衛生管理の知識

飲酒で仕事ができなくなる?

適度な飲酒は、ストレスを減らし、リラックスができるかもしれません。
産業医として企業内で働いていると、アルコールが原因の心身の不調者によく出会います。
アルコールによる肝硬変のため体が思うように動かない、アルコール依存症による抑うつ状態(気持ちが落ち込む)のため仕事をきちんとこなすことができない、飲酒の渇望が抑えられずに仕事中に飲酒をすることがある、二日酔いで通勤をすることがあるなどの相談を受けることがあります。
アルコールを大量に、習慣的に飲むと、身体と精神の両方に悪影響を与えます。

アルコールによる身体障害

有名なのは肝臓病です。脂肪肝、アルコール性肝炎、肝硬変になります。
脂肪肝は肝臓に中性脂肪が沈着した状態で、飲酒を止めれば病状は改善します。
アルコール性肝炎は脂肪肝の状態で飲酒を続けた結果、アルコールによる炎症が肝臓で起こり、時に死ぬことがあります。
肝硬変は肝機能障害で一番重症です。腹水、吐血(食道静脈瘤破裂)、黄疸などを合併し、死につながることがあります。肝移植以外では治りません。

アルコールによる精神障害(アルコール依存症)

わが国にはアルコール依存症の患者さんが80万人いると推定されています。
「飲酒を減らそうと思ってもできない」、「飲酒を周囲から勧められたことがある」、「昼夜関係無く飲酒をする」、「飲酒による問題を起こしたことがある」、これらに当てはまることはありますか?一つでも当てはまればアルコール依存症の可能性があります。
アルコールは精神依存(アルコールが欲しくなる)、身体依存(アルコールを止めると離脱症状が出る)といった依存だけでなく、気持ちの落ち込み、妄想、幻覚、不眠などが生じることがあります。

アルコール依存症はうつ病、適応障害などと誤診されることがあります。
メンタルヘルスを専門とする産業医にご相談いただければきちんと評価をすることができます。