50名未満の事業場にも労働基準監督署は来ます
臨検対象の事業場は労働者数と関係ありません。労働者数が数名の事業場に監督官が訪問する事例を多く経験しています。
臨検の種類
臨検にはいくつかの種類があります。定期的な訪問(定期監督)、労働者からの申告がある場合(申告監督)、労働災害を繰り返す場合や重大な労働災害が生じた場合(災害監督)、労働法令違反の疑いがある場合に分けられます。
約8割が定期監督です。「チクリがあったから労基署(当社では監督署という)が来た」という話をよく耳にしますが、実際にはスケジュール通りに実施されることがほとんどです。
当社のお客さまでは、4ヶ月連続で労災があった、定期健康診断結果報告書を提出しなかったことが原因と考えられる臨検があり、日頃から衛生・安全・健康に関する職場環境の改善が必要です。
臨検の確率
労働基準監督署が臨検する可能性はそれぞれの事業場あたり5%/年といわれており、20年に1回の確率です。
それぞれの事業場あたりの確率であり、複数の事業場がある企業の場合、10事業場では10事業場×5%=50%/年という高確率で、労働基準監督署の監督官の訪問があるかもしれません。
労災を繰り返している、過労死などの重大な労災請求がある、若者の使い捨てが疑われる、明らかに労働者が50名を超えているのに産業医の選任報告などを監督署に提出していない場合には狙い撃ちされることがあります。
もちろん、労働者からの告発がある場合にも同様に臨検の確率は上がります。
小規模事業場なら臨検は無い?
小売店や飲食店といった労働者が50名未満の事業場では産業医の選任義務はありません。
参照:衛生委員会と選任の早見表
「小規模の職場では監督官が来ない」という都市伝説をお客さまから伺ったことがありますが、実際には労働者数に関係無く、臨検の対象となります。
平成29年11月の東京労働局のキャンペーンにおいて、臨検を受けた事業場について、労働者数50名未満の事業場が68%でした。当社の事例でも同様の割合で小規模の事業場での臨検が多いようです。
労働者が50名未満の事業場では産業医の選任義務はありませんが、このような事業場でも労働環境を適切に整える必要があります。
労働環境が業績向上のカギ!
飲食店、小売店、介護施設、工場などの労働者が50名未満の事業場から多くのご依頼をいただいています。労働者が50名未満の事業場でも産業医(いない場合は他の医師)による健康診断の確認と事後措置、過重労働者の面談が義務となっています。
小規模事業場においても労災やメンタルヘルスの問題が多発しています。
労働環境が良い職場では労働者が定着し、愛社精神が醸成され、業績の向上が期待されます。
産業医の選任義務が無い職場でも積極的に産業医を利用し、職場の健康や衛生に対しての意識を高めることが望ましいと考えます。