衛生管理の知識

WEB会議で衛生委員会の実施が可能になりました

WEB会議で衛生委員会、安全衛生委員会を実施することができるようになりました。基発0827第1号(令和2年8月27日)において、安全衛生委員会、衛生委員会をZoom、Microsoft Teams、LINEなどのWEB会議システムを用いて開催してもよいとの通達が出ました。
同一の会議室にたくさんの委員が集まることで感染症のリスクが高まったり、WEB会議システムが発達し対面と同等のコミュニケーションができるようになったことから、情報通信機器を用いて委員会を開催することへのニーズが高まり、要件を満たした場合にWEB会議システムの利用による委員会の実施が認められるようになりました。

産業医による職場巡視の頻度は月1回(例外で2ヶ月に1回とすることも可能)であり、産業医の訪問回数はコロナ禍前と変わりません。

安全衛生委員会、衛生委員会の設置要件

労働安全衛生法(以下、法)第17条、第18条及び第19条の規定に基づき、事業者は、業種及び規模の事業場ごとに、労働者の危険又は健康障害を防止するための基本となるべき対策等の重要事項を調査審議させ、事業者に対して意見を述べさせるため、衛生委員会又は安全衛生委員会(以下、委員会)設ける必要があります。

50名以上の全ての事業場では衛生委員会の開催、衛生管理者と産業医の選任が必要

労働者数が50名以上の事業場では衛生委員会の開催義務、衛生管理者の選任義務があります。

50名以上の一部の業種では安全衛生委員会の開催、安全管理者を選任が必要

一部の業種では、安全委員会(実際には衛生委員会と同時に開催するため安全衛生委員会とすることがほとんど)の開催義務、安全管理者の選任義務があります。上記の衛生管理者と産業医の選任義務もあります。

対象の業種

林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器等小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業

委員会の実施についての基本的な考え方

委員会は事業者が講ずべき安全衛生対策の推進について、労働者が事業者に対して意見を述べるための場です。労使が協力し合い、事業場における安全衛生や健康に係る事項について、十分に調査審議を尽くすことが必要不可欠です。
調査審議をするために、総括安全衛生管理者又は事業の実施を統括管理する者(経営者、人事・総務部長、工場長、支店長など)、衛生管理者、安全管理者(上記の安全管理者の選任の要件に該当する場合)、産業医、労働者で安全や衛生に関する経験を有する者が委員になり、月に1回、会議室に集まって委員会を実施することが前提です。それはコロナ禍前でも現在でも変わりません。
しかし、同一の会議室にたくさんの委員が集まることで感染症のリスクが高まったり、WEB会議システムを含む情報通信機器の技術が発達し対面と同等のコミュニケーションができるようになったことから、情報通信機器を用いて委員会を開催することへのニーズが高まり、要件を満たした場合にWEB会議システムの利用による委員会の実施が認められるようになりました。

情報通信機器を用いた委員会の開催に係る留意事項

委員会の開催に用いる情報通信機器について、次の1から3までの要件を全て満たす

  1. 委員が容易に利用できること
  2. 映像、音声等の送受信が常時安定しており、委員相互の意見交換等を円滑に実施することが可能なものであること
  3. 取り扱う個人情報の外部への情報漏洩の防止や外部からの不正アクセスの防止の措置が講じられていること

委員会の運営について、次の1又は2のいずれかの要件を満たす

  1. 対面により委員会を開催する場合と同様に、情報通信機器を用いた委員会において、委員相互の円滑な意見交換等が即時(メールや掲示板といった非同期での開催は即時にコミュニケーションができないため不適切です。Zoomなどの同期でコミュニケーションが実施される環境が必要です。)に行われ、必要な事項についての調査審議が尽くされていること。なお、音声通信による開催やチャット機能を用いた意見交換等による開催については、調査審議に必要な資料が確認でき、委員相互の円滑な意見交換等及び必要な事項についての十分な調査審議が可能であること。
    →この1の要件でZoomなどを用いたWEB会議で委員会を実施することが多い
  2. 情報通信機器を用いた安全委員会等は上記の1によって開催することを原則とする。委員相互の円滑な意見交換等及び必要な事項についての十分な調査審議が可能となるよう、開催期間、各委員への資料の共有方法及び意見の表明方法、委員相互で異なる意見が提出された場合の調整方法、調査審議の結果を踏まえて事業者に対して述べる意見の調整方法等について次の(ア)から(エ)までに掲げる事項に留意の上、予め安全委員会等で定められている場合は、電子メール等を活用した即時性のない方法により開催することとして差し支えない。
    (ア)資料の送付等から委員が意見を検討するための十分な期間を設けること。(イ)委員からの質問や意見が速やかに他の委員に共有され、委員間で意見の交換等を円滑に行うことができること。その際、十分な調査審議が可能となるよう、委員全員が質問や意見の内容を含む議論の経緯を確認できるようにすること。(ウ)委員からの意見表明等がない場合、当該委員に対し、資料の確認状況及び意見提出の意思を確認すること。(エ)電子メール等により多数の委員から異なる意見が提出された場合等には委員相互の意見の調整が煩雑となることから、各委員から提出された意見の調整に必要な連絡等を行う担当者を予め定める等、調査審議に支障を来すことがないようにすること。
    →この2の要件はコミュニケーションが円滑に進まないためお勧めできない

その他の留意事項

情報通信機器を用いて開催した委員会においても、議事録の作成をする必要があります。
産業医による職場巡視の頻度は月1回(例外で2ヶ月に1回とすることも可能)であり、産業医の訪問回数はコロナ禍前と変わりません。


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