衛生管理の知識

労働基準監督署からの是正勧告と指導票について

是正勧告と指導票は異なるものです。
労働基準監督署の監督官は臨検時に法令違反を発見すると是正勧告を出します。
法令違反では無い場合でも明らかに安全や衛生にとって問題があった場合には指導票を出します。

労働基準監督署は監督署?労基署?

当社は労働基準監督署のことを監督署といいますが、多くの人は労基署という言葉を使うようです。 業務で労働局(監督署の上部組織で各都道府県に1カ所ある)や労働基準監督署とやり取りをしている際に、彼らは労基署という言葉を使わずに監督署といっています。監督署で指導を行う担当者を監督官といいます。
監督署は警察署と同様に捜査機関という側面を持っています。事業者が法令違反を行った際には法人や代表者などを検挙することができます。

監督署が来る確率

年に5%といわれています。20年の企業活動で1回しか来ないことになりますが、他店舗展開している小売店や飲食店では毎年どこかの事業場に監督官が来るといっても過言ではありません。
大企業だけを狙い撃ちにしている訳ではありません。労働者が数名の事業場にも監督官が来ることがあります。実感としては小規模の事業場に監督が入ることが多いように感じます。
事前に連絡が来ることもありますが、無連絡でいきなり監督官が訪問することもあります。労災が多発している、重大な労災が発生した、労働者や元労働者から監督署に相談があった、若者を使い捨てしている可能性がある場合には通常よりも高確率で監督があります。

定期監督

約80%
年次計画により実施される調査

申告監督

約10%
内部通告や相談などにより実施される臨時の調査

災害監督

労働災害が多発したり、重大な労災発生した場合に実施される臨時の調査

監督官からの指導への対応

是正勧告は法令違反が認められた場合に出されます。対応する義務があると理解して下さい。早期に指導内容を改善し、改善の状況について労働基準監督署に報告して下さい。
指導票は法令違反ではありませんが、安全・衛生・健康面で不適切な場合に出されます。対応する義務はありませんが、対応をすることが望ましいと理解して下さい。早期に指導内容を改善し、是正勧告と同様に改善の状況について労働基準監督署に報告して下さい。
監督官から渡される指導書には改善すべき内容(法令違反の内容など)と出頭期限日が記載されています。
通常はどのように対応をしていいかが分からないと思いますので、産業医経験が豊富な産業医へご相談の上、すみやかに適切な対応を行って下さい。

指導された内容を放置しない

監督官は事業者に嫌がらせをするために指導をすることはありません。労働災害の予防、法令遵守(法令は労働災害を予防するためにあるともいえる)のために指導を行っています。
指導内容を改善すると労災が減る、健康の悪化リスクが減る、働きやすい環境ができるといったメリットがあります。指導があった際は、今の状況だと労災が発生しやすい、健康被害が出やすい、働きにくいといえます。
指導内容について前向きに考えて下さい。すみやかに指導内容の全てを改善して下さい。
多くの指導書を見ていますが、対応が難しい指導内容はほとんどありません。

時間外労働と指導票

平成29年11月の東京労働局のキャンペーンでは、指導対象となった事業場の50%で「時間外労働を月45時間以内にするように」との指導票が出されました。
このことから、36協定内の時間外労働であっても、時間外労働は月45時間以内にすることが求められます。
基本的には定時に仕事を終わらせ、時間外労働を行わないことが望ましいです。やむを得ず残業をさせる必要がある場合には月45時間以内として下さい。
参照:労働時間

一部の業種では臨検時に是正勧告ではなく指導票にして下さいと訴えることがあるようです。

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