衛生管理の知識

ハザードとリスクの違い

厚生労働省による労災対策の文書や、労働安全・衛生の書籍にはハザードやリスクという言葉がたくさん出てきます。
ハザードとリスクの違いをきちんと理解する必要があります。ハザードを見つけて危険性や有害性を評価します。リスクを明確にしてリスクアセスメント行うことが求められています。

ハザードとは

危ない状態が存在していることです。危険性や有害性ということもあります。
危険性と有害性に分けて考えます。

危険性の分類

  • 機械などによる危険性
  • 爆発性の物、発火性の物、引火性の物、腐食性の物などによる危険性
  • 作業方法から生じる危険性
  • 作業場所による危険性
  • 作業行動などから生じる危険性

有害性の分類例

  • 原材料、ガス、蒸気、粉じんなどによる有害性
  • 放射線、高温、低温、超音波、騒音、振動、異常気圧などによる有害性
  • 作業行動などから生じる有害性

リスクとは

ハザードによって生じる災害や疾病の重篤さ(軽症であるか重症であるか)と、起こる確率を考慮したものです。

職場の通路にLANケーブルがむき出しで放置されている場合

危険性(ハザード)について、LANケーブルで転倒する危険性があり、転倒で頭を打ったり、骨折をする可能性があるため、疾病の重篤さは重症と評価します。
起こる確率について、誰もが通る通路であり、確率は高いと評価します。
危険性(ハザード)は重症、確率は高いため、リスクは高いと考えます。

有機溶剤を利用しているが、使用量は少なく、プッシュプル型換気装置を利用している場合

有害性(ハザード)について、有機溶剤の種類にもよりますが、時に意識障害、癌などの致死的な健康被害を与えることが多く、疾病の重篤さは重症と評価します。
起こる確率について、換気装置が備えられ、作業環境測定で第1管理区分(空気中に有機溶剤がほとんど含まれていない)であれば、確率は低いと評価します。
危険性は重症、確率は低いため、リスクは中程度と考えます。

リスクを評価することをリスクアセスメントと言う

上記のように危険性・有害性と、起る確率を鑑みてリスクを評価することをリスクアセスメントといいます。
過去に労災があった場所はハザードと考えます。職場巡視の際にハザードを見つけ、それに対してリスクアセスメントを行います。
リスクが高いと考えられたものから優先的に取り組みます。

リスクアセスメントの方法

当社では有機溶剤を扱う事業場ではコントロールバンディングによりリスクアセスメントを実施しています。
それ以外の転落、転倒などのハザードに対してはマトリクス法を用いたリスクアセスメントを実施しています。

当社は職場巡視時を積極的に行い、リスクアセスメントの導入を推奨しています。

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