衛生管理の知識

梶本隆夫産業医がNHKのニュースに出ました

NHKのNews Upに梶本隆夫産業医が取材協力させていただきました。こちらからご覧下さい。この記事はオミクロン株が流行る前に記載したものです。
NHKのニュースで「スポーツ会場やコンサート会場に行くことで健康になる」という話しをしました。会場に行き、非日常の体験をすることでアドレナリンやドパミンなどの分泌がさらに促され、メンタルにも身体にもより良い影響を与えます。
アドレナリンやドパミンなどの脳内物質を理解し、コントロールできれば、人生を変えられると言っても過言ではないかもしれません。エンターテインメントは私達の人生を豊かにし、エンタテインメントがあるから私達は日頃の辛いことを頑張ることができます。感染状況や変異株の状況も考慮しながら感染防止対策と経済社会活動の両立が求められます。

スポーツの応援は力になる!

当社は産業医業務だけでなく、スポーツやコンサート会場でのコロナ・熱中症対策を請け負っています。代表の梶本隆夫産業医はスポーツドクターとして東京オリンピックなどでの医務室、精神科医としてスポーツ選手などの診察歴が豊富です。
今回はNHKのニュースで「スポーツ会場やコンサート会場に行くことで健康になる」という話しをしました。自宅のTVでスポーツ観戦をしたり、好きなアーティストのDVDを見るだけでも心身へ良い影響を与えます。会場に足を運んで生で非日常の体験をすることでアドレナリンやドパミンなどの分泌がさらに促され、メンタルにも身体にもより良い影響を与えるということを説明しました。
アドレナリンやドパミンはメンタル面においてポジティブな気持ちを持てたり、嫌な気持ちを吹き飛ばす作用があります。身体面において力がみなぎったり、疲れが吹き飛ばす作用があります。生で選手の活躍を見ることで、感動、夢、生きがいが生まれ、人生が明るくなることもあります。

声援は止めよう

会場で声を出して応援することでさらにドパミンやアドレナリンが分泌されます。大声で歌ったり、笑うことでストレスホルモンであるコルチゾルが減ることも分かっています。スポーツやコンサートを見に行くことで、幸福感が得られ、気持ちが落ち着き、元気になることは科学的に正しいと言えます。
観戦に夢中になってマスクを外してしまう人がいたり、顔とマスクのサイズがあっていない人がいたり、ウイルスの透過性が高いマスクを使っている人がいた場合、皆が大声で選手を応援してしまうと、新型コロナを広げてしまう可能性が高くなります。全員がそれぞれに合う不織布マスクを着用することは現実的には困難です。
新型コロナウイルスは飛沫感染で感染が広がることが分かっています。声援で飛沫感染のリスクが増えるため、声を出さずに応援することが望ましいです。コロナが終息するまでは声援を控え、拍手や起立で選手に気持ちを伝えましょう。

競技場やコンサート会場は危険なのか

会場は観客もスタッフも全員がマスクをしています。さらに検温、手指消毒、換気、人数制限、イベントによっては陰性証明やワクチン接種などが実施されています。
屋外会場は常に新鮮な空気に入れ替わっています。屋内会場は気積が極めて大きく換気性能が高いことが知られています。多くの人を会場に集客していても、全員がマスクを着用し、静かに観戦していれば満員の通勤電車と比較して危険とはいえません。
Lancet Infectious Diseasesによると2021年5月29日にパリのAccor Arenaという屋内会場でライブが行われた際に、ライブ参加者と非参加の一般住人の陽性割合は0.2%(8人陽性)、0.15%(3人陽性)で有意差はありませんでした。対象者は入場3日前に抗原検査で陰性を確認し、14日間追跡されています。入場時にマスク着用、検温、手指消毒、体調確認があり、会場内ではマスク着用アルコールの提供はありませんでした。物理的な距離を置かず、いわゆる密な状態で開催されました。きちんと対策をすればライブを開催してもクラスターになる可能性は少ないといえます。当社が関わった数千から数万人の来客があったスポーツイベント、コンサートではコロナのクラスターは一例もありません。

無観客試合の結果、メンタル不調が増えた?

メンタルの外来や産業医面談を通じて、スポーツ観戦やコンサートへの参加が生きがいの方がコロナ禍で参加できなくなり、精神症状が悪化する事例を少なからず経験しています。うつ病の方がうつ病を悪化させて働けなくなったり、健康な方がうつ病に近い状態になるなど、コロナによる行動の自粛がメンタルに大きな影響を与えていました。
生きがいは人それぞれです。スポーツを生で見ること、アイドルのコンサートに行くことを人生で一番大事にしている方がいるのは事実です。精神科の治療は精神療法(カウンセリング)、環境調整、薬、気分転換が4本柱です。
スポーツ観戦などの趣味をもっていると、趣味を通じて気分転換ができ、メンタルの状態を改善することができます(もちろんうつ病の方は興味の喪失が主症状の一つのため、抑うつ状態が著しいと楽しむことができません)。軽いうつ病の方、適応障害で職場のストレスに悩んでいる方、パニック障害で通勤電車に乗れない方で気分の改善を図りたい場合、スポーツ観戦やコンサートに参加(もちろん、読書、旅行、温泉などでも問題ありません)することを検討してください。アドレナリンやドパミンなどの脳内物質を理解し、コントロールできれば、人生を変えられると言っても過言ではないかもしれません。
コロナ禍において感染対策が優先されるのはやむを得ないことです。エンターテインメントは私達の人生を豊かにし、エンタテインメントがあるから私達は日頃の辛いことを頑張ることができます。
人と人が直接ふれあうことによって、五感で相互を理解し、自分の存在を認識できます。コロナ禍で人と人の接点が減少し、PCやスマホでのコミュニケーションばかりになり、大事なものを失いました。他人とのコミュニケーションに齟齬が生じやすくなり、他人との助け合いが減り、時に生きる気を失うことがあります。会うことが、いちばんです。感染状況や変異株の状況も考慮しながら感染防止対策と経済社会活動の両立が求められます。

当社の提供業務

当社は産業医業務だけでなく、スポーツ会場の健康管理、メンタルヘルスの取材などを請け負っています。業務や取材の依頼についてお気軽にお問い合わせください。


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