衛生管理の知識

衛生管理者

従業員50名の事業場では衛生管理者を選任する義務があります。同様に、50名以上の事業場では産業医の選任と、衛生委員会の実施義務もあります。
衛生管理者は、労働者の健康や労働環境の衛生に関する職務を行います。

衛生管理者の職務

  • 健康に異常がある者の発見及び処置
  • 作業環境の衛生上の調査
  • 作業条件、施設等の衛生上の改善
  • 労働衛生保護具、救急用具等の点検及び整備
  • 衛生教育、健康相談その他の労働者の健康保持に関する必要な事項
  • 労働者の負傷及び疾病、それによる死亡、欠勤及び移動に関する統計の作成
  • その事業の労働者が行う作業が他の事業の労働者が行う作業と同一の場所において行われる場合における衛生に関し、必要な措置
  • その他衛生日誌の記載等職務上の記録の整備等

衛生管理者の職場巡視

労働安全衛生法には、産業医だけでなく衛生管理者の巡視義務が定められています。
衛生管理者は少なくとも週1回、作業場を巡視し、設備、作業方法、衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならないと法律に記載されています。
週1回、職場全体を巡視し、簡潔に巡視記録を記載して下さい。
参照:職場巡視

衛生管理者を選任すべき業種

全業種で事業場の労働者が50名以上の場合、衛生管理者を選任し、労働基準監督署へ届け出る必要があります。
東京本社は30名、大阪支社は25名の場合、合計で55名となりますが、それぞれの事業場で50名未満のため衛生管理者の選任義務はありませんが、衛生推進者の選任義務があります。

林畜水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業及び清掃業では第二種衛生管理者免許の免許では衛生管理者になれないため、第一種衛生管理者免許を取得した者を衛生管理者として選任する必要があります。
第一・二種衛生管理者免許以外の資格(医師、労働衛生コンサルタントなど)でも衛生管理者の業務を行うことができます。

業種によっては衛生管理者だけでなく、安全管理者も選任する義務があります。
参照:衛生委員会と選任の早見表 / 安全管理者

第一・二種衛生管理者免許の資格を取得するために

第一・二種衛生管理者免許を取得するためには、所定の実務経験が必要で、その後に試験に合格をすることで資格が得られます。

受験資格、実務経験

  1. 大学(短期大学を含む)又は高等専門学校を卒業し、1年以上労働衛生の実務に従事した者
  2. 高等学校又は中等教育学校を卒業し、3年以上労働衛生の実務に従事した者
  3. 10年以上労働衛生の実務に従事した者

安全管理者とは異なり、筆記試験に合格する必要があります。

  1. 第一種衛生管理者免許
  2. 第二種衛生管理者免許
第二種衛生管理者免許の試験範囲は第一種衛生管理者免許より若干狭いです。試験対策のし易さから、事務系の仕事に就かれている方は第二種衛生管理者免許を取得される方が多いようです。

複数の事業場で兼任はできない

第一・二種衛生管理者免許が衛生管理者として選任された場合、複数の事業場で衛生管理者業務を行うことはできません。一つの事業場でしか衛生管理者として選任はできません。労働安全衛生規則第7条第1項第2号に「その事業場に専属の者を選任すること」と規定されているからです。
ただし、2人以上の衛生管理者を選任する場合で、衛生管理者の中に労働衛生コンサルタントがいるときは、労働衛生コンサルタントのうち1人についてはその事業場専属でなくてもよいとされています。
多くの職場で衛生管理者が不足しており、複数の事業場で同じ衛生管理者をその事業場の衛生管理者として届け出ている事例があります。仮にその労働者が複数の事業場を行き来している勤務実態があったとしても、衛生管理者(労働衛生コンサルタントを除く)を複数の事業場で兼任することはできません。

自社の社員以外を衛生管理者として選任できる?

第二種衛生管理者の選任が認められる業種で、衛生管理者が労働者派遣契約又は委任契約でその事業場に専属で、一定期間継続して職務に当たることが明らかにされている場合は可能です。