衛生管理の知識

安全管理者

従業員50名の事業場では衛生管理者を選任する必要がありますが、業種によっては安全管理者も選任する義務があります。選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任し、遅滞なく所轄の労働基準監督署へ届け出る必要があります。
安全管理者は、労働者や労働環境の安全に関する職務を行います。
衛生管理者と安全管理者を同一人物が併任できます。

安全管理者の職務

  • 建設物、設備、作業場所又は作業方法に危険がある場合における応急措置又は適当の防止の措置
  • 安全装置、保護具その他危険防止のための設備・器具の定期的点検及び整備
  • 作業の安全についての教育及び訓練
  • 発生した災害原因の調査及び対策の検討
  • 消防及び非難の訓練
  • 作業主任者その他安全に関する補助者の監督
  • 安全に関する資料の作成、収集及び重要事項の記録
  • その事業の労働者が行う作業が他の事業の労働者が行う作業と同一の場所において行われる場合における安全に関し、必要な措置

これらの全ての業務を衛生管理者、安全管理者が行うことは現実的ではないため、嘱託産業医などに相談し、協力して業務を行うことをおすすめします。

安全管理者の資格

研修と実務経験を経て、資格が得られます。 衛生管理者とは異なり、試験はありません。 安全管理者になるための要件は次の通りです。

  1. 厚生労働大臣の定める研修を修了した者で、次のいずれかに該当する者。
    1. 大学の理科系の課程を卒業し、その後2年以上産業安全の実務を経験した者
    2. 高等学校等の理科系の課程を卒業し、その後4年以上産業安全の実務を経験した者
    3. その他厚生労働大臣が定める者(理科系統以外の大学を卒業後4年以上、同高等学校を卒業後6年以上産業安全の実務を経験した者、7年以上産業安全の実務を経験した者等)
  2. 労働安全コンサルタント(これのみ研修は不要)

安全管理者を選任すべき業種

50名以上で安全管理者を選任する必要がある業種

下記の業種で労働者が50名以上の場合、安全管理者を選任し、労働基準監督署へ届け出る必要があります。

林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器等小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業

専任の安全管理者を選任する必要がある業種

次に該当する事業場にあっては、常時使用する労働者数が一定の人数を超えた場合に、安全管理者の内、少なくとも1人を専任(選任ではなく専任、つまり安全管理者としての業務のみを行う従業員を配置する義務がある)としなければなりません。

建設業、有機化学鉱業製品製造業、石油製品製造業⇒300人以上
無機化学工業製品製造業、化学肥料製造業、道路貨物運送業、港湾運送業⇒500人以上
紙・パルプ製造業、鉄鋼業、造船業⇒1,000人以上
上記以外の業種⇒2,000人以上

50名以上の場合は衛生管理者及び産業医の選任義務もありますので、これらについても有資格者を選任し、同様に労働基準監督署への届け出て下さい。

卸売り業、小売業で安全管理者の選任漏れが目立ちます

小売店で安全管理者の選任は不要と考えておられる事業場が多いように感じます。
きちんと法令に従って、産業医、衛生管理者だけでなく、安全管理者も選任する必要があります。
衛生管理者の場合は試験に合格しなければ衛生管理者の資格を取得出来ませんが、安全管理者は講習会への参加で資格を取得できます。安全管理者が未選任の場合は、速やかに講習会の受講を行い、安全管理者を選任して下さい。

各種商品小売業においても労働者50名以上の事業場で安全管理者を配置する必要があります。 建設業や製造業では危険な作業が多いため日々の業務を通じて産業安全の実務を経験できますが、小売店では危険な作業が少ないもしくは無いため産業安全の経験できないという意見を何度もいただいています。 防火や防災、労務管理、搬出入、清掃などの業務には多かれ少なかれ「安全」に関する業務が含まれているため、これらを一定期間経験した場合は資格要件を満たすとお考え下さい。

参照:衛生委員会と選任の早見表 / 衛生管理者