衛生管理の知識

風疹の流行、予防、職場での対応

風疹が流行しているというニュースをよく耳にします。
妊婦さんが感染すると胎児も風疹に感染し、先天性の奇形につながることがあります。
女性の労働者が一般的となっており、企業においても風疹の知識を知る必要があります。

何が問題か

妊婦さんが風疹に感染すると、胎児が先天性風疹症候群になることです。 我が国はワクチン接種率が低く、ワクチン接種で多くを予防できます。

風疹とは

風疹ウイルスによる感染症です。
感染から2-3週間の潜伏期があり、発熱、小さな発疹、リンパ節の腫脹が特徴です。
自覚症状が無かったり、風邪のような症状の場合もあり、症状が軽いと受診されない方が多いです。

感染経路

咳やくしゃみなどに含まれる風疹ウイルスを吸い込んだり(飛沫感染)、 ウイルスが手についた状態で、目や口に触れること(接触感染)で感染します。

診断

内科や皮膚科を受診し、ウイルスの遺伝子検査や血清の抗体検査で確定診断を行います。
前者は結果が速やかに出ますが、実施できる施設は研究所や大学などに限られています。
後者は結果の判定に時間がかかりますが、多くの施設で実施できます。
風邪のような症状で受診されると、服の上から聴診器を当てたり、喉を診るだけとなり、皮膚の状況を十分に見ること少ないため、診断がつかないことがあります。

治療

根本的な治療法はありません。 発熱には解熱剤のように、対症療法を行います。

予防

ワクチンで多くを予防できます。
我が国の成人はワクチンの定期接種から風疹ワクチンが漏れていることがあり、 ワクチン摂取率が低いため風疹が流行していると考えられています。
MRワクチンが風疹のワクチンとして一般的で、風疹ワクチンと麻疹(はしか)ワクチンが混合されています。
このワクチンは生ワクチンです。病原体そのものが含まれており、妊婦さんが接種すると胎児が感染するため、妊婦さんはワクチンを接種できません。 妊娠前(1ヶ月以上前)に接種する必要があります。ワクチンを打っても抗体が100%できる訳では無いため、抗体が出来ない妊婦さんのためにも、 感染源となる多くの国民が老若男女関係なくワクチンを打つことが感染予防のために求められます。
男性は妊婦や胎児の風疹には関係無いと考えがちですが、 自分自身が感染源となることも想定されるため、可能であればワクチンを打つことが望ましいです。

ワクチンの費用

子供は無料ですが、成人は自治体によって費用が助成されます。
ワクチン接種は自由診療であり、保険証が利用できません。 私が2007年に追加接種した際は8,000円を支払いました。

職場で風疹が出た場合の対策

風疹は学校感染症に定められており、発疹が消失するまで出席停止です。 職場でもこれに準じた就業制限が望ましいと考えます。
従業員に風疹や、風疹のワクチンに対する正しい知識を提供することが望ましいです。