など) が1番多くなっています。他の業種では腰痛の件数は減少傾向にありますが、保健衛生業では増加傾向です。
    介護現場では高齢者を運んだり、体位を変えます。利用者は非常に重たいため、必然的に腰痛のリスクが高まります。

    腰痛の要因

    動作要因

    腰部に加わる過度な負荷や負担のことです。
    「利用者を頻繁に抱きかかえる」、「重量物を頻繁に持ち上げる」などの人の抱き上げや重量物の取り扱いに関すること、「腰を深く曲げる」「腰をひねったりすることが多い」、「急激な姿勢の変換」、「長時間同じ姿勢で仕事をする」などの作業動作や作業姿勢に関することがあげられます。
    「安全な作業を行うためのマニュアルや教育が無い」、「急いでいるため、一人で作業することが多い」といったことも間接的に関与しています。

    環境要因

    振動や寒冷のばく露、暗い照明、不良な作業床面や作業空間、不適切な機器や設備の配置といった作業環境の問題です。
    「身体が長い間寒冷にさらされる」、「通路が狭く安全な作業が困難である」、「足もとの照明が暗くて、安全の確認がしづらい」、「部屋の床が滑りやすい」「ベッドや机などの配置が悪く、移動しづらい」などがあげられます。

    個人的要因

    年齢、性別、体格、筋力、腰椎椎間板ヘルニアなどの既往症といった個人属性にかかわることです。
    「自分より体格の大きな利用者を介護することが多い」、「常に慢性化した腰痛がある」、「腰が痛いときでも、ゆっくりと休むことができない」などがあげられます。
    「ゆっくりと休憩できる設備がない」、「仮眠するベッドがないため、満足な睡眠が取れない」などの衛生施設の設置状況に関するものや、「夜間勤務が長い」、「夜勤回数が多い」などの勤務条件に関するもの、「職場にある機械・機器や設備がうまく使えない」といったことも間接的に関与しています。

    実際には一つの要因ではなく複数が重なって腰痛が発生します。  

    腰痛対策のポイント

    作業管理、作業環境管理、健康管理に分けて対策を行います。
    腰痛だけでなく、有機溶剤や粉じんといった有害物質についても同様に3つに分類して対応を行います。

    作業管理

    福祉機器や補助具などの機械を利用

    利用者を一人で抱えないことを原則とし、複数人で抱えるか、機会を用いるかにします。
    腰痛予防に有効な福祉機器や補助具としては、リフト、スタンディングマシーン、持ち手付き補助ベルト、スライディングボード、スライディングシートなどがあります。
    当社の一部のお客さまではCYBERDYNE社のロボットを導入し、腰痛対策を行っています。比較的高価ですが、労働者の満足度は高いようです。

    作業姿勢と動作を見直す

    利用者の身体能力を引き出したり安心感を確保することで、利用者が自然な動きを発揮できるようにします。これはコストがかからない方法であり、日頃から利用者と良好な人間関係を築くことが重要です。
    他には以下のように姿勢を保つことで腰痛が予防できます。これは介護職だけでなく、全ての業種で活用できます。私もこれらを心がけて水や本といった重たい物を運んでいます。
    • 同一作業や姿勢が長く続かないよう、変化のある作業計画を立てる
    • 動作時は腰椎の生理的な前弯を保つ
    • 座位でも腰椎の生理的な前弯を保つ
    • 利用者に体を近づけて作業する
    • 作業面の高さを上げる
    • 低い姿勢になる時は膝を曲げる
    • 長時間座って作業することは避ける
    • 起床後すぐに腰を曲げた姿勢で作業することはなるべく避ける
    • 体をひねった状態での介助は避ける

    マニュアルの作成、教育の実施

    福祉機器や補助具の状況や、作業時間などを考慮してマニュアルを作成します。使いやすいように適宜内容を改定します。
    当該作業に配置する際だけでなく定期的にマニュアルを確認する機会を設けることが大切です。当社では健康診断の際にマニュアルの確認を改めて行うように依頼しています。
    更衣室や休憩室に利用者の運び方についての写真が貼られている事業場があります。介護施設だけでなく小売店や製造業でも重量物の運び方についての写真が貼られていることがあり、腰痛対策の点で素晴らしいことだと思います。

    休憩、小休止・休息、睡眠を十分に確保

    疲労の蓄積を抑えるために、休憩、小休止・休息、睡眠といった体調を回復させる機会を確保することが重要です。
    職場内に休憩所を設け、休息がとれる時間を確保して下さい。腰に負担がかかる業務を1時間したら、次の1時間は事務作業をするといった作業のローテーションも有用です。
    夜勤は心身への負担が強くなるため、より多くの休憩時間を設けて下さい。

    作業環境管理

    温度

    不十分な暖房設備下での寒冷ばく露は、腰痛の悪化などをもたらす可能性があります。仮眠や休憩を取る部屋を含めて、施設内の温度を適切に保つようにします。
    多くの施設では利用者のために室温を上げていることが多く、身体的作業負担の強い介護職員には高温環境であることが問題となります。発汗で作業服が濡れた状態のままで過ごすことは体調管理の観点からは好ましくありません。適宜、 作業服が着替えられるような配慮も必要です。
    18-28℃を目安に温度の調整をして下さい。湿度は40-70%が目安です。

    照明

    介護作業を行う場所や通路、階段などで、足下や周囲の安全が確認できないほど暗い環境は好ましくないため、適切な照明環境にします。
    特に、夜間は職場全体が暗くなっているため、作業時には照明の利用を躊躇しないで下さい。
    照明は300ルクスを目安に調整して下さい。

    作業床面

    介護職員の転倒やつまずきなどを防止するために、作業床面はできるだけ凹凸がなく、防滑性、弾力性、耐衝撃性および耐へこみ性に優れていることが望ましいです。
    特に風呂場での入浴作業時には床を乾燥させ、なるべくリフトなどの機械を利用し、一人で作業を行わないようにして下さい。

    作業空間や設備の配置

    機器や設備のレイアウトや狭い作業空間なども腰痛の発生や症状の悪化に関連した要因になります。介護職員の動きや動作に支障のないように十分な広さを確保し、施設・設備の作業位置や配置など人間工学的にも配慮することが大切です。
    利用者のベッドサイドで作業をする際には、テレビ台、棚などを移動させ、広いスペースを作った後に作業を行って下さい。

    健康管理

    健康診断およびその結果に基づく事後措置

    全ての健康診断について、実施後は産業医に結果を見せ、産業医による事後措置の意見をもらって下さい。産業医として色々な業種で健康診断の結果を確認していますが、介護施設での健康診断を確認する際には「自覚症状及び他覚症状の有無の検査」に注目をしています。「腰が痛い」といった症状がある労働者に対しては産業医面談や通院を勧めています。事業者に対しては上述の作業管理や作業環境管理などの意見を伝えています。

    平成25年6月18日基発0618第1号「職場における腰痛予防対策の推進について」により、腰痛健康診断の実施が勧奨されています。重量物取り扱い作業など腰部に著しい負担がかかる業務を対象とする健康診断の具体的な対象者は定められていません。重量物は何キロ以上、何時間以上の継続・断続作業、週に何日勤務などを法令や通達で定められていないことから、腰痛健診を実施する事業者は非常に少ないです(2022年(令和4年)で受診労働者数59,679人、有所見者数11,786人)。

    腰痛健康診断

    腰痛予防指針では、重量物取り扱い作業、介護作業等腰部に著しい負担のかかる労働者に対しては、当該作業に配置する際と、6ヶ月以内に1回の健康診断が求められています。
    腰痛の健康診断の結果を産業医が確認し、労働者の健康を保持するため必要であると認められる場合は、作業方法の改善、作業時間の短縮など必要な措置を講じます。

    作業前体操、腰痛予防体操の実施

    腰痛予防指針では、重量物取り扱い作業、介護作業等腰部に著しい負担のかかる労働者に対しては、腰痛の予防を含めた健康確保の観点から体操の実施を求めています。
    勤務開始時に一斉に体操を行うことが一番簡単な実施方法です。

    認知症や精神疾患の利用者への対応

    介護施設の利用者は認知症(アルツハイマー型認知症、血管型認知症認知症、レビー小体型認知症)の方がメインです。高次脳機能障害、統合失調症、うつ病、精神遅滞、アルコール依存症の方が利用されている場合もあります。もちろん、病気では無い方もたくさん利用されています。
    利用者が抱える病気が多様な点からも、産業医による医学的な知識を職場環境の改善に活用して下さい。産業医の協力を得て職場環境を整えることで、素晴らしいサービスを利用者に提供することができます。労働者にとっては労災が減り、働きやすい職場を作ることができるようになります。
    例えばアルツハイマー型認知症の方は夕方に帰宅願望が強くなりますが、その際に本人の訴えを傾聴した上で職場を一緒に歩いて不安を減らすことで症状が治まることがあります。レビー小体型認知症の方は全身が動かしにくくなるため、転倒のリスクを減らすために段差を無くしたり、ムセを予防するために食事形態を変えるといった医師の知識を職場の環境改善に活かすことができます。

    特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、介護付有料老人ホームからの業務を請け負っており、腰痛やメンタルヘルスについて支援をしています。ぜひご相談ください。
    一部は「介護業務で働く人のための腰痛予防のポイントとエクササイズ」から引用しています。

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