職場巡視記録の作成と保管
必ず職場巡視記録を作成してください。労基署の臨検時に巡視記録を確認されることがあります。
衛生管理者は週1回、産業医は月1回(一定の条件を満たせば産業医の職場巡視を2ヶ月に1回に頻度を減らすことが可能。コロナ禍でも産業医は巡視のために訪問する必要がある)の頻度で職場巡視を行う義務があります。
職場巡視の際に見つけたハザード(有害性や危険性があるもの)が経時的にどのように改善したかを把握するためにも巡視記載は有益です。衛生委員会の議事録と同様に3年間の保存をお勧めします。
職場巡視の目的
職場巡視の目的は法令遵守と、労基署対策と、職場のハザードの把握です。
衛生管理者は週1日、産業医は月1回の職場巡視の義務があります。産業医の巡視頻度は2ヶ月に1回に減らすことができますが、コロナ禍であっても巡視義務があるため、定期的に訪問をする必要があります。実施した結果をの残さなければ実施したことを第三者に示すことができません。労基署の臨検時に職場巡視記録を確認されることが一般的です。簡単なもので結構ですので、作成する、保管することを習慣にしてください。
職場巡視記録の作成
一般的なオフィスでの巡視では、事務所則と労働安全衛生規則に則って記録をつけます。これらの法令では事業場で遵守すべき項目が記載されているため、項目を一つ一つ確認しながら巡視をして下さい。工場や小売店では事務所則が適応さないため、労働安全衛生規則に則って記録をつけます。事務所則と労働安全衛生規則の比較はこちらで確認することができます。
以下のような巡視記録を用いれば簡単に職場の巡視記録をつけることができます。
- 実施日
- 担当者
- 確認項目(照明、転落物、整理整頓、通路、消防、救急用具、温度湿度、喫煙、その他)
- 評価、場所、現状、対策
職場巡視記録の見本はこちらです。
巡視記録には、悪い点だけでなく、良い点も記載して下さい。
初めから複雑で細かい管理簿を用いているお客さまがおられますが、使いにくく現実的ではありません。
このような簡単な管理簿を用いて職場巡視を実施し、適宜使いやすいように改定して下さい。
職場巡視記録の保管
職場巡視記録の作成は義務では無いため、保管も義務ではありません。しかし、労働基準監督署の指導の際に職場巡視について問われることは一般的であり、職場巡視をきちんと行っていることを示すためにも職場巡視記録を作成、保管して下さい。
衛生委員会の際に職場巡視の結果を報告することが多いため、衛生委員会の議事録と同様に3年間保存をすることをお勧めしています。
指摘事項の管理方法
職場巡視の指摘事項は直近のものだけであれば職場巡視記録で管理できます。
指摘事項が多くなると巡視記録では管理ができませんし、時系列で何に対してどう対応したかも分かりにくくなります。
可能であれば巡視で発見したハザードに対して、職場巡視指摘事項管理簿という別のファイルを用いて管理をすることが望ましいです。
職場巡視指摘事項管理簿の例
可能であればこの管理簿を用いてリスクアセスメントを実施して下さい。
過去の職場巡視の結果を管理するために、下記ような項目が必要となります。
- 指摘年月日
- 場所
- 指摘内容
- リスクアセスメント
- 改善担当者
- 改善年月日
- 改善内容
リスクアセスメントを実施
リスクアセスメントはハザードの有害性や重篤さと、事故が起る確率をスコア化して、優先的に取り組みべき事項を評価することです。
当社ではマトリックス法とコントロールバンディングを用いたリスクアセスメントを支援しています。
事故が起きた際に重症度が高く、事故が生じる頻度が高い、つまりリスクが高いハザードに対して優先的に対策を実施して下さい。
リスクアセスメントを行い、最優先で取り組む事項から実施することが大切です。
参照:ハザードとリスクの違い