有機溶剤中毒予防規則(有機則)
有機溶剤のうち、人体への影響が大きいと考えられている物質は有機溶剤中毒予防規則(有機則)で規制されています。
有機溶剤を利用する場合には、有機則に従って職場の管理を行う必要があります。
有機溶剤を利用する場合には、有機則に従って職場の管理を行う必要があります。
規制物質
有機則では有機溶剤を第1から第3種有機溶剤に分類しています。有機則では次の44種類の物質が指定されています。第1種が最も人体へ危険性が高く、第3種は比較的危険性が低いと考えられています。
基本的には第1種や第2種有機溶剤を利用せず、第3種もしくは有機則で規制されていない物質に変更すべきです。
第1種有機溶剤(2物質)
- 1,2-ジクロルエチレン
 - 二硫化炭素
 
第2種有機溶剤(35物質)
- アセトン
 - イソブチルアルコール
 - イソプロピルアルコール
 - イソペンチルアルコール
 - エチルエーテル
 - エチレングリコールモノエチルエーテル
 - エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート
 - エチレングリコールモノ―ノルマル―ブチルエーテル
 - エチレングリコールモノメチルエーテル
 - オルト-ジクロルベンゼン
 - キシレン
 - クレゾール
 - クロルベンゼン
 - 酢酸イソブチル
 - 酢酸イソプロピル
 - 酢酸イソペンチル
 - 酢酸エチル
 - 酢酸ノルマル―ブチル
 - 酢酸ノルマル―プロピル
 - 酢酸ノルマル―ペンチル
 - 酢酸メチル
 - シクロヘキサノール
 - シクロヘキサノン
 - N・N―ジメチルホルムアミド
 - テトラヒドロフラン
 - 1,1,1-トリクロルエタン
 - トルエン
 - ノルマルヘキサン
 - 1-ブタノール
 - 2-ブタノール
 - メタノール
 - メチルエチルケトン
 - メチルシクロヘキサノール
 - メチルシクロヘキサノン
 - メチル―ノルマル―ブチルケトン
 
第3種有機溶剤(7物質)
- ガソリン
 - コールタールナフサ
 - 石油エーテル
 - 石油ナフサ
 - 石油ベンジン
 - テレビン油
 - ミネラルスピリット
 
適用業務
屋内で有機溶剤を利用する業務には有機則が適用されます。- 有機溶剤等を製造する工程における有機溶剤等のろ過、混合、攪拌、加熱又は容器若しくは設備への注入の業務
 - 染料、医薬品、農薬、化学繊維、合成樹脂、有機顔料、油脂、香料、甘味料、火薬、写真薬品、ゴム若しくは可塑剤又はこれらのものの中間体を製造する工程における有機溶剤等のろ過、混合、攪拌又は加熱の業務
 - 有機溶剤含有物を用いて行う印刷の業務
 - 有機溶剤含有物を用いて行う文字の書込み又は描画の業務
 - 有機溶剤等を用いて行うつや出し、防水その他物の面の加工の業務
 - 接着のためにする有機溶剤等の塗布の業務
 - 接着のために有機溶剤等を塗布された物の接着の業務
 - 有機溶剤等を用いて行う洗浄又は払しよくの業務
 - 有機溶剤含有物を用いて行う塗装の業務
 - 有機溶剤等が付着している物の乾燥の業務
 - 有機溶剤等を用いて行う試験又は研究の業務
 - 有機溶剤等を入れたことのあるタンク(有機溶剤の蒸気の発散するおそれがないも のを除く)の内部における業務
 
有機則に載っていない有機溶剤は安全といえるか
法令で規制されていない物質の全てが安全とは言えません。新規に輸入・製造される化学物質は毎年1,000物質あります。それらの多くは市中に出て間もないため、安全性が評価されていません。
現在、比較的安全な物質として利用されていても、数十年後には有害であるという評価に変ることもあります。
また、多くの有機溶剤は大量に体内入ると中毒症状を及ぼすことが分かっています。
基本的には法令で規制されている物質(有機則は第1種、第2種。特化則は全て)を利用しないことが望ましいです。規制されていなくても、有機溶剤は有害なものと考えて下さい。
コントロールバンディングによるリスクアセスメントを実施しよう
平成28年6月1日、労働安全衛生法が改正され、SDS交付義務の対象となる物質(※平成29年3月1日時点で663物質)について事業場におけるリスクアセスメントが義務付けられました。多くの有機溶剤がSDS交付義務となっています。
コントロールバンディングを行うと簡単に有機溶剤のリスクアセスメントを実施することができます。「化学物質の有害性」、「物理的形態(揮発性・飛散性)」、「取扱量」の3つの要素からリスクレベルを評価でき、工学的な対策を決定することができます。
有害性の低い物質を使う、揮発性の低い物質を使う、物理的に囲う、使用量を減らすといった当たり前の対策を行うことによって安全性を高めることができます。
最初から防護具(防護マスクなど)を利用するという対策は不適切であり、作業環境管理から実施します。