インフルエンザ、ノロウイルスの欠勤期間と欠勤処理
季節性インフルエンザ(以下、インフルエンザ)とノロウイルスは感染力が強いため、職場で流行することがあります。これらに罹患した場合の欠勤期間や欠勤処理の方法について事前に定める必要があります。
欠勤期間は学校安全衛生法に従ってインフルエンザは「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで」、ノロウイルスは「嘔吐と下痢の症状が消えてから2日を経過するまで」が望ましいと考えます。
労働安全衛生法第68条の伝染性疾病の病者とは
事業者は、伝染性の疾病その他の疾病で、厚生労働省令で定めるものにかかった労働者については、厚生労働省令で定めるところにより、その就業を禁止しなければならない。と記載されていますが、この伝染性の疾病は結核などの感染症であり、インフルエンザやノロウイルスは含めません。一方、インフルエンザやノロウイルスは冬期に流行し、感染力が非常に強いため、職場での感染症対策の観点から事業主が一定期間の欠勤を指示することが必要です。
就業規則などに欠勤期間と欠勤処理の方法の明記を
インフルエンザやノロウイルスに罹患した際の欠勤期間、欠勤処理の方法について事前に定める必要があります。労働法にはこれらの欠勤期間について記載されていません。欠勤させる場合の扱いは、事業者が欠勤を命ずることになり、有給休暇ではなく特別休暇という形をとることが望ましいです。
インフルエンザの欠勤期間
学校安全衛生法に準じて「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで」が一般的です。ノロウイルスの欠勤期間
「症状が消えてから2日間」が一般的です。食品を取り扱う業種、保健福祉業では症状が消失後1週間は休ませたほうがいいと思います。欠勤による休業補償の有無
労働安全衛生法第68条、労働安全衛生規則第61条による「病者の就業禁止」は、慎重に行う必要があります。就業禁止とする場合は、あらかじめ産業医などの意見を聴く必要があり(労働安全衛生規則第61条第2項)、会社の決定が先にあり、産業医が後付けで意見を述べるという順番は不適切です。
インフルエンザやノロウィルスは、飲食店、保健福祉業など以外の労働者を就業禁止とするのは行き過ぎと考えます。事業場内での感染予防という理由のため、事業者都合による就業禁止措置という位置づけであり、労働基準法第26条の次の規定により平均賃金の6割以上の休業手当の支払い義務が生じます。
(休業手当)第二十六条 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。