衛生管理の知識

第一種衛生管理者と第二種衛生管理者

常時50人以上の労働者が働く事業場では、衛生管理者免許を有する者のうちから衛生管理者を選任する必要があります。
衛生管理者免許には第一種衛生管理者と第二種衛生管理者があります。

衛生管理者とは?

「衛生管理者」という言葉を色々な意味で利用しています。

衛生管理者免許の有資格者

衛生管理者免許という資格があり、有資格者を衛生管理者と言うことがあります。衛生管理者免許には、第一種衛生管理者免許、第二種衛生管理者免許があります。
資格を持っていても衛生管理者としての業務を行っていなかったり、衛生管理者として選任されていない場合があります。

衛生管理者として選任された者

衛生管理者として選任された者を衛生管理者と言いますが、この衛生管理者の全員が衛生管理者免許を持っているわけではありません。
50名以上の労働者が働く事業場では衛生管理者を選任する必要があります。第一種衛生管理者もしくは第二種衛生管理者免許を取得している方を選任することがほとんどですが、事業場によっては他の資格を取得している者を選任していることもあります。

第一種衛生管理者免許や第二種衛生管理者免許の保有者に加え、衛生工学衛生管理者、医師、歯科医師、労働衛生コンサルタント、その他厚生労働大臣が定める者を衛生管理者として選任することができます。実際には医師、歯科医師を衛生管理者として選任することはほとんどありません。

選任義務(事業場の労働者数が50名以上など)が生じて14日以内に、所轄の労働基準監督署に選任届を提出する必要があります。

衛生委員会のメンバーとしての衛生管理者

衛生委員会のメンバーに含める衛生管理者は、衛生管理者として選任された者から選ぶ必要があります。複数の衛生管理者を監督署に届け出た場合でも衛生委員会への参加は1人でも問題はありません。
事業場の労働者数が200名以上の場合は2名以上の衛生管理者を選任する必要があります。

第一種衛生管理者しか選任できない業種

第一種衛生管理者免許を有する者は、すべての業種の事業場において衛生管理者となることができます。
農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業及び清掃業では、第一種衛生管理者を衛生管理者を選任する必要があります。第二種衛生管理者を衛生管理者として選任することはできません。
これら以外の業種では、第一種衛生管理者と第二種衛生管理者のどちらでも選任することができます。

第一種衛生管理免許と第二種衛生管理者免許の試験範囲

試験験囲が第一種衛生管理者免許のほうが広いため、第一種衛生管理者のほうが試験は若干難しいようです。
受験勉強を通じて、労働衛生に関しての能力が身につくため、衛生管理者免許の取得をご検討の方は第一種衛生管理者への挑戦をおすすめします。

第一種衛生管理者免許の試験範囲

労働衛生(有害業務に係るもの)10問
労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの)7問
関係法令(有害業務に係るもの)10問
関係法令(有害業務に係るもの以外のもの)7問
労働生理10問

第二種衛生管理者免許の試験範囲

労働衛生(有害業務に係るものを除く)10問
関係法令(有害業務に係るものを除く)10問
労働生理10問

第一種衛生管理者免許と第二種衛生管理者免許の受験数と合格者数

平成29年の試験結果は次の通りでした。
再受験者を含む合格率が50%前後であり、きちんと勉強をしないと合格は難しいように感じます。

第一種衛生管理者免許 受験者数65,821人 合格者数29,636人 合格率45.0%
第二種衛生管理者免許 受験者数31,537人 合格者数17,302人 合格率54.9%

第一種衛生管理者 第二種衛生管理者
試験範囲 広い 若干狭い
試験合格率
(平成29年)
45.0% 54.9%
選任できる業種 農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業及び清掃業 左記以外の業種
参照:安全衛生技術試験協会労働安全衛生法に基づく免許試験