衛生管理の知識

熱中症は手のひらを氷水で冷やすことも有用

暑い日々が続いています。4日以上の業務上疾病では腰痛の次に熱中症が多くなっています。暑熱下の通勤、営業の外回りなどでも熱中症が発生しており、全ての事業場で熱中症対策が求められています。

職場での熱中症対策は作業環境管理、作業管理、体の冷却、服装、水分・塩分摂取、休憩、健康管理、救命救急処置に分類して取り組んで下さい。

手のひらを氷水で冷やすだけでも熱中症のリスクを減らすことができます。

作業環境管理

職場環境を冷やすことが大切です。WBGT28℃以下を目安とします。エアコン、スポットクーラー、送風機を用いたり、屋根やブラインドで遮光します。火などの発熱体を用いる現場では、風下に設置をし、隔離します。熱気は上方から換気すると効率的に排気できます。打ち水、植栽、遮光フィルム、断熱塗料の塗布なども検討します。

作業管理

WBGT28℃以上の場合には、1時間ごとに5分から10分の休憩を行います。暑熱に慣れていない労働者はこれよりも休憩時間を多くしたり、暑熱下での労働を短くします。12時から15時前後は外気温が一日で最も高いため、暑熱作業を避け、屋内作業を行うことを検討します。

体の冷却

手のひら冷却法によって深部体温を下げられます。予めバケツに氷水を入れておき、暑熱下での作業、休憩中に5分から10分手を氷水につけると体の芯から冷やすことができます。アスリートの場合は運動後に水風呂につかることもあります。
冷たい飲料を飲む、冷えた休憩室で休む、首や脇を氷で冷やす、氷ベストなどを着用することも効果的です。

服装

速乾性のある素材で白色の物を選びます。外傷のリスクが低い事業場では半袖を着用します。体と衣類に空間があると空気が入り、効率的に汗を乾かすことができます。場合によってはファン付きの作業着、帽子、氷ベスト、氷ネクタイなどをを利用します。

水分・塩分摂取

喉が渇いてから飲料を飲ませることは不適切です。1時間に1回、定期的にポカリスエットなどのスポーツドリンクを一定量飲むようにして下さい。糖尿病、高血圧症などがある労働者については産業医の指示で飲料を選定して下さい。熱中症になると飲水渇望が無くなることがあります。

休憩

1時間に1回、涼しい休憩室で休みます。椅子やベッドを設けることが望ましいです。休憩室内のWBGTは17℃から28℃とし、作業場よりも低く保ちます。飲料、タオルなども用意します。

健康管理

作業場の責任者が朝一番に全ての労働者の健康管理を行います。明らかに体調不良が疑われる労働者は暑熱作業から外します。労働者は日常から生活習慣を適切に保ち、睡眠不足や二日酔いなどが生じないようにし、規則正しい食事を摂取するようにします。生活習慣病に罹患していたり、健康診断の結果に異常がある労働者は熱中症のリスクが高くなるため、予め現場の責任者はハイリスク者を把握する必要があります。
現場の責任者が定期的に職場巡視を行い、頻繁に健康状態を把握することも大切です。

救命救急処置

予め現場近くの救急病院を探し、休憩室内に掲示します。暑熱下で体調不良が生じた場合は熱中症と考えます。熱中症を疑う場合はは、休憩室内で脱衣させ、体表面を濡らし、風を送ったり氷を脇と首に置いて体温を下げ、スポーツドリンクを飲ませます。飲水が出来ない、体温が高い、意識がおかしい、体調が回復しない場合は速やかに119番に電話して救急要請をします。


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