業務上の死傷災害は、墜落・転落、挟まれ・巻き込まれや、転倒、動作の反動・無理な動作が原因の場合が多いです。
墜落・転落と挟まれ・巻き込まれの件数は減少傾向にありますが、転倒と動作の反動・無理な動作の件数は増えています。
一般的なオフィスでは延長コードやLANケーブルによる転倒が目立ちます。

オフィス内のコードによる転倒、労災が目立ちます

オフィスで職場巡視をする際に、電源の延長コードや、LANケーブルが通路上に走ってる場面を見かけることがあります。また、従業員から「時々ケーブルに足が引っかかります」と訴えられることがあります。転倒を防ぐためにも床はスッキリさせておくことが望ましいです。

床下にケーブルを収納

二重床(OAフロア)の場合には、面倒かもしれませんが、カーペットをめくって床下に配線を引き直すことをお勧めします。

床に密着させる

ケーブルの上にモールを置いて床と密着させたり、暫定的であればガムテープで床にケーブルを貼り付けることも有用です。

天井からケーブルを吊す

床下以外にも天井からコードを吊り下げることも通路の確保が容易となります。製造業などでは一般的な方法です。

壁沿いにケーブルを張る

壁沿いであれば足に引っかかる可能性が低くなるため、ケーブルは壁沿いに固定する方法もあります。しかし、大きな事務所では、全てのケーブルを壁沿いに固定することは不可能です。

業種や事業場によっては業務用延長コードの利用を

市販されている延長コードのほとんどは家庭用です。暑熱、物理的な圧迫、雨などにさらされる職場では業務用の延長コードを利用して下さい。
一般的に一つのコンセントあたり1500Wの使用電力となっています。延長コードを利用する際には使用する電化製品の消費電力を確認した上で利用して下さい。特に、暖房器具、コピー機、ラミネーター、シュレッダー、デスクトップ型パソコンなどのは相対的に消費電力が多く、たこ足配線でこれらの器具をつないで利用すると火災の原因となることがあります。
衛生委員会は、労使一体となって、労働者の健康障害の防止や、健康の保持増進に関する取り組みなどについて調査や審議を行う委員会です。従業員が50名以上の事業場で月に1回以上行う必要があります。
労働安全衛生法第18条には、事業者(会社)は、政令で定める規模の事業場ごとに、次の事項(健康や衛生に関すること)を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、衛生委員会を設けなければならないと記載されています。
衛生委員会は労使交渉の場ではありませんが、労使が自由闊達に議論できる体制が望ましいです。

衛生委員会のメンバー

衛生委員会のメンバーを次のように選ぶ必要があります。 総括安全衛生管理者等以外のメンバーについて、その半数以上は、労働者の過半数で組織する労働組合(該当する労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者)の推薦に基づき指名する必要があります。
要は、半数以上を労働者側にして、労働者側の意見を聞きなさいということです。

総括安全衛生管理者等とは

社長、人事部長、工場長などの事業場を管理管轄する方から選びます。

衛生管理者

衛生管理者の免許があれば、管理監督者でも、一般職でも会社の役職は問わずに選任できます。衛生管理者が労働組合等から推薦を受けている場合は、労働者側と考えます。推薦を受けていない場合は、会社側と考えます。

産業医

産業医は会社が労働組合等の推薦を受けずに選任することが普通です。会社側が産業医を選任する(労働者が産業医を探してきて選任されることは無い)ため、衛生委員会内での立場は会社側となります。

労働者(衛生に関する経験を有する者)

衛生に関する経験者がいない場合には、未経験者から選んで下さい。労働者を何名選ぶ必要があるかは、衛生管理者に労働組合等の推薦があるかによって決まります。

衛生管理者が労働組合等の推薦を受けている場合

産業医は労働組合等の推薦を受けずに、会社側が選任しているため、産業医は常に労働者側の立場でなく会社側の立場となります。
会社側は合計1名【産業医1名】、労働者側は【衛生管理者1名】となります。
労働者は1名以上を委員として選ぶ必要があるため、労働組合等から推薦を受けた労働者を1名選任します。
合計4名【総括安全衛生管理者等1名、産業医1名、衛生管理者1名、労働者1名】の最小人数で衛生委員会を運営できます。
このメンバー構成で衛生委員会を運営する企業が多いようです。
きちんと労働組合等から推薦を受けたという記録を残すことが大切です。当社にはこのフォーマットを用意しています。

衛生管理者が労働組合等の推薦を受けていない場合

同様に産業医は会社側の立場となります。
衛生管理者は労働組合等からの推薦を受けない場合、上記とは異なって衛生管理者は会社側の立場となります。会社側は合計2名【衛生管理者1名、産業医1名】となります。
総括安全衛生管理者等以外のメンバーの半数以上を労働者側とする必要があり、労働組合等から推薦を受けた労働者を2名以上選任します。
合計5名【総括安全衛生管理者等1名、産業医1名、衛生管理者1名、労働者2名】で衛生委員会を運営できます。


衛生管理者が労働組合から推薦を受ければ衛生委員会のメンバーを1名少なく運営することができます。もちろん衛生委員会にたくさんの労働者を参加させたい場合は、労働者の立場で多くの人を参加させることができます。

衛生委員会の開催

事業者(会社)は衛生委員会を月に1回開催する義務があります。安全委員会も同様です。労働安全衛生規則第23条に定められています。衛生委員会の運営について必要な事項は、委員会が定めます。

議事録の作成・周知・保存

事業者は、委員会の開催の都度、速やかに議事録を作成、労働者に周知し、保存する義務があります。

委員会開催当日のタイムスケジュールはこちらをご覧ください。
参照:衛生委員会のタイムスケジュール例

衛生委員会で調査・審議する内容

職場の衛生や健康に関することを労使で話し合います。
労働安全衛生法第18条第1項及び労働安全衛生規則第22条には、次の内容を調査・審議するように記載されています。

  1. 労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること。
  2. 労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること。
  3. 労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に関すること。
  4. 衛生に関する規程の作成に関すること。
  5. 法第28条の2第1項別ウィンドウが開きますの危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置のうち、衛生に係るものに関すること。
  6. 安全衛生に関する計画(衛生に係る部分に限る。)の作成、実施、評価及び改善に関すること。
  7. 衛生教育の実施計画の作成に関すること。
  8. 法第57条の3第1項及び第57条の4第1項別ウィンドウが開きますの規定により行われる有害性の調査並びにその結果に対する対策の樹立に関すること。
  9. 法第65条第1項又は第5項別ウィンドウが開きますの規定により行われる作業環境測定の結果及びその結果の評価に基づく対策の樹立に関すること。
  10. 定期に行われる健康診断、法第66条第4項別ウィンドウが開きますの規定による指示を受けて行われる臨時の健康診断、法第66条の2別ウィンドウが開きますの自ら受けた健康診断及び法に基づく他の省令の規定に基づいて行われる医師の診断、診察又は処置の結果並びにその結果に対する対策の樹立に関すること。
  11. 労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置の実施計画の作成に関すること。
  12. 長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること。
  13. 労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること。
  14. 厚生労働大臣、都道府県労働局長、労働基準監督署長、労働基準監督官又は労働衛生専門官から文書により命令、指示、勧告又は指導を受けた事項のうち、労働者の健康障害の防止に関すること。

第13次労働災害防止計画に書かれている項目や、健康や衛生に関する日常で感じていることなどを取り上げて下さい。
当社では毎月これらに準拠した資料をお客さまに提供し、衛生委員会に産業医が参加する場合は産業医による解説を行っています。
参照:衛生委員会で調査・審議することが多いテーマ

議事録の作成

衛生委員会を実施後、速やかに議事録を作成する必要があります。
議事録の書き方はこちらをご参照ください。
参照:衛生委員会の議事録見本

議事録、健康診断やストレスチェック結果の保存期間

衛生委員会の議事録や労働者の健康診断、ストレスチェックの結果は保存期間が定められています。

議事録の保存期間

議事録の保存期間は3年間です。
議事録は従業員が見られる場所に置く必要があり、就業規則と同じ場所に設置する企業が多いです。
サーバー上に保存したり、メールで全体に周知するといった運用も可能です。

健康診断の結果の保存期間

定期健康診断の健康診断個人票は5年間保存する必要があります。
じん肺の健康診断及びX線は7年間、ベンゼン等の特別管理物質の製造・取扱業務従事者や電離放射線業務従事者の健康診断は30年間、アスベスト業務等従事者の健康診断は40年間です。

ストレスチェックの結果の保存期間

ストレスチェックの結果について本人の同意が得られた場合は、5年間保存する必要があります。

衛生委員会の立ち上げや運営は、慣れるまで難しいと思います。
経験豊富な産業医が所属する当社にご相談をお願いいたします。

衛生委員会の立ち上げ・運営のお問い合わせ

当社の産業医業務では、健康・安全・衛生に関する情報を当社の産業医からお客さまへ提供しています。
ストレスチェック、健康診断などについて取り上げることがあるのですが、心肺蘇生、救命救急処置について取り上げることもあります。

職場で誰かが倒れた場合、あなたは救命救急処置を行うことができますか?

国内で亡くなる方は年間100万人以上。病院や家だけで急変するわけではなく、職場や街中で急病人が認められることがあります。
電車で「急病人のために遅延しています」、飛行機で「お医者さんはいらっしゃいますか?」という放送を聞いた経験のある方は少なくないと思います。
心肺停止から1分経過する毎に、死亡率は10%増えます。お客様や同僚がお店で倒れた時に、その場にいるスタッフが救命救急処置を実践すれば、命が助かる可能性を高めることができます。誰もが救命救急処置を行うことが望まされています。

当社のお客さまで実際にあった事例

● 小売業での事例
店舗でお客さまが意識消失となりました。
衛生委員会でAEDの使い方を含めた初期対応について講義や実習をしていました。販売員が救命処置を実施し、救急隊に引き継ぎ、命を救うことができました。

● 情報通信業での事例
従業員がてんかん発作を起こしました。
同様に衛生委員会で意識障害時の対応についての情報を提供していました。他の従業員がバイタルの確認を行い、回復体位を取らせて救急隊へ引き継ぐことができました。

職場で具合が悪くなった人がいたら行っていただきたいこと

消防庁のサイトに救命救急処置がわかりやすく記載されています。

行っていただきたいことは以下の通りです。

  1. 人を集める
  2. 119通報
  3. 仰向けにする、嘔吐をしていれば回復体位にする
  4. 脈が触れなければ心臓マッサージ
  5. 心臓マッサージは複数人で交代して行う
  6. 人工呼吸についてはできない場合は行わなくてもいい
  7. AEDをつけて、機械の指示に従う
  8. 従業員であっても、お客さまであっても緊急連絡先を探す

衛生委員会、委員から全社員へ意識を広げよう

衛生委員会で、心肺蘇生、救命救急処置を取り上げることで、委員(衛生委員会への参加者)は救命救急処置が出来るようになります。
委員が職場全体にその知識や技術を展開できるように当社の産業医がサポートいたします。
小売業や飲食店をご利用中のお客さまが急変した際に、従業員が救急対応が出来ないとSNSなどにその状況がアップロードされ、企業運営に多大な影響を与えることがあります。この点においても、初期の救急対応を誰もができることが望ましいです。

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従業員50名の事業場では衛生管理者を選任する義務があります。同様に、50名以上の事業場では産業医の選任と、衛生委員会の実施義務もあります。
衛生管理者は、労働者の健康や労働環境の衛生に関する職務を行います。

衛生管理者の職務

  • 健康に異常がある者の発見及び処置
  • 作業環境の衛生上の調査
  • 作業条件、施設等の衛生上の改善
  • 労働衛生保護具、救急用具等の点検及び整備
  • 衛生教育、健康相談その他の労働者の健康保持に関する必要な事項
  • 労働者の負傷及び疾病、それによる死亡、欠勤及び移動に関する統計の作成
  • その事業の労働者が行う作業が他の事業の労働者が行う作業と同一の場所において行われる場合における衛生に関し、必要な措置
  • その他衛生日誌の記載等職務上の記録の整備等

衛生管理者の職場巡視

労働安全衛生法には、産業医だけでなく衛生管理者の巡視義務が定められています。
衛生管理者は少なくとも週1回、作業場を巡視し、設備、作業方法、衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならないと法律に記載されています。
週1回、職場全体を巡視し、簡潔に巡視記録を記載して下さい。
参照:職場巡視

衛生管理者を選任すべき業種

全業種で事業場の労働者が50名以上の場合、衛生管理者を選任し、労働基準監督署へ届け出る必要があります。
東京本社は30名、大阪支社は25名の場合、合計で55名となりますが、それぞれの事業場で50名未満のため衛生管理者の選任義務はありませんが、衛生推進者の選任義務があります。

林畜水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業及び清掃業では第二種衛生管理者免許の免許では衛生管理者になれないため、第一種衛生管理者免許を取得した者を衛生管理者として選任する必要があります。
第一・二種衛生管理者免許以外の資格(医師、労働衛生コンサルタントなど)でも衛生管理者の業務を行うことができます。

業種によっては衛生管理者だけでなく、安全管理者も選任する義務があります。
参照:衛生委員会と選任の早見表 / 安全管理者

第一・二種衛生管理者免許の資格を取得するために

第一・二種衛生管理者免許を取得するためには、所定の実務経験が必要で、その後に試験に合格をすることで資格が得られます。

受験資格、実務経験

  1. 大学(短期大学を含む)又は高等専門学校を卒業し、1年以上労働衛生の実務に従事した者
  2. 高等学校又は中等教育学校を卒業し、3年以上労働衛生の実務に従事した者
  3. 10年以上労働衛生の実務に従事した者

安全管理者とは異なり、筆記試験に合格する必要があります。

  1. 第一種衛生管理者免許
  2. 第二種衛生管理者免許
第二種衛生管理者免許の試験範囲は第一種衛生管理者免許より若干狭いです。試験対策のし易さから、事務系の仕事に就かれている方は第二種衛生管理者免許を取得される方が多いようです。

複数の事業場で兼任はできない

第一・二種衛生管理者免許が衛生管理者として選任された場合、複数の事業場で衛生管理者業務を行うことはできません。一つの事業場でしか衛生管理者として選任はできません。労働安全衛生規則第7条第1項第2号に「その事業場に専属の者を選任すること」と規定されているからです。
ただし、2人以上の衛生管理者を選任する場合で、衛生管理者の中に労働衛生コンサルタントがいるときは、労働衛生コンサルタントのうち1人についてはその事業場専属でなくてもよいとされています。
多くの職場で衛生管理者が不足しており、複数の事業場で同じ衛生管理者をその事業場の衛生管理者として届け出ている事例があります。仮にその労働者が複数の事業場を行き来している勤務実態があったとしても、衛生管理者(労働衛生コンサルタントを除く)を複数の事業場で兼任することはできません。

自社の社員以外を衛生管理者として選任できる?

第二種衛生管理者の選任が認められる業種で、衛生管理者が労働者派遣契約又は委任契約でその事業場に専属で、一定期間継続して職務に当たることが明らかにされている場合は可能です。
労働安全衛⽣法施⾏令第2条第3号に掲げる業種における安全推進者の配置等に係るガイドラインにおいて、常時10人以上の労働者が働く事業場で安全推進者を配置するように記載されています。

労働基準監督署の臨検時に、「安全推進者を選任せよ」と指導されることが多い

当社のお客さまでに、安全推進者が退職され、その後は未選任であった事業場がありました。
労働基準監督署の臨検があり、「第三次産業であるが、安全管理体制を充実し、労働災害防止活動の効果を高め、労働災害を減少させることを目的に、安全推進者の配置をすること。」という指導票が出される事例がありました。

安全推進者を選任する必要がある業種

対象は、下記の事業場以外です。
林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・什器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・什器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業

こちらの業種の事業場については、特に重点的に本ガイドラインに基づく安全推進者の配置に取り組むべきとされています。

  • 小売業
  • 社会福祉施設
  • 飲食店

小売で選任漏れが目立つ印象

当社のお客さまでは小売業で安全推進者の選任漏れが目立っています。
小売業ではバックヤードや倉庫での転落、転倒による腰痛などの労災が多発しており、労災予防の観点からも速やかに安全推進者を選任する必要があります。

安全推進者になるための要件

以下の何れかの要件を満たす必要があります。
実務経験のみで安全推進者になれる場合があります。
  1. 安全衛生推進者の資格を有する者(安全衛生推進者養成講習修了者、大学を卒業後1年以上安全衛生の実務を経験した者、5年以上安全衛生の実務を経験した者等)
  2. 安全衛生推進者と同等以上の能力を有すると認められる者(労働安全コンサルタントの資格を有する者、安全管理者の資格を有する者又は安全管理者の資格を有する

安全推進者の業務内容

職場の安全に係る業務を担います。総務業務を担いながらなど、他業務との併任が可能です。
  1. 職場環境及び、作業方法の改善に関すること
  2. 職場内の整理整頓(4S)の推進、床の凸凹面の解消等職場内の危険個所の改善、刃物や台車等道具の安全な使用に関するマニュアルの整備等
  3. 労働者の安全意識の啓発及び安全教育に関すること
  4. 朝礼等の場所を活用した労働災害防止に係る意義の周知・啓発、荷物の運搬等の作業に係る安全な作業手順についての教育・研修の実施等
  5. 関係行政機関に対する安全に係る各種報告、届出等に関すること
  6. 労働災害を発生させた場合における労働者死傷病報告の作成、及び労働基準監督署長への提出等
労働者10名から49名の事業場では衛生推進者もしくは安全衛生推進者、50名以上の場合は衛生管理者(業種によっては安全管理者も)を選任する義務があります。
ここでは衛生推進者と安全衛生推進者について説明をします。

衛生推進者や安全衛生推進者を選任していない事業場が非常に多いです

統計局のデータによると、我が国において、労働者が49名以下の企業は95%となっています。
10名から49名の事業場では衛生推進者もしくは安全衛生推進者を選任する義務がありますが、選任漏れが非常に多いようです。理由の一つは衛生推進者や安全衛生推進者を労働基準監督署へ届け出る必要が無いからです。
一方、50名以上の事業場では産業医と衛生管理者の選任及び衛生委員会の設置が義務となります。産業医と衛生管理者の選任届け(選任報告という紙に記載して提出)を労働基準監督署へ届け出る必要があり、50名以上の事業場では産業保健のスタッフをきちんと選任している事業場が多いようです。

10名から49名の事業場でも労働基準監督署の臨検はあります

小規模の事業場であっても、労働基準監督署の監督官が臨検に来ることがあります。
臨検に来るから衛生推進者や安全衛生推進者を選任するというのは好ましい理由ではありませんが、職場の健康、衛生、安全を管理するために選任をして下さい。
事業場単位で労働者数を数えるため、本社が100名、支店が20名という企業では、本社は産業医や衛生管理者、支店は衛生推進者を選任する必要があります。

衛生推進者とは

衛生推進者を選任する必要がある業種

林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業、加工業、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具、建具、じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具、建具、じゅう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業以外の業種で、労働者が10名から49名の事業場では衛生推進者を選任する必要があります。
例えば、当社のお客さまでは人材派遣業、不動産業などで衛生推進者を選任されています。

衛生推進者の業務

次の業務のうち、衛生に係る業務を行います。
  1. 施設、設備等(安全装置、労働衛生関係設備、保護具等を含む。)の点検及び使用状況の確認並びにこれらの結果に基づく必要な措置に関すること
  2. 作業環境の点検(作業環境測定を含む。)及び作業方法の点検並びにこれらの結果に基づく必要な措置に関すること。
  3. 健康診断及び健康の保持増進のための措置に関すること
  4. 安全衛生教育に関すること
  5. 異常な事態における応急措置に関すること
  6. 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること
  7. 安全衛生情報の収集及び労働災害、疾病・休業等の統計に関すること
  8. 関係行政機関に対する安全衛生に係る各種報告、届出等に関すること
参照:衛生推進者の選任

安全衛生推進者

安全衛生推進者を選任する必要がある業種

林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業、加工業、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具、建具、じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具、建具、じゅう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業の業種で、労働者が10名から49名の事業場では安全衛生推進者を選任する必要があります。
例えば、当社のお客さまでは製造業、通信業、小売業などで安全衛生推進者を選任されています。

安全衛生推進者の業務

次の業務のうち、安全と衛生に係る業務を行います。
  • 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること
  • 労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること
  • 健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること
  • 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること
  • 安全衛生に関する方針の表明に関すること
  • 労働安全衛生法第28条の2第1項の危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置に関すること
  • 安全衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること
参照:安全衛生推進者の選任

衛生推進者と安全衛生推進者だけで衛生と安全に係る業務を行うことは困難、産業医の活用を

労働者が10-49名の職場で、衛生推進者や安全衛生推進者が他の業務を兼任して行う(人事労務担当者が衛生管理者や安全衛生推進者を兼任されることが多い)ことは大変です。 小規模の事業場であっても、産業医、顧問医、労働衛生コンサルタントと契約することをおすすめします。

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本社には産業医や衛生管理者が選任されている企業でも、支社や店舗といった従業員が少ない事業場では衛生推進者(業種によっては安全衛生推進者)が選任されてないことが多いです。
小規模の事業場も本社と同様に健康や衛生管理を実施することが大切です。

10-49名の事業場では衛生推進者の選任を

10人から49人の労働者が働く事業場では衛生推進者(業種によっては安全衛生推進者)を選任する義務があります。
50名以上の労働者が事業場では衛生管理者と産業医(業種によっては安全管理者も)の選任が義務です。
労働者数は常時雇用しているパート、アルバイトの方も含めた人数です。ある営業所にアルバイト2名、社員9名が働く場合は、合計11名となり、衛生推進者を選任する必要があります。
衛生管理者とは異なり、衛生推進者の監督署への選任報告は不要です。

支店の健康管理は本社の産業医に協力を求めて下さい

労働者数が10名未満であれば衛生推進者などを選任する必要はありません。
一方、数名の職場であっても事業者に健康診断の実施義務があります。健康診断受検者の50%以上が有所見者です。有所見者の多くは就労に問題はありませんが、著しい高血圧などがある場合には夜勤や過重労働などで心筋梗塞や脳卒中のリスクなどが高まります。
また、小売店の店舗、飲食店などでは非常に労災が多いことが知られています。
本社で産業医が選任されている場合には、その産業医に小規模事業場の健康管理業務を求めて下さい。産業医による健康診断の確認は、非常に重要です。

本社と支店で健康や衛生管理が異なることは好ましくない

本社に勤務をしていると、衛生委員会に参加できたり、産業医に健康について相談をすることができる。一方、支店や店舗に配属されるとこれらとは無縁となる。このような健康管理の格差がある企業がとても多いです。
可能であれば、支店でも本社の衛生委員会の議事録を見られるようにしたり、産業医との面談が受けられるような体制が望ましいです。

従業員数と選任の関係はこちらの早見表をご覧ください。
参照:衛生委員会と選任の早見表

当社では、本社との嘱託産業医契約に、小規模事業場の健康管理業務を含めることができます。

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産業医は職場において労働者の健康の保持や増進に努め、専門的な立場から指導や助言を行う医師です。
健康診断結果の確認と事後措置の判定、不調者との面談、職場巡視、衛生委員会への参加などを行います。職場で診察(投薬や検査など)を行うことは原則としてありません。
50名以上の労働者が働く職場では、産業医を選任する義務(労働基準監督署に届け出る義務)があります。
産業医は会社側の意向だけに従って働くことは無く、会社と労働者にとって中立な立場で働いています。
産業医を行うためには産業医の資格を取る必要があります。医師国家試験に合格して医師免許を取得しても、直ちに産業医として企業の中で働くことはできません。

産業医の業務内容

産業医の3大業務は健康管理、作業管理、作業環境管理と言われています。これに総括管理(職場の健康管理などの取りまとめ役)と、教育を含めて5大業務と言うこともあります。
産業医の業務を全て記載すると莫大な文字数となり、分かりにくいため、産業医の主な業務だけを下記に記載します。
  1. 健康診断の結果の確認と、就業区分(通常勤務、就業制限、要休業)の判定
  2. 衛生委員会への参加
  3. 面談
    • 休職者
    • 復職予定者
    • 職場復帰後間もない者
    • 心身の不調がある(疑いも含む)者
    • 過重労働(時間外労働80時間/月以上)の者
    • 健康診断の有所見者
    • ストレスチェックの高ストレス者
    • その他面接・カウセリング希望者など
  4. 職場巡視
  5. 衛生教育(健康や衛生に関する情報を提供します)
  6. 監督署への提出書類の作成
  7. ストレスチェックの実施者業務
  8. 事業者への勧告(作業環境が劣悪である場合などは改善を強く促す意見を出します)
  9. 人事労務担当からの相談への対応

嘱託産業医と専属産業医の違い。産業医は月1回しか勤務しないことが多い

労働者が50名以上の事業場では産業医を選任する必要があります。業種によりますが、労働者が1.000名以上の事業場では産業医を専任する必要があります。
「せんにん」という発音は選任と専任で同じですが、選任された産業医(嘱託産業医と言う)と専任の産業医(専属産業医と言う)の意味や役割は異なります。

産業医は嘱託産業医と専属産業医に分類

50名から999名の事業場では嘱託産業医、1,000名以上の事業場(業種によって500名の場合あり)では専任産業医がいます。産業医がいなければ労働安全衛生法違反です。
我が国において、労働者が1,000名以上の職場は非常に少なく、嘱託産業医の数>専属産業医の数となります。
業務内容は嘱託産業医、専属産業医で変わりません。

嘱託産業医の働き方

嘱託産業医は月1回以上の訪問をします。ほとんどの事業場では産業医は月1回しか訪問せず、不調者との面談などの臨時業務があった場合に月2回以上の訪問をします。
月1回の理由は、産業医の職場巡視は月1回以上(月2回以上に減らせることもできますが、一般的では無い)が義務となっていたり、衛生委員会が月1回以上の開催義務があり、その委員に産業医を含める必要があるためです。
非常勤契約のため、他社の産業医業務や、病院での勤務医などを併任しながら産業医業務をしています。
嘱託産業医だから産業医としてのレベルが低いという訳ではありません。嘱託産業医としてたくさんの企業で勤務をしたり、色んな業種を経験している場合は能力が高い可能性があります。

専属産業医の働き方

専属産業医は他の労働者と同様に、事業場に常駐し、就業規則通りに働きます。
他の労働者は週5日勤務が一般的ですが、専属産業医は週4日で働くことが多いようです。大学病院でもクリニックでも、医師の常勤勤務=週4日が多いことと関係しています。
ほぼ毎日、事業場内にいるため、職場のことを熟知したり、多くの労働者から産業医として認知されたり、職場で健康や衛生に関する問題が生じた際に速やかに関わることができるという点で嘱託産業医よりもメリットがあります。
一般的に労働者数が増えると産業医が関わる業務も増える(健康診断の枚数、不調者の数など)ため、労働者数が増えれば月1回の嘱託産業医では業務がこなせ無いため、労働者が1,000人以上の職場では専属産業医が必要となっていると考えることができます。

産業医の資格を得るための要件

労働安全衛生法には産業医になるための要件が定められています。

医師であり、以下のいずれかの要件を備えた者。

  1. 厚生労働大臣の指定する者(日本医師会、産業医科大学)が行う研修を修了した者
  2. 産業医の養成課程を設置している産業医科大学その他の大学で、厚生労働大臣が指定するものにおいて当該過程を修めて卒業し、その大学が行う実習を履修した者
  3. 労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験区分が保健衛生である者
  4. 大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授、常勤講師又はこれらの経験者

要件1の「日本医師会認定産業医」の産業医がほとんどです。所定の講習会に参加し、50時間の研修を受ければ資格を取得できます。産業医の資格を得るために、面接や筆記試験は無く、産業医としての実務経験も問われません。
要件2の産業医は専属産業医として、大企業で活躍されている方が多くを占め、産業医の割合では少数派です。
要件3の労働衛生コンサルタントは厚生労働省の国家資格です。難関な試験に合格する必要があり、労働衛生に関する実務経験が求められます。産業医の割合では少数派です。
要件4も同様に少数のようです。

知識や実務経験に長けた産業医をお勧めします

産業医の能力はピンからキリまで様々です。産業医の資格は講習会に参加するだけで得られたり、産業医の資格を持っていても産業医として働いたことが無い医師もいます。
産業医を選ぶ際には、産業医としての実務経験や労働衛生コンサルタントなどの資格を参考にされると良い産業医に出会える確率が高くなります。
職場で大きな問題となっているメンタルヘルスの臨床経験や、精神科専門医などの資格も評価基準とされることをお勧めいたします。
当社では、労働衛生コンサルタントの資格を持つ産業医、産業医科大学(産業医の養成するための医科大学)を出た産業医、メンタルヘルスの専門医などが対応しています。

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労働者が50名以上の事業場では、衛生委員会を設置・実施する必要があります。
また、労働者の数に応じて衛生管理者と産業医を選任(労働者数や業種に応じて専任)する必要があります。
業種によって選任の要件が異なるので、一般的なサービス業を想定しています。

労働者数と衛生管理者・安全管理者・安全衛生推進者・衛生推進者・産業医の選任の早見表

労働者が50名以上の事業場では衛生管理者と産業医、さらに業種によっては安全管理者を選任する義務があります。10-49名の事業場では安全衛生推進者もしくは衛生推進者を選任する義務があります。
50名以上の事業場での安全管理者、10-49名の事業場での安全衛生推進者と衛生推進者の選任漏れが散見されます。
※選任ですので、人事や総務課などの他の業務と併任することが可能です。

法令では衛生管理者の選任にかかる労働者数は「超」、産業医は「以上」と記載されています。以下表は産業医の人数に基準を合わせて作成をしています。

労働者数 選任すべき資格者 衛生管理者の人数 産業医の人数 衛生委員会設置の要否
1-9人 なし 0人 0人 ×
10-49人 衛生推進者
(※ 安全衛生推進者)
0人(衛生推進者が1人必要) 0人 ×
50人- 衛生管理者
産業医
(※ 安全管理者)
1人 1人(嘱託産業医) ○
200人- 衛生管理者
産業医
(※ 安全管理者)
2人 1人(嘱託産業医) ○
500人- 衛生管理者
産業医
(※ 安全管理者)
3人 1人(嘱託産業医、一部業種では専属産業医) ○
1,000人- 衛生管理者
産業医
(※ 安全管理者)
4人 1人(専属産業医) ○
2,000人- 衛生管理者
産業医
(※ 安全管理者)
5人 1人(専属産業医) ○
3,000人- 衛生管理者
産業医
(※ 安全管理者)
6人 2人(専属産業医) ○

安全推進者や安全管理者の選任が必要な業種

労働災害が多い、事故が多い業種では労働者数に応じて安全推進者や安全管理者を選任する義務があります。
小売店において安全推進者や安全管理者が未選任な場合が目立ちます
労働者数 林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業、加工業、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具、建具、じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具、建具、じゅう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業 左記以外の事業場
1-9名 選任は不要 選任は不要
10-49名 安全衛生推進者 衛生推進者
50名- 安全管理者
衛生管理者
産業医
衛生管理者
産業医

総括安全衛生管理者の選任が必要な労働者数

労働者数に応じて総括安全衛生管理者を選任する必要がありますが、業種によって要件が異なります。
現場監督、工場長、施設長、総務部長といった事業場を代表される方から選びます。衛生管理者や安全管理者の資格は不要ですが、安全や衛生を統括する立場であり、これらの資格を持っているほうが望ましいです。
当社のお客さまでは建設業、運輸業、製造業で総括安全衛生管理者を選任されている事例が多いです。
業種 労働者数
林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業 100人以上
製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器等小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業 300人以上
その他の業種 1,000人以上