精神疾患を疑う症状
こころの調子が悪くなると、体の調子が悪くなります。逆も同じです。心身一如という言葉の通り、こころと体は一体です。
うつ病のこころと体の症状
うつ病では気持ちの落ち込み、意欲の低下、今まで楽しめていたことが楽しめないといったこころの症状が有名です。
食欲不振、不眠、倦怠感、体の痛みといった体の症状もよく認められます。
初期症状が体の症状だけの場合があります。その際には内科などを受診され、胃薬などが処方されます。体の症状もメンタル面が原因だと良くならないことがあります。
徐々にこころの症状が目立つようになり、身体科(内科、産婦人科など)からメンタルクリニックを勧められ、うつ病という診断にたどり着くまで時間がかかることがあります。
パニック障害のこころと体の症状
パニック障害では過呼吸、呼吸困難、発汗、動悸といった体の症状が有名です。
乗り物に乗りたくない、症状がまた出るのではといった心の症状も一般的です。
初めは過呼吸や動悸といった体の症状のことが多いです。電車内で過呼吸発作を起こして救急搬送されることがあります。救急科で採血や心電図などで検査が行われて、身体的に問題が無いと判断された後に、メンタルクリニックを受診され、パニック障害と診断されることがよくあります。
他のメンタルの病気でもこころと体の両方の症状があることが多い
メンタルの病気はこころの症状だけということは少ないです。体の症状があった場合、胃痛でも頭痛でも、内科などで治療をしてもなかなか治らなかったり、職場や家庭にストレスがあったり、以前とは何か違うような気がした場合には気軽にメンタルクリニックを受診されることをお勧めします。
また、職場にメンタルヘルスの専門医の産業医がいる場合には、気軽に産業医面談を申し出ることも重要です。
こころの症状からメンタルの病名が分かるか
こころの症状だけでメンタルの病名は分かりません。気持ちの落ち込みがあればうつ病とは言えません。幻聴が聞こえるから統合失調症とは言えません。
気持ちの落ち込みは適応障害や不安障害など、幻聴はうつ病や脳卒中などでも認められることがあります。メンタルの病気ではない健常な方でも気持ちの落ち込みや幻聴を感JR言うことがあります。
メンタルヘルスの専門家は患者さんの言葉の内容だけでなく、表情、言葉の抑揚、生活機能、各種検査などで病状を評価し、診断をしています。
メンタルの病気で多いこころの症状
憂うつな気持ち、意欲が出ない、趣味を楽しめない、仕事に行けない、不安が強い、焦る、イライラする、集中力が低下する、本を読んでも頭に入らない
→うつ病でよくある症状です。適応障害、統合失調症などでも認められます。
気持ちが高ぶる、何でもできそうな気がする
→躁うつ病でよくある症状です。他の病気でも認められることがあります。
無いものを感じる、襲われそうな気がする、誰かに監視されているように思う、自分は素晴らしい能力を持っていると思う、頭の中に考えていることが話さなくても誰かに伝わる、小さな音が大きく感じる
→統合失調症でよくある症状です。他の病気でも認められることがあります。
周囲に共感できない、空気が読めない、コミュニケーションがうまくとれない、自我が抑制できない
→自閉症スペクトラム障害(広汎性発達障害、アスペルガー症候群)でよくある症状です。他の病気でも認められることがあります。
メンタルの病気で多い体の症状
体の症状がある場合には、内科などを受診して、体の病気があるかどうかを検査することが大切です。
体の検査や治療をして、「体の病気ではない」と診断された場合にメンタルの病気を考えます。