衛生管理の知識

管理監督者も労働災害が認められることがある

一般労働者だけでなく管理監督者においても労働災害が認められることがあります。
時間外労働の管理は管理監督者の場合は時間外労働手当が支払われない(深夜割増賃金は支払う必要あり)ため、不十分な事業場があります。労働時間が増えることにより、脳血管障害、虚血性心疾患による労働災害が増えることが知られています。管理監督者においても勤怠管理を実施する必要があります。

管理監督者も労働災害が認められることがある

被災労働者が労働基準法第9条に定める労働者である場合に、労働災害補償の対象となります。この「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者のことです。
労働基準法第41条の管理監督者で取締役ではないものは原則として労働者性があるといえます。労災認定の対象となります。

労働者性とは

事業者から使用され、賃金が支払われている場合に労働生産性があるといえます。
業務の裁量の有無、指揮監督有無、労働時間や場所の拘束性の有無、他人による代替性の有無などで事業者に使用されているかどうかを判断します。例えば労働時間に対して賃金が決まる場合が労働生産性があるといえます。

取締役でも労働災害が認められることがある

取締役については、個々の事例ごとに、労働者性があるかどうかで判断します。上述の通り、業務遂行のための指示の範囲・程度、就業に係る時間的・場所的な拘束の程度、報酬の支払いの状況などについての実態が労働者であるかについて総合的に判断します。
取締役という肩書きがあっても労働者として働いている場合には労働災害補償の対象となります。個々の事例ごとに労働者性が有ったり、無かったりします。

労働災害の認定の根拠

労働災害の認定の根拠は安全配慮義務の有無ではありません。労働基準法と労働者災害補償保険法に規定する「業務上」に該当するか否かで判断します。
安全配慮義務違反がない場合でも仕事が原因である、「業務上」であると判断されれば労災認定されます。通勤労災がこれに含まれます。
なお、労働災害時には労働者が法人に対して損害賠償請求を行う場合がありますが、民事訴訟では安全配慮義務の有無が鍵となります。

管理監督者や取締役の労災認定件数

管理監督者や役員の労災認定件数は公表されていません。労働基準監督署などから伺う限り、少なからず労働災害が発生しているようです。


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