衛生管理の知識

メンタルクリニック、精神科、心療内科、神経内科の違い

産業医としてメンタルクリニックの受診を勧めることがあります。人事労務担当者や不調者から、「メンタルクリニック、精神科、心療内科、神経内科の違いが分からず、どの診療科を受診すればいいか分からない」という質問を度々受けます。

メンタルクリニックは精神科や心療内科を標榜する診療所(クリニック)のことです。
メンタルヘルスを扱う診療科が精神科、心療内科です。脳などの中枢神経や末梢神経の疾患を扱う診療科が神経内科です。

メンタルクリニックは精神科や心療内科を標榜する診療所

メンタルという言葉の通り、メンタルヘルスの問題でお悩みの方を対象としています。
メンタルヘルスを扱う診療科は精神科や心療内科です。精神科や心療内科を標榜する診療所のことをメンタルクリニックといいます。

診療所(クリニック)と病院の違い

医療法でベッド数が19床以下またはベッドがない施設を診療所、20床以上を病院と定めています。診療所のことをクリニックということもあります。

精神科の特徴

精神疾患を専門とする診療科です。気持ちが落ち込む、意欲が出ない、寝られない、イライラする、空気が読めずに周囲と馴染めない、幻聴があるといった症状でお悩みの方が受診されます。
うつ病、躁うつ病、パニック障害、統合失調症、自閉症スペクトラム障害(発達障害)、不眠症、認知症といった病名の方の治療を行います

心療内科の特徴

精神症状に伴う身体症状を専門とする診療科です。過食や嘔吐が止められない、ストレス下での頭痛や胃痛といった身体症状でお悩みの方が受診されます。
主に摂食障害、緊張性頭痛、過敏性腸症候群といった病名の方の治療を行います。
心療内科という名称は日本にしか存在しないといわれています。

精神科と心療内科の違い

精神科と心療内科は共にメンタルヘルスを扱う診療科ですが、実際には違いはほとんどありません。
精神科はうつ病、パニック障害、統合失調症、自閉症スペクトラム障害など、心療内科は摂食障害、緊張性頭痛、過敏性腸症候群などを得意としていますが、精神科での摂食障害の治療や、心療内科でうつ病が日常に行われています。
患者さんにとって精神科よりも心療内科という名前のほうが受診しやすいため、精神科医が精神科だけでなく心療内科を標榜したり、うつ病などの患者さんが受診しやすいように心療内科医が心療内科だけでなく精神科を標榜することがあると聞きます。
精神症状が主体なら精神科、身体症状が主体なら心療内科への受診が望ましいと思いますが、どちらを受診してあまり変わらないと思います。通院のしやすさ、医師の経歴や人柄、治療方針などで医療機関を選ぶことが望ましいと考えます。

神経内科の特徴

精神科や心療内科とは異なり、神経内科はメンタルヘルスを取り扱わず、脳などの中枢神経や末梢神経の疾患を専門とする診療科です。もの忘れがある、手足が動かないといった神経の症状でお悩みの方が受診されます。
主に認知症、パーキンソン病といった病名の方の治療を行います。


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