衛生管理の知識

定期健康診断の後は保健指導を行おう

定期健康診断を年1回実施する義務があります。
平成28年の全国の有所見率は53.8%で、年々有所見率は増えています。
全国平均や過去の結果が活用されておらず、有所見率の傾向を把握していない事業場がほとんどです。
健康経営を行う上では自社の結果と様々なデータを比較することが大切です。もちろん個人情報への配慮が必要です。

有所見者数が増えている理由

有所見者数は年々増えており、今後も増えることが予想されています。
理由の一つは高齢の労働者が増えていることです。高齢化社会に伴い、定年の延長や、働ける限りは働くことが一般的になりつつあります。高齢者は青年よりも生活習慣病などに罹患している可能性が高いです。
もう一つの理由は今までに健康診断を実施していなかった事業場で健康診断が行われるようになったことです。健康診断を実施していなかった事業場は実施している職場よりも健康に対する意識が低いため、健康に問題を抱えている労働者の割合が高いです。

全国、都道府県のデータとの比較

政府統計ポータルサイトe-Statから全国平均や都道府県毎の有所見率についてダウンロードすることができます。

これと各々の事業場を比較することで、ご自身の事業場が平均よりも有所見率が高いか低いかを把握することができます。
全国、都道府県の平均値より有所見率が高ければ、社内で食事や運動などのキャンペーンを積極的に行って下さい。当社のお客さまでは野菜の摂取の励行や冷蔵庫へのカロリー表の貼付を行ったり、運動会の実施やフィットネスクラブへの補助を行い、健康経営を実践されています。
当社では衛生委員会を通じて食事や運動といった生活習慣に関しての情報や、高血圧症、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病といった生活習慣病についての情報を提供し、健康診断結果の改善について支援しています。

産業医による健康診断の事後措置だけでなく、保健指導も実施しましょう

事業者は健康診断を実施後に、産業医に健康診断の結果を確認させます。産業医は通常勤務、就業制限、要休業に区分し、事業者に報告します。産業医の意見に基づき就業上の措置を実施する義務があります。
肝機能障害や脂質異常症などの異常があったとしても概ね就業に支障はありません。ほとんどの受検者は通常勤務と判断され、産業医面談につながらず、産業医へ相談したり、産業医による指導が行われません。

健康診断の実施後は異常所見があった労働者が産業医に相談できる環境が望ましいです。
産業医は幅広い医学知識を備え、職場の状況を理解しています。生活習慣病に対する食事や運動の指導を行うことができます。この指導を保健指導といい、労働安全衛生法では努力義務となっています。
当社では保健指導に力を入れています。産業医が健康診断の結果を確認する際に、検査結果が著しく悪い受検者に対しては産業医面談、通院というような意見を述べ、産業医面談の機会を増やすようにしています。

健康診断の結果が悪いまま放置しないで下さい

健康診断の目的は自らの健康の状態を知ること、生活習慣病を予防すること、労働災害を未然に防ぐことです。
有所見者は健康に関する問題を抱えているため、健康に関する労災のリスクが高いと考えることができます。
せっかく健康診断を実施しても、診断結果が悪いまま放置したままでは意味がありません。
例えば、高血圧が続いていると脳出血や心筋梗塞などにつながります。夜勤や過重労働を行うと、高血圧と相乗してこれらのリスクが高まります。
健康診断を受けた後は、診断結果が昨年までと比較してどのように推移しているかをしっかり把握して下さい。昨年よりも明らかに悪化している場合は生活習慣を見直したり、健康診断の結果表に要通院や要精密検査と書かれている場合には通院をして下さい。産業医との面談を希望する場合は人事労務担当者に相談して下さい。

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