法定労働時間と所定労働時間
労働時間には法定労働時間と所定労働時間があります。
法定労働時間は労働基準法で定められている労働時間の限度で、原則は1週40時間、1日8時間です。所定労働時間は事業者が労働基準法の範囲内で決めるものです。
法定労働時間と所定労働時間はともに休憩時間を除きます。
法定労働時間は労働基準法で定められている労働時間の限度で、原則は1週40時間、1日8時間です。所定労働時間は事業者が労働基準法の範囲内で決めるものです。
法定労働時間と所定労働時間はともに休憩時間を除きます。
法定労働時間
労働基準法で1週40時間、1日8時間と定められています。事業場が下記の条件を満たした場合、特例措置対象事業場として1週44時間と定めることができます。特例措置対象事業場の適応を受けている事業場は非常に少なく、多くの事業場での法定労働時間は1週40時間、1日8時間です。
- 常時使用する労働者が10人未満の事業場
- 商業(卸売業、小売業、理美容業、倉庫業、駐車場業、不動産管理業、出版業(印刷部門を除く)など。映画・演劇業(映画の映写(映画の製作の事業を除く)、演劇など。保健衛生業(病院、診療所、保育園、老人ホームなどの社会福祉施設、浴場業(個室付き浴場業を除く)など。接客娯楽業
所定労働時間
それぞれの事業場の就業規則で定めた労働時間です。法定労働時間の範囲内で設定する必要があります。 所定労働時間を設定する際には1週50時間、1日10時間というような法定労働時間を上回る労働時間を設定することはできません。多くの事業場では所定労働時間は法定労働時間と同様の1日8時間です。労働者に対するワークライフバランスの改善や、求職者を増やすために、所定労働時間を1日7時間30分といった、法定労働時間よりも短い時間で設定する事業者もあります。
残業代は所定労働時間を基準とする事業場が一般的です。
時間外労働と労使協定(36協定)
法定労働時間を超えて働くことを時間外労働といいます。
36協定
時間外労働をさせるためには労使協定(36協定)を結び、労働基準監督署に届け出る必要があります。未締結や見届けの場合、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課されることがあります。労働基準法第36条に時間外労働について書かれているので、一般的に「36(サブロク)協定」と呼ばれています。1ヶ月36時間まで時間外労働ができるという意味ではありません。
36協定を結ぶときの時間外労働は上限が定められており、一般の労働者の場合、時間外労働の限度時間は1ヶ月45時間、3カ月120時間、1年間360時間です。この基準を上回る協定が締結された場合、労働基準監督署は事業者に対して指導を行います。
36協定には以下の項目を定める必要があります。
- 時間外または休日の労働をさせる必要のある具体的な事由
- 業務の種類
- 対象労働者の業務、人数
- 1日についての延長時間のほか、1日を超え3か月以内の期間および1年間についての延長時間
- 休日労働を行う日とその始業・終業時刻
- 有効期間
特別条項付き協定
限度時間(1ヶ月45時間など)を超えて労働時間を延長しなければならない特別な事情が生じた時に限り、労使間の手続きを経て、限度時間を超える一定の時間まで労働時間を延長できる旨の協定をすることが認められています。 以下の注意事項を守って下さい。
- 限度時間を超えて時間外労働を行わせなければならない特別な事情を具体的に定めること
- 特別な事情は、(1)一時的又は突発的であること、(2)全体として1年の半分を超えない(1年間の半分の6ヶ月)ことが見込まれること
- 一定期間の中途で特別な事情が生じ、原則としての延長時間を延長する場合に労使がとる手続きを、協議、通告、その他具体的に定めること
- 限度時間を超える一定の時間を定めること
- 限度時間を超えることのできる回数を定めること
特別条項は一時的、突発的というような、特別の事情がある場合に限られます。年間を通じて時間外労働が多いような場合は該当しません。
時間外労働と労災
上述の通り、法定労働時間は所定労働時間以上です。残業代を計算する際は所定労働時間を基準に時間外労働の時間を計算しますが、その時間は法定労働時間を基準とした時間外労働の時間よりも多くなります。心筋梗塞や脳卒中、精神障害で労働災害が認められる場合がありますが、労働局で労災の認定を行う際には法定労働時間を基準とした時間外労働の時間を用います。
心疾患、脳疾患の労災では時間外労働の時間数と相関して件数が増えることが分かっています。つまり、労働時間が長ければ心筋梗塞や脳卒中になった際には労災と認定される可能性が高くなります。 月45時間以上の労働時間で心疾患、脳疾患が増え始めます。原則は時間外労働を行わない勤務とし、どうしても時間外労働をする必要がある場合のみ最長で月45時間以内にして下さい。
休日労働と深夜労働
休日労働
休日には法定休日と法定外休日(※)があります。 休日労働は法定休日に働くこと、休日の振替(事前に話し合って他の労働日と休日を交換すること)を行わずに働くことを示します。 休日労働をするためには事前に時間外労働と同様に労使協定が必要です。
※法定休日と法定外休日
法定休日は、原則として毎週1回か4週間を通じて4日以上です。
法定外休日は、国民の祝日・年末年始・夏季など、労働時間短縮などのための法定休日以上の休日です。
例えば週休2日制の場合は土曜日を法定外休日、日曜日を法定休日とします。
深夜労働
深夜労働は夜10時から翌朝5時までに働くことです。 1日の所定労働時間の一部がこの時間にかかればその分は深夜労働となります。 管理監督者であっても、深夜割増賃金は支払う必要があります。 年少者(18歳未満)は時間外労働、休日労働、深夜労働は原則禁止されています。業務の常態として、深夜業(午後10時から翌朝午前5時までに一部でもかかる業務)を1週間1回以上又は1月に4回以上行う場合、6ヶ月以内に1回の特定業務従事者の健康診断を実施する必要があります。