衛生管理の知識

アニサキスによる食中毒

アニサキスは魚介類に寄生する寄生虫の一種です。
長さは2センチ程度であり、肉眼で見ることができます。食中毒の原因となるウイルス(ノロウイルスなど)や細菌(サルモネラなど)は寄生虫よりも非常に小さいため、肉眼で確認することはできません。

アニサキスが寄生している生の魚介類を食べることで、アニサキスが消化管の内に入ります。アニサキスが胃や腸の壁に侵入し、腹痛などの消化器症状が出現します。

治療は内視鏡による摘出術で、ウイルス性の食中毒と同様に抗生物質の効果はありません。

原因

アニサキスが寄生している魚介類が原因です。鮮魚売り場で売られているタラやサンマにおいて、時々アニサキスを見つけることができます。最近は「魚にアニサキスが寄生していることがあります」という注意書きが貼られてることがあります。
  • 生の魚介類(タラ、サバ、サンマ、アジ、イワシ、ヒラメ、サケ、カツオ、イカ等)
  • 冷凍処理をしていないサケ、シメサバ等

症状

消化管に入ったアニサキスが胃壁や腸壁に入り込み、腹痛が生じます。かなり強い腹痛です。
  • 胃アニサキス症:食後数時間~10数時間後に激しい上腹部痛、吐き気、嘔吐など
  • 腸アニサキス症:食後10数時間~数日後に激しい下腹部痛、発熱など

予防

  • 海産魚介類を生で食べる場合は、目でよく見てアニサキスを取り除く。
  • 冷凍をするか、中心まで十分に加熱する(冷凍と加熱でアニサキスは死ぬ)。
  • アニサキスは魚の鮮度が落ちると内臓から身に移動する。新鮮なうちにできるだけ早く内臓を除去する。魚の内臓を生で食べない。
  • 魚介類を調理する際には細かく切る(いかソーメンのように)。

治療

  • 必ず医師の診察を受けて下さい。
  • 市販の痛み止めなどを利用しても根本的な対応となりません。
  • 胃カメラを使用して除去しますが、開腹手術となることもあります。
  • 抗生剤は効果がありません。