衛生管理の知識

A型肝炎ウイルスによる食中毒

A型肝炎ウイルスによる感染症で、時に急性肝炎となり、重症化することがあります。
A型肝炎ウイルスはワクチンで予防できます。
肝炎ウイルスはA型以外に、B型、C型肝炎ウイルスなどがあります。B型やC型肝炎ウイルスとは異なり慢性化することは無いといわれています。B型やC型肝炎では慢性肝炎になり、肝硬変や肝臓癌につながることがあります。
国内におけるA型肝炎の感染事例は少なく、海外渡航の際に感染することが多いです。

症状

主な症状は発熱と消化器症状です。
  • 潜伏期間は約1か月
  • その後に発熱、倦怠感、食欲不振、嘔吐、黄疸など
  • 小児は症状が出ないことがある

原因

  • A型肝炎ウイルスに汚染された生の魚介類、水
  • A型肝炎ウイルスで汚染された人の手や包丁などで調理した食品

予防

  • 中心まで十分に加熱する
  • 新鮮なものを購入し、冷蔵庫に入れて保存し、早めに食べる
  • 魚介類を触ったら、よく手を洗う
  • 生の魚介類用の包丁とまな板を用意し、他の食品ではこれらを利用しない
  • 調理器具を消毒する
  • 食中毒にかかった人の便や、吐瀉物をさわったら石けんで手を洗う
  • A型肝炎が流行・発生している海外の地域へ旅行するときは、生水や生ものを避ける
  • ワクチン接種

治療

ウィルスによる感染症のため、抗生物質は無効です。
対症療法を行います。
A形肝炎ウイルスにはワクチンがあります。ワクチンは3回接種する必要があります。ワクチンで抗体が獲得できれば、A形肝炎ウイルスに汚染された食品を食べた場合に発症するリスクを減らすことができます。
海外赴任の際にワクチン接種を行う企業があります。海外出張が多い労働者に接種を勧奨する企業もあります。海外へ渡航する際には生の海産物を避けたり、安全な水を選ぶ必要があります。