衛生管理の知識

社内で濃厚接触者の調査を実施しよう【2021年9月最新版】

東京などでは新型コロナの患者数の増加に伴い、保健所による積極的疫学調査が行われなくなっています。社内で感染者が生じた場合、社内で濃厚接触者を調査して保健所へ報告する機会が増えています。産業医の立場で、社内で行う濃厚接触者の調査と、保健所へ相談手順について記載します。

保健所による積極的疫学調査の縮小

新型コロナの感染者数の増加に伴い、東京などの患者数が多い自治体において、保健所機能がパンクしています。東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県などは濃厚接触者や感染経路を詳しく調べる「積極的疫学調査」を縮小する方針を各保健所に通知しています。
以前は社内で新型コロナの感染者が出た場合、事業者が感染者が勤務する事業場を管轄する保健所に社内で感染者が出た旨を相談すると、社内の濃厚接触者の有無について意見をもらうことができていました。現在は保健所から「社内で濃厚接触者の調査をし、結果を報告してください」と言われる機会が増えています。

社内で感染者が出た場合の手順

以前と異なり、社内で濃厚接触者の調査を実施する手順が増えました。
「社内で濃厚接触者の調査を実施」、「保健所へ社内調査の結果を報告」、「濃厚接触者の決定(保健所が行わない場合は社内で濃厚接触者の決定)」、「濃厚接触者へ通知」という流れになります。

社内で濃厚接触者を調査

調査対象期間

感染者が発症する2日前から最終出勤日までが調査対象となります。発症する2日前から感染力があることが分かっています。デルタ株の場合、発症する3日前から感染力があるとされていますが、現状は発症2日前からを調査対象とすることが一般的です。

対象場所と対象者

感染者と一緒になる場面で、マスク未着用、1m以内、15分以上の3要件のうち、1要件を満たす場所にいた人が対象です。以前は3要件の全て満たす場合とされていましたが、現在流行しているデルタ株は感染力が強いことが分かっており、1つの要件でも感染することが分かっています。

保健所へ社内調査の結果を報告

事業者が感染者が勤務する事業場を管轄する保健所に社内調査の結果を相談してください。感染者が居住する自治体ではなく、感染者が勤務していた自治体の保健所となります。

濃厚接触者の決定

保健所が濃厚接触者を決定することが一般的です。上述の通り、保健所が積極的疫学調査を実施しなくなっていることから、保健所が濃厚接触者を決めない事例が報告されています。この場合は社内調査を根拠として社内で濃厚接触者を定めてください。

濃厚接触者への通知

保健所が濃厚接触者へ連絡をしない場合、事業者が連絡することになります。伝える内容は、「濃厚接触者とされたこと」、「出社できないこと(在宅勤務は可能)」、「PCR検査を推奨すること」、「給与や復帰までの流れといった就業規則について」です。濃厚接触者が社外の者である場合も通知してください。

感染者は就業禁止、濃厚接触者は出社禁止

感染者は就業禁止とし、療養に専念させてください。原則として有症状者は①発症日から10日間経過かつ症状軽快後72時間経過した場合、無症状者はPCR検査実施日から10日間経過した場合に療養終了となります。保健所もしくは主治医から療養終了の意見をもらい、症状が無くなった後に職場復帰させてください。療養証明が出されるまでに1ヶ月程度時間を要したり、出されないことがあるため、復帰時に療養証明の提出を必須とする運用は不適切です。治療や隔離生活で体力が低下しているため、職場復帰後1ヶ月は残業制限などの就業制限をかけることが望ましいです。なお、退院や療養解除後の新型コロナ患者から感染が広がることはないとされています。
濃厚接触者は感染者と最終接触日(感染者と同居している場合は感染者の療養終了日)の翌日から14日の出社制限をかけてください。保健所の指示などにより必要に応じてPCR検査を実施し、感染の有無を確認してください。14日後に症状が無ければ出社制限を解除してください。感染者と異なり体力の低下が認められないことが多いため就業制限は不要です。

社内で濃厚接触者を生まないために

新型コロナは飛沫感染がほとんどです。感染(濃厚接触者になることも含む)マスク着用で防げることが多いため、マスクを外す機会を減らしてください。当社で関わる事案は食堂、寮、喫煙室、会議室でマスクを外した例が目立ちます。また昼食は一人、全ての会食を禁止としてください。
職場でマスクを外す機会は食堂(食事をする場所)、更衣室、シャワー室、喫煙室に限られます。これらの場所では人数を制限する(可能であれば一人)、会話を制限する、会話をする際にはマスクを着用する、1m以上の距離を設ける、15分以上滞在しないことが求められます。コピー機、ドアのノブ、会議室の机などの共用部は毎日1回以上の消毒をしてください。

事業場の消毒、事業活動の継続についても相談を

保健所は濃厚接触者のこと以外にも消毒や事業活動についても相談を受け付けています。積極的疫学調査が中止されている現在でも、新型コロナで困ったことがあれば、保健所へ相談してください。当社が関わる事例では、消毒は「時間が経過しているため不要」、事業活動は「濃厚接触者がいないもしくは少ないため制限は不要」との意見がほとんどです。

WEBへの掲示、不動産オーナーへの報告を

感染者が出た場合に自社のホームページで周知することが一般となっています。お客さまなどのステークホルダーに安心してもらうためにも掲示をおすすめします。ビルに入っている場合、他のテナントさんに心配を与えるため、不動産オーナーへの報告も実施してください。事業場の消毒を行う際にオーナーの許可や報告が必須であることも理由です。
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