サルモネラは人、鶏、豚などの腸内だけでなく、河川などの自然界に広く存在する細菌です。
サルモネラによる食中毒は、鶏肉、豚肉などの食肉や、鶏卵などが原因です。
少量の菌を食べただけでも食中毒の症状が出ることがあり、長期間保菌者となることもあります。
また、腸チフス(3類感染症)はサルモネラ菌の一種です。

原因

  • 加熱不足の肉
  • 鶏卵
  • 生の肉に使った包丁で切った食品
  • 害虫やペット

症状

  • 食後6~48時間
  • 吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、発熱
  • 長期間、保菌者となることもあります

予防

  • 生鮮食品は新鮮なものを購入し、冷蔵庫に入れて保存し、早めに食べる
  • 肉を触ったら、よく手を洗う
  • 包丁やまな板を使うときは、生の肉は後で切る
  • 生の肉用の包丁とまな板を用意し、他の食品ではこれらを利用しない
  • 卵を割ったらすぐ使う。
  • 割れている卵は利用しない。
  • 中心まで十分に加熱する
  • 調理器具を消毒する
  • 調理器具を定期的に交換する

治療

  • 必ず医師の診察を受けて下さい。
  • 市販の下痢止めなどを利用すると、サルモネラ菌が体外へ排出されにくくなるため、病状が続くことがあります。
  • 抗生剤で治療をします。
食品に含まれていた微生物(細菌、ウイルス、寄生虫)や化学物質が原因で体調を崩すことを食中毒といいます。
食べ過ぎてお腹の調子がおかしくなることは食中毒とは言いません。

食中毒の原因

主な原因は細菌とウイルスで、全体の70%以上です。
寄生虫は衛生環境が良くなった昨今では珍しいですが、当社のお客さまでも寄生虫による食中毒の事例がありました。東北地方のお客さまから条虫、関東地方のお客さまから線虫による食中毒の相談を受けたことがあります。
化学物質はヒスタミンが有名です。ヒスチジン(アミノ酸の一種)が高濃度に含まれた鯖などを食べることにより、体内でヒスチジンがヒスタミンに変わることが原因です。

食中毒の症状

腹痛、下痢、嘔吐といった消化器症状や、発熱が有名です。大腸菌によるO157のように、死につながる食中毒もあります。
食中毒の原因により、症状、潜伏期は異なります。
飲食店ではお客さまが食中毒になる可能性があり、食中毒が発生しないように衛生管理を行う必要があります。
食品とは関係が無い企業でも、従業員が持参するお弁当、冷蔵庫内の食品、宴会などで食中毒が発生することがあるため、全ての業種で食中毒の知識を持つ必要があります。

細菌性食中毒の主な病原体

感染型

大腸菌、サルモネラ、腸炎ビブリオ、カンピロバクター等

毒素型

黄色ブドウ球菌、ボツリヌス、大腸菌等
大腸菌は0157が有名で、重症になることがあります。

ウイルス性食中毒の主な病原体

ノロウイルス、A型肝炎ウイルス等

化学性食中毒

ヒスチジン(ヒスタミン)、ヒ素、メタノール等

自然毒

ふぐ、キノコ等

食中毒の対策

「病原をつけない」、「増やさない」、「殺す」の3要素で対策をします。

病原をつけない

調理者は手洗いをきちんと行う。
体調不良時には調理しない。
生の肉や魚をつかむ調理器具と、焼けた肉や魚を扱う調理器具を別にする。

増やさない

食べる直前まで冷蔵庫で保管する。
新鮮なもの購入し、新鮮なものを食べる。
賞味期限を守る。
冷蔵庫に入れても病原菌が増殖するため、早期に食べる。

殺す

多くは加熱によって死滅します。肉や魚介類は、中心まで加熱する。
調理器具を洗浄、次亜塩素酸ナトリウムで消毒する。アルコール消毒は万能ではなく、一部の病原(ノロウイルスなど)には無効と言われています。
熱中症とは、高温、多湿が原因による体調不良のことです。昔は、日射病、熱射病、熱疲労などと言われていましたが、今はこれらをまとめて熱中症と言います。
以前は熱中症による労働災害は製鉄所や建設業などの暑熱下での労働現場で問題になっていましたが、地球温暖化の影響があり、これら以外の業種でも熱中症による労働災害が多発しています。

熱中症と労災

業務上疾病において、腰痛に次いで多いのが熱中症です。
熱中症は11月から4月に発生することは少なく、それ以外の時期に熱中症による労災が多発します。夏だけではなく、春にも秋にも生じます。
建設業、製造業、運輸業、倉庫業といった暑熱下で作業を行う業種で好発します。忘れがちなのは、通勤時や外回りの営業といった外出時の熱中症です。これはどの業種でも生じることがあるため、全ての業種で熱中症対策を実施すべきです。
また、熱中症は重症化すると死亡することがあります。

熱中症の症状と重症度

熱中症は重症度別にⅠ、Ⅱ、Ⅲ度に分けます。Ⅰ度が軽症、Ⅱ度が中等症、Ⅲ度が重症です。
高熱がある→Ⅱ度以上、意識障害がある⇒Ⅲ度と考えると分かりやすいです。
Ⅰ度の場合は休養で体調が回復することがありますが、Ⅱ度、Ⅲ度の場合は医療機関での治療を要します。

Ⅰ度(軽症)

めまい、たちくらみ、筋肉痛、こむら返り、発汗

Ⅱ度(中等症)

高体温、頭痛、吐き気、嘔吐、倦怠感、気分の不快感、判断力や集中力の低下

Ⅲ度(重症)

高体温、意識障害、けいれん、手足の運動障害、おかしな言動、過呼吸、ショック

暑さ指数、WBGTとは

以前は温度だけで熱中症のリスクを評価してきましたが、現在は湿度を含めたWBGTという数値を用いて熱中症対策を行います。
WBGTのことを暑さ指数とも呼び、最近は夏頃の天気予報でも暑さ指数が放送されています。
WBGTは暑さ、寒さに関係する気温、湿度、輻射熱、気流の要素を取り入れた指標です。

WBGT、温度、湿度の比較

乾球温度が28℃、湿度75%の時に、WBGTが28℃となります。
湿度が75%より高くなると、WBGTの値が高くなり、例えば気温が28℃であっても湿度が100%の場合はWBGTは31℃となります。
湿度が75%を超える、蒸し暑く感じる場合は、温度よりWBGTが高くなると考えると分かりやすいです。
温度、湿度とWBGTについては、環境省熱中症予防情報サイトの資料をご確認下さい。
厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課提出資料

下記にWBGT、温度、仕事での対策の関係を示します。

WBTG 乾球温度 危険度 対策
31℃- 35℃以上 屋外や高温下での作業はは原則中止 特別の場合以外は中止
28-31℃ 31-35℃ 厳重警戒 頻繁に水分・塩分の補給
暑さに慣れていない場合は作業を中止
25-28℃ 28-31℃ 警戒 積極的に水分・塩分の補給
30分おきの休息
21-25℃ 24-28℃ 注意 積極的に水分・塩分の補給
-21℃ -24℃ ほぼ安全 適宜の水分・塩分の補給

熱中症の予防方法

企業における熱中症の予防で特に大事なのが定期的な休憩、飲水の指示です。
熱中症になると思うように体が動かなくなり休憩や飲水ができなくなるため、30〜60分に1回の休憩・飲水を義務化して下さい。
高温多湿下での労務を中止するもしくは減らす、生活習慣病があればその治療を行う、日々の体調管理を行うなどの対策を行う必要があります。
  • WBGT(暑さ指数)が高い時、温度が低くても蒸し暑い時は、暑い場所での作業や身体への負荷がかかる作業を行わない。
  • 徐々に体を暑さに慣れさせる。急に暑くなった日は休憩を多くとる必要がある。
  • 定期的(30〜60分に1回)に水分だけでなく塩分の補給を行う。お茶、水ではなくスポーツドリンクを摂取することが望ましい。ぬるい飲料より、冷たい飲料を用意する。
  • 健康診断の結果に異常がある場合には健康を維持できるように生活習慣を見直したり、通院をする。
  • 二日酔い、寝不足で通勤をしない。
  • 日々の生活でバランスのいい食事をとる。
  • 風邪を通しやすい服装で仕事を行う。
アスペルガー症候群は生まれながらの個性と考えられています。
想像力が若干低下しており、こだわりが強く、周囲の人とのコミュニケーションが苦手という特徴があります。
本人だけでなく、周囲の人も悩みを抱えることがあります。
発達障害は自閉症、アスペルガー症候群、ADHDなどを含む上位概念の意味で使うことがあります。また、アスペルガー症候群のことを発達障害ということもあります。

診断名の変化、DSM-Ⅴ

精神科で利用する診断基準は世界保健機関が定めるIDC(現時点で日本で使われている最新版はICD-10)、アメリカ精神医学会が定めるDSM(最新版はⅤ(ファイブ))を利用しています。
ICD-10にはアスペルガー症候群という診断名が残っています。一方、DSM–ⅣからⅤへ改訂された際に、アスペルガー症候群という診断名が無くなり、自閉症スペクトラム障害という診断名にアスペルガー症候群が含まれることになりました。
また、アスペルガー症候群、ADHD、知的障害などを含む上位概念のことを、神経発達障害といいます。
今後はアスペルガー症候群や発達障害という言葉を使用する場面が減り、自閉症スペクトラム障害という言葉を使用する場面が増えると思います。

アスペルガー症候群の特徴

  • 想像力が低下しており、周囲が考えていること、その場の空気を読むことが苦手
  • こだわりが強く、自分なりのやり方、考え方に固執してしまう
  • コミュニケーションが苦手で何を指示されているかが理解できない、協力したり仲良くすることができない
  • 特定のジャンルで能力を発揮することがある
  • 職場の雰囲気になじめず、同僚との関係を築けないことが多い
  • 興味や活動が偏るが多い

これらの症状のために学校や仕事で上手くいかずに、二次的にうつ病などの他の精神的な病気になることもあります。

職場での対応

本人が症状を本人の特徴として受け入れることが大切です。周囲も本人のこだわりやコミュニケーションの特徴を理解するすることが大切です。
障害者雇用の現場で、アスペルガー症候群の方が働く職場環境について産業医としてアドバイスをすることがあります。データの入力、書類管理といった、同じ作業を続ける業務が適していることが多いようです。反対に、コールセンターでの電話対応、接客などの多数の人と接触したり、柔軟に対応する必要がある仕事は苦手なことが多いようです。
周囲を気にしすぎる傾向がある方には、壁で区切るなどのブースを用いると作業が効率的に進みやすいようです。
ハラスメントは加害者の意図に関係なく、被害者に不快、不利益、被害を与えることです。被害者には言動を受けた人だけでなく、その周囲の人も含みます。
セクシャルハラスメント、パワーハラスメントは一般的な言葉として用いられるようになりました。これらがある世の中は不快なものですが、多かれすくなかれ我々の周りにも存在します。
最近は、職場での口臭、体臭、香水などのにおいに関する悩みを持つ方が増えているようです。においに関してのハラスメントをスメルハラスメントといいます。

スメルハラスメントとは

スメルハラスメントは、においにより周囲を不快にさせるハラスメントです。
においを発する本人がにおいに気づいていないことが多くいです。これはパワーハラスメント、セクシャルハラスメントと同様ですが、スメルハラスメントはより本人の自覚が低い印象です。
企業によってはパワーハラスメントやセクシャルハラスメントは許さないという企業倫理を定めたり、経営者がハラスメントの撲滅が表明をして、ハラスメントを防いでいます。スメルハラスメントではこのような対応をし難く、「周囲へ配慮をする」という考えを皆が共有することが大切となります。
昨今は当社にスメルハラスメントについてのご相談が寄せられることが増えています。

スメルハラスメントの特徴

  • 本人は良いにおいと感じていることがある
  • 本人はにおいが周囲に不快感であることに気がついていないことが多い
  • 地域・社会・文化的には許容されるにおいがある
  • においの感じ方には個人差がある
  • 他のハラスメントより、周囲が注意し難い
  • 職場で、同僚は他人のにおいから逃げられない
  • セクハラ、パワハラは一時的な場合があるが、スメハラは常に周囲へ影響を及ぼす
  • 社外からは茶髪、ピアス、つけ爪といった身だしなみと同様に、においについても悪い評価を受ける可能性がある
  • 職場環境ににおいの原因があることがある

スメルハラスメントの分類・原因

当社ではスメルハラスメントを体質によるにおい、趣味や嗜好によるにおい、職場環境によるにおいの3つに分類しています。 体質によるにおいは、趣味嗜好や職場環境によるにおいよりも対策が困難です。

体質によるにおい

  • 口臭
  • 体臭(口臭以外の体のにおい) など

趣味や嗜好によるにおい

  • たばこ
  • アルコール(二日酔い)
  • 整髪料
  • 香水
  • 柔軟剤
  • 食品(弁当、菓子など) など

職場環境によるにおい

  • 喫煙専用室が近い
  • 冷蔵庫や設備がにおう
  • 糞便を扱う
  • 食品を扱う
  • 大通りに面している
  • 有機溶剤などを取り扱っている など

職場でのスメルハラスメントへの対応

職場環境の調整を行った後に、においの原因となる従業員に対応をすることが好ましいです。

職場環境の調整をする

職場環境の調整により、職場環境によるにおいの場合は根本的な対応が可能な場合があります。一方、体質や趣味嗜好によるにおいの場合は本人の協力が必要なため、環境の調整が根本的な対応とはなりません。
部署や座席を変える、座席をフリーアドレスにする、窓を開ける、空気清浄機を導入する、消臭剤を利用する、喫煙室の場所を変える、職場を禁煙にする、職場環境を清潔にすることなどで対応をします。
朝礼や会議の中で、「お客さまからたばこのにおいについて苦言があったため、喫煙者は配慮しましょう」、「お客さまから香水や柔軟剤のにおいがきついと苦情がありました。本人は気がつかないことがありますが、周囲にとっては不快な場合もあります」、「食後には歯磨きをしましょう」などと人事労務担当や上司が発言することも効果的です。
洗面所にデンタルリンスや制汗シートを置く、食事は食堂や会議室に限定する、社内報や社内掲示物でスメルハラスメントを取り上げることなどをお客さまにアドバイスをしたこともあります。

衛生委員会など審議する

パワーハラスメントなどと同様に衛生委員会や管理職会議でスメルハラスメントについて審議をします。審議した内容を議事録や社内報とし社員へ周知します。その際には当事者のプライバシーを配慮することが大切です。
衛生委員会の議事録は従業員が見られる場所に置いて保存するため、従業員の多くがスメルハラスメントについて情報を得る良い機会になります。

窓口、担当者は上司ではなく人事労務担当

他のハラスメントと同様に、ハラスメントを受けた従業員だけでなく、ハラスメントを見聞きした従業員が気軽に人事労務担当に相談できる体制を構築して下さい。
人事労務担当はにおいの原因の方と、そのにおいを不快に感じる方に対して中立です。上司よりも人事労務担当が本人に接したほうが職場の人間関係におけるトラブルが生じにくいです。
上司がにおいについて指摘すると、においの原因の方は上司の主観的な意見としてとらえられるようです。上司自体がにおいに対して不快に感じている場合は、上司が指摘する際に感情的になってしまうこともあり、組織に感情的なしこりを残すことがあるようです。

本人に指摘する際の注意事項

においの原因となる従業員の人格やプライバシーを配慮することが一番大切です。もちろん、においについて相談をした従業員に対しても同様です。
指摘をする際にはできればにおいの原因の方と人事労務担当が会議室などで面談を行います。
相談者のプライバシーを配慮した上で、「においについて相談があった」ということを伝えます。
場合によっては「たばこを減らしてみては」などとアドバイスを行いますが、命令や強制を強いるとその行為がハラスメントになる可能性があります。
においの感じ方はそれぞれ異なりますし、同様ににおいを発する方もそれぞれの体質や考えがあります。あくまで多様性を理解した上で、各々を尊重して対応する必要があります。
体質はすぐに変えられず、趣味嗜好についても長年の生活を考慮すると中々改善しにくい場合があります。

それぞれのにおいの対策

体質によるにおい

口臭

  • 食後の歯磨きを励行、場合によってはリステリン®などを食後や喫煙後に利用
  • 禁煙を検討
  • 食べ物は栄養バランスを考えて選び、においがきつい食べ物を制限
  • 歯科や内科への通院

体臭(口臭以外の体のにおい)

  • 毎日の入浴
  • 禁煙を検討(たばこの煙が衣類に付着)
  • 汗をかいた時は制汗シートを使う
  • 無臭の制汗デオドラントを使う
  • 糖質制限ダイエット中ににおいを発することがあるため、極端なダイエットをしない

趣味嗜好によるにおい

たばこ

  • 禁煙や減煙を検討
  • 歯磨きを励行、場合によってはリステリン®などを喫煙後に利用
  • 風通しが良い場所で喫煙
  • 第三者ににおいについて尋ねる

アルコール

  • 大量に飲酒しない
  • 二日酔いで出勤しない(当たり前のことですが、忘年会や新年会の時期などで認められます)
アルコール依存症の方はアルコール臭を漂わせて出勤をすることが多いようです。繰り返し認められる場合はアルコール依存症を疑い、産業医面談の実施をお願いします。

整髪料

  • 整髪料を変更する
  • 整髪料の使用量を減らす

香水

  • 香水を変更する
  • 香水の使用量を減らす
  • 香水をつける場所を変える
  • 第三者ににおいについて尋ねる

柔軟剤

  • 柔軟剤を変更する
  • 柔軟剤の使用量を減らす、推奨量を守る
  • 洗濯機のすすぎ回数を1回増やす
  • 第三者ににおいについて尋ねる

食品(弁当、菓子など)

  • 食事をする場所を食堂と会議室に限定する
  • 食事の際には換気を行う
  • 社内での昼食の時間を限定する
  • においがきつい食べ物を制限する

職場環境によるにおい

喫煙室がある

  • 喫煙専用室の技術的基準を満たす(禁煙区域にたばこの煙が漏れない、禁煙区域から喫煙室への風速0.2m/s、排気装置で屋外に排気、粉じん濃度0.15mg/m3以下、一酸化炭素濃度10ppm以下など)
  • 喫煙室を無くし屋内を全面禁煙とする
  • 喫煙室の場所を変更する
  • 空気清浄機を設置する

冷蔵庫や設備がにおう

  • 定期的に洗浄(物理的に拭くだけでなく、洗剤を用いて化学的にも)を行う
  • 換気を行う

糞便を扱う

  • 作業場の換気を行う
  • 空気清浄機を設置する
  • 風上に立って作業を行う
  • 適切なマスクを利用する

食品を扱う

  • 作業場の換気を行う
  • 空気清浄機を設置する
  • 風上に立って作業を行う
  • 適切なマスクを利用する

大通りに面している

  • 空気清浄機を設置する
  • 作業場の換気は排気口を大通り側に、吸気口を反対側に設置する

有機溶剤などを取り扱っている

  • 有機溶剤の利用を中止する
  • 安全な物質に変更する
  • 発散減を密封する
  • 作業場の換気を行う(全体換気だけでなく局所排気装置も考慮)
  • 空気清浄機を設置する
  • 風上に立って作業を行う
  • 適切なマスクを利用する
メンタルヘルスの病気はこころの症状だけでなく、体の症状が出ることが多いです。
こころの調子が悪くなると、体の調子が悪くなります。逆も同じです。心身一如という言葉の通り、こころと体は一体です。

うつ病のこころと体の症状

うつ病では気持ちの落ち込み、意欲の低下、今まで楽しめていたことが楽しめないといったこころの症状が有名です。
食欲不振、不眠、倦怠感、体の痛みといった体の症状もよく認められます。

初期症状が体の症状だけの場合があります。その際には内科などを受診され、胃薬などが処方されます。体の症状もメンタル面が原因だと良くならないことがあります。
徐々にこころの症状が目立つようになり、身体科(内科、産婦人科など)からメンタルクリニックを勧められ、うつ病という診断にたどり着くまで時間がかかることがあります。

パニック障害のこころと体の症状

パニック障害では過呼吸、呼吸困難、発汗、動悸といった体の症状が有名です。
乗り物に乗りたくない、症状がまた出るのではといった心の症状も一般的です。

初めは過呼吸や動悸といった体の症状のことが多いです。電車内で過呼吸発作を起こして救急搬送されることがあります。救急科で採血や心電図などで検査が行われて、身体的に問題が無いと判断された後に、メンタルクリニックを受診され、パニック障害と診断されることがよくあります。

他のメンタルの病気でもこころと体の両方の症状があることが多い

メンタルの病気はこころの症状だけということは少ないです。
体の症状があった場合、胃痛でも頭痛でも、内科などで治療をしてもなかなか治らなかったり、職場や家庭にストレスがあったり、以前とは何か違うような気がした場合には気軽にメンタルクリニックを受診されることをお勧めします。
また、職場にメンタルヘルスの専門医の産業医がいる場合には、気軽に産業医面談を申し出ることも重要です。

こころの症状からメンタルの病名が分かるか

こころの症状だけでメンタルの病名は分かりません。
気持ちの落ち込みがあればうつ病とは言えません。幻聴が聞こえるから統合失調症とは言えません。
気持ちの落ち込みは適応障害や不安障害など、幻聴はうつ病や脳卒中などでも認められることがあります。メンタルの病気ではない健常な方でも気持ちの落ち込みや幻聴を感JR言うことがあります。
メンタルヘルスの専門家は患者さんの言葉の内容だけでなく、表情、言葉の抑揚、生活機能、各種検査などで病状を評価し、診断をしています。

メンタルの病気で多いこころの症状

憂うつな気持ち、意欲が出ない、趣味を楽しめない、仕事に行けない、不安が強い、焦る、イライラする、集中力が低下する、本を読んでも頭に入らない
→うつ病でよくある症状です。適応障害、統合失調症などでも認められます。

気持ちが高ぶる、何でもできそうな気がする
→躁うつ病でよくある症状です。他の病気でも認められることがあります。

無いものを感じる、襲われそうな気がする、誰かに監視されているように思う、自分は素晴らしい能力を持っていると思う、頭の中に考えていることが話さなくても誰かに伝わる、小さな音が大きく感じる
→統合失調症でよくある症状です。他の病気でも認められることがあります。

周囲に共感できない、空気が読めない、コミュニケーションがうまくとれない、自我が抑制できない
→自閉症スペクトラム障害(広汎性発達障害、アスペルガー症候群)でよくある症状です。他の病気でも認められることがあります。

メンタルの病気で多い体の症状

体の症状がある場合には、内科などを受診して、体の病気があるかどうかを検査することが大切です。
体の検査や治療をして、「体の病気ではない」と診断された場合にメンタルの病気を考えます。

睡眠の症状

寝られない、寝ても起きてしまう、たくさん寝てしまう、寝なくても元気、寝ている際に異常な行動をする

消化器の症状

食欲がない、たくさん食べてしまう、嘔吐してしまう、吐気がある、腹痛がある、下痢がある、便秘がある

呼吸器の症状

過呼吸になる、息苦しさを感じる、喉や胸のつかえ感がある

循環器系の症状

動悸がある、立ちくらみがある、めまいがある

皮膚の症状

多汗がある、冷感がある、ほてりがある

痛みの症状

頭痛がある、手先が痛い、腰が痛い、胸が痛い、胃が痛い
セクシャルハラスメントは性的な言動で周囲へ悪影響を及ぼすことです。女性が被害者の場合が多いですが、男性が被害者の場合もあります。また、直接的な被害者だけでなく、職場全体に悪影響を及ぼします。

セクハラの職場への影響

職場にセクシャルハラスメントがあると、職場全体の労働意欲を低下させ、時に精神的な病気につながることがあります。
職場の雰囲気が悪くなり、労働者にとっても会社にとってもデメリットしかありません。
セクシャルハラスメントがある職場において、従業員が一度に大量に退職する事例もあるようです。

セクシャルハラスメントの分類

以下のように分類されています。性的な言動によって周囲に不快感を与えていれば、セクシャルハラスメントになるとご理解下さい。

対価型セクシャルハラスメント

意思に反する性的な言動に対する労働者の対応により、被害者が就労上の不利益を受けることです。
例えば、部長が新入社員に対して性的な関係を要求し、新入社員がそれを拒否したため、部署異動を行うことが当てはまります。
上司が女性社員の体を触ることはこれに該当します。

環境型セクシュアルハラスメント

意思に反する性的な言動により就業環境が不快なものとなり、被害者が能力の発揮に重大な悪影響が生じることです。
例えば、男性社員が職場で大声で卑猥なことを笑いながら話していたり、ヌード写真をパソコンのデスクトップに設定することはこれに該当します。

セクシャルハラスメントを当事者間の問題と片付けず、会社全体でこのようなハラスメントを許さず、被害者が相談しやすい体制を作ることが大切です。

産業医として職場で数多くの診断書を拝見していますが、診断書の病名に「うつ病」、「適応障害」と記載されることが多いです。人事担当から「うつ病と適応障害の違いが知りたい」と質問を受けることがあります。

うつ病と適応障害の違い

うつ病と適合障害は混同されがちですが、下記表の通り、明確な違いがあります。
病名 うつ病 適応障害
原因 原因が無い時がある はっきりとした原因がある
1~3ヶ月以内に発症
症状 憂うつな気持ち、意欲の低下、興味や関心の喪失がある
食欲不振、不眠などの身体的な症状を伴うことがある
憂うつな気持ち、意欲の低下、不安といった症状が出現し、多様性がある
病気の期間 2週間以上持続する 原因が除外された後、速やかに軽快する
半年以内に症状が良くなる
症状が良くなる、悪くなる場面 自宅でも職場でも体調が悪い
午前中を中心に体調が悪い
自宅では元気だが、職場では体調が悪い
その他 古典的なうつ病だけでなく、新型うつ病・現代型うつ病、抑うつ神経症もうつ病と診断されることがある うつ病や、PTSD(死の恐れなどの重大なストレスが原因)などの診断基準を満たさない

適応障害の場合は職場で不調、家では元気という場合がある

職場のストレスが原因で適応障害となった場合、職場では不調であっても、休日は元気に過ごせる場合があります。
適応障害であっても休日に仕事の事を考え、体調不良が平日も休日も変らずに続くこともあります。
うつ病の場合は曜日に関係無く元気が無いことが多いようです。

うつ病、適応障害の場合の対応

職場の環境調整

過重労働、ハラスメント、業務量が非常に多い、慣れない仕事といった、職場環境に問題があればそれらを改善して下さい。
1-2週間休暇を取っても、職場復帰後にこれらのストレス要因が残っていれば、職場復帰後に再発する確率が非常に高くなります。
不調者でた職場は、不調者以外の同僚も多かれ少なかれストレスを抱えながら働いています。職場環境の調整を行わなければ、他の従業員が心身の不調になり、時に労働トラブルの要因にもなります。

休ませる

遅刻早退欠勤などの勤怠不良が目立つ、明らかに以前のように円滑に仕事を進められない、体調が明らかに悪そうなどがあれば休ませる必要があります。
有給休暇を取得する場合であれば休暇の理由について問われませんが、1週間以上休むことが予想されたり、明らかに体調が悪い場合は、診断書の提出を求めた上で休ませることが望ましいです。

通院する

人事労務担当や上司から不調者に対して「メンタルクリニックに行ってみたら?」となかなか言えないものです。「体調が悪いようだから通院してみたら?」と診療科を限定せずに通院を促してもいいかもしれません。
内科や婦人科に通院してみて、体調が回復しない場合は、主治医から「メンタルクリニックや心療内科に通ってみては?」と言われることが多いです。
場合によっては産業医面談を行い、産業医に「メンタルクリニックへの通院」について伝えてもらってもいいかもしれません。
産業医面談で産業医がメンタルに問題があると判断した場合、産業医が不調者に「メンタルクリニックに通院してみては?」と伝えます。

産業医面談を行う

通院の有無に関係無く、労働者や職場のことを熟知している産業医と面談を行い、産業医が不調者の体調の状況を判断することがあります。
不調者は色々な症状があっても、「何科に通院していいか分からない」と感じていることが多く、産業医が病状に応じて通院先や、診療科についてアドバイスをすることができます。
職場復帰が可能という診断書が提出された場合には、産業医面談を経て職場復帰の手続きを行うことが望ましいです。主治医は職場の事情を十分に知っていることは少ないです。不調者や職場の状況を熟知する産業医は、復帰の可否だけでなく、その後の職場環境の調整などについても意見を述べることができます。
一般的に主治医の意見と、産業医の意見が異なった場合、産業医の意見を優先にします。
産業医として休ませるかどうかの判断をする際には、仕事を続けられる体調か、仕事を通じて体調が悪化しないか、体調が万全でなくても最低限の仕事を就業規則通りの勤務時間で行えるかなどの指標で評価をしています。

参照:適応障害 / うつ病

産業医の立場で診断書を精査していると、診断書の病名に「自律神経失調症」と記載されていることが度々あります。
ここ数年で「自律神経失調症」という名前を用いる頻度が減っていますが、ICD-10(世界保健機関の診断基準)の精神障害のカテゴリーに自律神経失調症という病名が記載されていないことが原因かもしれません。
一方、「パニック障害」はICD-10に記載されており、メンタルヘルスの専門家はこの病名を日常的に使っています。
皆様のご想像の通り、「パニック障害」は過呼吸、多汗、動悸などが認められる病気ですが、自律神経失調症と比較して考えると分かりやすいです。

自律神経失調症とは

上述の通り、ICD-10には自律神経失調症という病名は存在しません。
自律神経は交感神経と副交感神経のことで、これらの神経は自分自身でコントロールをすることができません。
交感神経はストレスがあると自動的に反応する神経であり、動悸、発汗などにつながります。副交感神経はリラックスしていると自動的に反応する神経であり、徐脈、安心などにつながります。
自律神経失調症は自律神経の乱れ(交感神経が強くなり、副交感神経が弱くなる)が原因と言われています。
自律神経症状とはめまい、動悸、吐気、呼吸苦、過呼吸、発汗、腹痛、下痢などで、自律神経の乱れが原因となります。
つまり、自律神経失調症は自律神経の乱れのため、自律神経失調症があり、日常生活に支障を及ぼしている状態のことです。

パニック障害とは

パニック障害とパニック発作は同一ではありません。
パニック発作は自律神経症状と同じでめまい、動悸、吐気、呼吸苦、過呼吸、発汗、腹痛、下痢などが認められます。
パニック発作はうつ病、統合失調症などでも認められることがあります。
パニック障害はパニック発作だけでなく、予期不安(パニック発作が起こるのではという不安)や、場所への恐怖(電車や会議室、人混みなど)が認められることがあります。
パニック障害はパニック発作(自律神経症状)が持続し、予期不安や場所への恐怖などのため、日常生活に支障を及ぼしている状態です。 自律神経失調症≒パニック障害と考えることができます。

診断書でよくあるパターン

診断書にはパニック障害のことを自律神経失調症と記載していることがあります。
会社にパニック障害という診断名を隠したい、患者さまにパニック障害という病名を伝えたくない、主治医がパニック障害かどうか診断ができない場合などに自律神経失調症という病名をつけることがあります。
診断書の内容に疑問がある場合にはメンタルヘルスを専門とする産業医に相談をすることが大切です。