上記の法定項目では生活習慣病や癌などの疾患を見逃してしまうことがあります。健康経営や福利厚生の観点から、人間ドック、生活習慣病健診、癌検診を実施する企業が増え、受検者は年々増加しています。人間ドックでは胃カメラや便潜血など、生活習慣病健診では腹部エコーや眼底検査などが実施されます。これらは法定外の検査であり、事業場で保管する義務はありません。労働者の癌の多くは乳癌です。このため産業医の立場では事業者に乳癌に対する法定外の検査の実施を推奨しています。マンモグラフィー、乳腺エコー、医師による触診が該当します。大腸癌に対しての便潜血も簡便で費用対効果が高いため推奨しています。一方、腫瘍マーカーの検査、PET-CTは推奨していません。
定期健康診断を実施した際と同様に、法定外の検査項目を含む人間ドックや生活習慣病健診の結果を本人の同意を得ずに事業場で保管している事例が目立ちます。本人が自主的に事業者に提出した場合は問題ありません。
当社では法定外の健診結果を会社で保管する際の同意書をお客さまに提供しています。労働者が法定外の項目を事業場で保管することを望まない場合は、労働者が法定外の項目を黒塗りにして事業者へ提出をするようにしてください。健康診断の結果はプライバシー情報です。誰がどのように扱うかなどをきちんとルール化して下さい。
笑うことでメンタルヘルスの状態を改善することができます。気持ちが落ち込んでいる、意欲が出ない、寝られない、不安が強いなら、笑うことを試してみませんか?笑いはメンタルだけでなく免疫力を高めることもできます。コロナ禍の今だからこそ、笑いを大切にしてみませんか?笑ってうつもコロナも吹き飛ばしましょう。
こころの病気は増えている
最新の患者調査(2018年版)によると気分障害(うつ病が含まれる)は1999年44.1万人、年2008年104.1万人、2017年127.6万人と増加傾向にあります。神経症(パニック障害や適応障害が含まれる)も同様に増加傾向にあり、誰もがこころの病気に罹患する可能性があります。気分障害は64歳までが全体の約70%、神経症は約75%です。残念ながら20歳から54歳までの死因では自殺がTOP3に入っている状態が続いています。これらの状況から企業でのメンタルヘルス対策は必須で、精神科専門医が産業医を担う必要性が高まっています。

厚労省WEBサイトより
産業医復帰後の定着は笑いが重要
産業医の業務に「不調者の職場復帰面談」があります。法定では義務とされていませんが、労働者数に関係なく、ほとんどの企業で不調者が職場復帰をする際に、主治医から復帰可能と書かれた診断書が提出された後に産業医面談が実施されます。
主治医は不調者が職場でどのように働いているかや就業規則などを十分に知ることができないため、日常生活をある程度問題なくこなせていれば「復帰可能」と判断をします。産業医は主治医と同様に面談を通じて医学的に体調を把握できる上に、定期的に職場を巡視したり、企業のルールを知っているため、より適切に体調を精査することができます。産業医面談時に明らかに就業に耐えられない体調と判断した場合は、産業医は「復帰不可」と意見をすることがあります。厚労省は職場復帰支援の手引きで「主治医の診断日常生活における病状の回復程度によって職場復帰の可能性を判断していることが多く、必ずしも職場で求められる業務遂行能力まで回復している判断とは限らない。業務遂行能力の内容などについて産業医が精査した上で意見を述べることが重要」との旨を述べています。
私は産業医面談時に心身の状態について様々な角度で質問をします。「最近笑うことがあったか」「以前と同様に笑ったり、楽しめているか」「趣味や興味があることを取り組めているか」という質問に「はい」と答えられる場合や、面談中に笑顔(特に体調不良の原因について話してもう際に笑顔が認められる時)、冗談、雑談が認められる場合は高評価としています。産業医、精神科専門医としての外来での経験から、笑いが表出される場合にはメンタルが回復している可能性が高く、職場復帰後の定着が良いことを何度も経験しているからです。私は精神科専門医の産業医として「笑い」を重視しています。
笑いでストレスホルモンを減らせる
大阪府立健康科学センターの研究です。うつ病の患者はストレスホルモンであるコルチゾル(コルチゾールともいう)が高いことが知られています。お笑いを聞く前後で唾液に含まれるコルチゾルの変化が調べられました。お笑いを聞いた後のコルチゾルは半減していました。特に女性、以前から落語を聞いている人、いつも笑っている人でこの傾向が目立ちました。
笑いでうつや不眠を減らせる
吉野慎一先生の研究です。慢性関節リウマチは自己免疫の異常で、本人の免疫が本人の体を攻撃する疾患です。患者に落語を聞かせてた前後で痛みの変化が調べられました。
落語を聞いた後は炎症を示すインターロイキン6(IL-6)が顕著に低下していました。一部の患者では正常値になっていました。
間接リウマチのうつ病の合併率は16.8%との報告、IL-6が低い群と高い群を比較すると、前者は抑うつ症状・睡眠障害が有意に多いとの報告があります。これらから笑いでIL-6が下がり、リウマチ、うつ、不眠を改善できる可能性があるといえます。
笑いは運動と同様の効果がある
笑いと健康の本(昇幹夫先生)にある米国笑い療法研究学会の研究です。笑うことによるバイタルサインの変化が調べられました。大笑いをした後は心拍数は60から120回/分程度まで、血圧は120から200mmHg近くまで上昇しました。呼吸は浅く、早くなりました。
自律神経は交換神経と副交感神経でできています。笑いにより交換神経が活発になり、このような心拍数や血圧などへの効果が認められます。笑い終わると筋肉の緊張が解消し、心拍数と血圧は徐々に下がり元に戻ります。呼吸は深い呼吸となり、血中酸素濃度が高くなります。運動はメンタルヘルスへ良い影響を与えることはご存じの通りです。笑った後の結果は心地よい運動後の状態と同様の現象であり、笑いによってストレスを解消させるといえます。
笑いは良い心理状態を作る
同様に笑いと健康からのものです。脳にはβエンドルフィンという神経物質があり、これは鎮痛作用を持っています。マラソンをしている際にはこれが上昇し、ランナーズハイという状態になることがあります。笑った後にβエンドルフィンの増加が認められ、ランナーズハイのような心地よい心理状態になることができます。脳は部位毎に役割が異なっており、右脳は情緒、左脳は論理と関係しています。笑いの中枢は右脳で、情緒と関係するため、笑うことで同様に良い心理状態を作ることができます。
笑いとNK細胞
笑うとNK細胞が増え、免疫力が強くなります。慢性間接リウマチを含む自己免疫疾患、癌などの慢性疾患には免疫が関係しており、これらには少なからずNK細胞が影響しています。慢性疾患にはうつ病などのメンタル不調を高頻度で合併します。上述の通り、うつ病ではコルチゾルが増えます。コルチゾルはステロイドの一種です。コルチゾルは免疫力を下げるため、うつ病でコルチゾルが増加すると免疫力が下がり、癌などが悪化する可能性があります。
うつ病ではナチュラルキラー細胞の減少があると報告されています。笑うことでNK細胞が活性化されることは癌の予防だけでなく、うつ病の改善にもつながるといえます。もちろんコロナは免疫力が低くなると感染しやすくなるため、笑うことはコロナの予防にもなります。
笑いは劇場がおすすめ
劇場で見るお笑いはテレビと異なります。劇場は非日常空間であり、家でお笑いを見るよりもアドレナリンやドパミンがたくさん出ます。ストレスを発散させたい、落ち込んだ気持ちを回復させたい場合は会社に帰り道に劇場に足を運んでください。
知っている芸人が少なくても、知らない芸人がたくさん笑わせてくれます。オール阪神・巨人さんのしゃべくり漫才を見ると老若男女、誰でも大爆笑間違いなしです。あっと言う間に時間が過ぎ、気持ちがすっきりします。劇場で周囲のお客さんを見てください、大トリが終わる際には全員が笑顔で帰路につくはずで、もちろんあなたもその一人です。
こころの健康は吐き出すことが基本
笑う以外にもストレスを発散させることができ、吐き出すことが基本です。メンタルヘルスの専門医に相談する、日記を書く、家族や友達に話すとった方法は簡単にできます。国や自治体は電話相談窓口を持っており、24時間いつでも相談することができます。企業で働いている方でメンタル面で困ったことがあれば気軽に産業医に相談をしてください。
もしこころに余裕ができればあなたも聞き手になってください。聞き手(笑わせ役)になることで、誰かのメンタルの状態を回復させることができます。聞き手の立場になると、同じ人に話し続けられることで聞き手が疲弊することを理解することもできます。
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2023年から2024年にかけて労働安全衛生規則などが改正されます。インパクトが一番大きいのは、有機則や特化則の特殊健診を6ヶ月に1回から1年に1回に減らすことができることです。義務化される内容が多いため、改正された内容をきちんと理解し、励行してください。今後は有機溶剤などを事業場では責任をもって自主管理をする方針となり、産業医や衛生委員会の役割がより重要になります。
当社では有機則、特化則の事業場での産業医業務の経験が豊富です。お気軽にご依頼ください。
健康診断の実施頻度の緩和(2023年4月1日施行)
今回の法令改正で一番インパクトがある内容です。要件を満たす化学物質の作業環境管理、作業管理がきちんとできている事業場では健診の頻度を6ヶ月に1回から年に1回に減らすことができます。有機溶剤、特定化学物質(特別管理物質などを除く)などの実施頻度について、作業環境管理やばく露防止対策などが適切に実施されている場合には、健康診断の実施
頻度を1年以内ごとに1回に緩和することができます。
産業医の助言を踏まえて、事業場単位ではなく事業者が労働者ごとに行い、衛生委員会での審議を経てください。同一の作業場で作業内容が同じで、同程度のばく露があると考えられる労働者が複数いる場合には、その集団の全員が上記要件を満たしている場合に実施頻度を1年以内ごとに1回に見直してください。
健康診断結果の結果は労働安全衛生規則にて5年間保存するよう定められています。特殊健診対象の該当物質を取り扱わなくなっても、その労働者を雇用している以上特殊健診を実施する必要があります。
要件は以下の全てを満たす場合です。①労働者が作業する単位作業場所における直近3回の作業環境測定結果が第一管理区分に区分(※四アルキル鉛を除く)②直近3回の健康診断において、労働者に新たな異常所見がない③直近の健康診断実施日からばく露の程度に大きな影響を与えるような作業内容の変更がない。
化学物質管理者の選任の義務化(2024(令和6年)年4月1日施行)
リスクアセスメント対象物(2018年時点で673物質で年々増加)を製造し、又は取り扱う事業場が対象で、業種や規模要件はありませんが、小売店などで一般消費者の生活の用に供される製品のみを取り扱う事業場は対象外です。個別の作業現場毎に選任する必要はなく、工場や営業所といった事業場単位で化学物質管理者を選任することになります。
選任要件は化学物質の管理に係る業務を適切に実施できる能力を有する者となり、リスクアセスメント対象物の製造事業場では専門的講習(現時点では未確定)の修了者、リスクアセスメント対象物の製造事業場以外の事業場では資格要件はありません。
保護具着用管理責任者の選任の義務化(2024年4月1日施行)
リスクアセスメントに基づく措置として労働者に保護具を使用させる事業場が対象です。マトリクスやコントロールバンディングなどを用いてリスクアセスメントをし、リスク低減措置として保護部を着用と判断した場合が対象です。リスクアセスメントの結果が低リスクであっても、SDSで保護具の記載があれば保護具の着用が必要なため、リスクアセスメントの有無に関係無く義務化されると考えてください。
選任要件は保護具について一定の経験及び知識を有する者であり、現時点では未確定ですが衛生管理者などの一定の経験及び知識を有する者とされる予定です。
雇入れ時教育の拡充(2024年4月1日施行)
全ての事業場で雇い入れ教育が義務化されます。特定の業種においては一部教育項目の省略が認められていましたが、省略規定が廃止されます。危険性・有害性のある化学物質を製造し、又は取り扱う全ての事業場において、化学物質の安全衛生に関する必要な教育が行われることになり、本来のあるべき姿になります。
SDSなどによる通知方法の柔軟化(2022年3月23日施行)
SDS情報の通知手段は文書の交付もしくは相手方が承諾した方法(磁気ディスクの交付、FAX送信など)でした。紙かPDFでのデジタルデータでの受け渡しが一般的でした。今後は相手が容易に確認可能な方法であれば、事前に相手方の承諾を得なくても採用することができるようになります。以前の方法だけでなく、電子メール送信、通知事項が記載されたホームページのアドレス、二次元コードなどを伝達し、閲覧を求めるといった手段が可能になります。
人体に及ぼす作用の定期確認及び更新(2023年4月1日施行)
SDSの交付が義務となっている物質について、SDSの通知事項の一つである「人体に及ぼす作用」について、定期的に確認・更新し、変更内容の通知を行う必要が生じます。5年以内ごとに記載内容を確認し、変更がある時は1年以内に更新し、変更した時は変更内容を通知することになります。SDS交付が努力義務となっていない物質などは努力義務となります。
SDSなどによる通知事項の追加及び含有率表示の適正化(2024年4月1日施行)
SDSの通知事項に「(譲渡提供時に)想定される用途及び用途における使用上の注意」が追加、「成分及びその含有量」における成分の含有量の記載について、重量パーセントの記載が必要になります。
化学物質を事業場内で別容器などで保管する際の措置の強化(2023年4月1日施行)
有機溶剤を事業場内で小分けする場面は一般的ですが、小分けされた容器に物質名などが記載されていない事例が散見されました。労働安全衛生法第57条で譲渡・提供時のラベル表示が義務付けられている危険・有害物質について、他の容器に移し替えて保存する場合は内容物の名称やその危険性・有害性情報をラベルを貼付するなどをする必要があります。
リスクアセスメント結果などに係る記録の作成及び保存(2023年4月1日施行)
リスクアセスメントの結果及び結果に基づき労働者の健康障害を防止するための措置の内容などについて、記録を作成し、次のリスクアセスメントを行うまでの期間保存し、労働者に周知する必要があります。リスクアセスメントが3年以内に実施される場合は3年間となります。
労働災害発生事業場などへの労働基準監督署長による指示(2024年4月1日施行)
労働基準監督署長が事業場における化学物質の管理が適切に行われていない疑いがあると判断した場合は、事業者に対し、改善を指示することになります。改善の指示を受けた事業者は化学物質管理専門家(労働衛生コンサルタントなど)から、リスクアセスメントの結果に基づき講じた措置の有効性の確認及び望ましい改善措置に関する助言を受けた上で、改善計画を作成し、労基署に報告し、改善措置を実施することになります。
リスクアセスメント対象物にばく露される濃度の低減措置(2023年4月1日施行)
代替物などの使用、発散源を密閉する設備や局所排気装置又は全体換気装置の設置及び稼働、作業の方法の改善、有効な呼吸用保護具の使用でばく露の程度を最小限度にする必要があります。措置の内容及び労働者のばく露の状況についての労働者の意見聴取、記録作成・保存(基本は3年)する必要もあります。リスクアセスメント対象物以外の物質にばく露される濃度を最小限とする努力義務も課せられます。
リスクアセスメントの結果に基づき事業者が自ら選択して講じるばく露防止措置の一環としての健康診断の実施・記録作成など(2024年4月1日施行)
健康影響の確認のため、事業者は労働者の意見を聴き、必要があると認めるときは、医師又は医師が必要と認める項目についての健康診断を行い、その結果に基づき必要な措置を実施し、健康診断を実施した場合は、5年間保存する必要があります。
化学物質への直接接触の防止(努力義務は2023年4月1日、義務は2024年4月1日施行)
我が国の法令は経気道による化学物質のばく露を想定したものとなっていました。昨今は経皮で吸収され、癌を含む多々の健康障害を起こす物質が多いことが明らかになっています。年々新たに化学物質が製造・使用される一方で、健康障害を含む安全性が分かっていない物質が非常に多い現状もあります。今後は経皮ばく露を含めた自主管理をきちんと行い、原則として全ての化学物質を取り扱う際に保護手袋などが必要となります。
皮膚・眼刺激性、皮膚腐食性又は皮膚から吸収され健康障害を引き起こしうる有害性に応じて、物質又は物質を含有する製剤を製造し、又は取り扱う業務に労働者を従事させる場合には、労働者に皮膚障害など防止用保護具を使用させる必要があります。健康障害を起こすおそれのあることが明らかな物質を製造し、又は取り扱う業務に従事する労働者は保護眼鏡、不浸透性の保護衣、保護手袋又は履物など適切な保護具の使用する必要があります。健康障害のおそれがないことが明らかなもの以外の物質を取り扱う場合は努力義務となります。
衛生委員会の付議事項の追加(2023年4月1日施行)
衛生委員会における付議事項にリスクアセスメント対象物にばく露される濃度の低減措置と健康診断の実施と記録作成が含まれるようになり、化学物質の自律的な管理の実施状況の調査審議が義務付けられます。
がんなどの遅発性疾病の把握の強化(2023年4月1日施行)
化学物質を取り扱う事業場において、1年に複数の労働者が同種のがんに罹患したことを把握したときは、業務に起因する可能性について医師の意見を聴き、医師が業務に起因するものと疑われると判断した場合は、遅滞なく、従事業務の内容などについて、労働局長に報告する必要があります。
個別指定の適応除外(2023年4月1日施行)
厳しい要件のため適応除外の申請をする事例は極めて希です。化学物質管理の水準が一定以上であると労働局長が認定した事業場は、物質の管理を事業者による自律的な管理(リスクアセスメントに基づく管理)に委ねることができます。専属の化学物質管理専門家(労働衛生コンサルタントなど)を選任すること、全てが第一管理区分であること、特殊健康診断で新たに異常所見があると認められる労働者がいないことなどが条件です。
第三管理区分の事業場に対する措置の強化(2024年4月1日施行)
外部の作業環境管理専門家(労働衛生コンサルタントなど)の意見を聴き、改善が可能な場合、専門家の意見を勘案して必要な改善措置を講じ、改善措置の効果を確認するための濃度測定を行い、その結果を評価する必要があります。改善が困難と判断した場合、個人サンプリング法などによる化学物質の濃度測定、保護具の着用などが義務化されます。
歯科健診は労働者数に関係なく届け出義務化(2023年10月1日施行)
労働安全衛生法第66条第3項において、事業者は、有害な業務※に従事する労働者に対し、歯科医師による健康診断を行い、安衛則第52条の規定により、常時50人以上の労働者を使用する事業者は 、歯科健康診断を行ったときは、労基署に提出する義務が課せられていました。50名未満の事業場で健診の実施率が低い(提出する必要がないから実施しなくてもばれなかったからでしょうか・・・)ことから、労働者数に関係なく労基署への届け出義務が発生することになりました。
従前から特定化学物質障害予防規則(特化則)や有機溶剤中毒予防規則(有機則)の特殊健診は労働者数に関係なく届け出義務があったため、全ての健診が労働者数に関係なく届け出義務が発生することになりました。
※塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、フッ化水素、黄りんその他歯又はその支持組織に有害な物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務
スケジュール
労働安全衛生規などが改正されるスケジュールは次の通りです。今から産業医の意見を聞いた上で、速やかに対応をしてください。
図表は厚労省より承諾を得て利用。
産業医のご依頼はこちら
NHKのNews Upに梶本隆夫産業医が取材協力させていただきました。こちらからご覧下さい。この記事はオミクロン株が流行る前に記載したものです。
NHKのニュースで「スポーツ会場やコンサート会場に行くことで健康になる」という話しをしました。会場に行き、非日常の体験をすることでアドレナリンやドパミンなどの分泌がさらに促され、メンタルにも身体にもより良い影響を与えます。
アドレナリンやドパミンなどの脳内物質を理解し、コントロールできれば、人生を変えられると言っても過言ではないかもしれません。エンターテインメントは私達の人生を豊かにし、エンタテインメントがあるから私達は日頃の辛いことを頑張ることができます。感染状況や変異株の状況も考慮しながら感染防止対策と経済社会活動の両立が求められます。
スポーツの応援は力になる!
当社は産業医業務だけでなく、スポーツやコンサート会場でのコロナ・熱中症対策を請け負っています。代表の梶本隆夫産業医はスポーツドクターとして東京オリンピックなどでの医務室、精神科医としてスポーツ選手などの診察歴が豊富です。
今回はNHKのニュースで「スポーツ会場やコンサート会場に行くことで健康になる」という話しをしました。自宅のTVでスポーツ観戦をしたり、好きなアーティストのDVDを見るだけでも心身へ良い影響を与えます。会場に足を運んで生で非日常の体験をすることでアドレナリンやドパミンなどの分泌がさらに促され、メンタルにも身体にもより良い影響を与えるということを説明しました。
アドレナリンやドパミンはメンタル面においてポジティブな気持ちを持てたり、嫌な気持ちを吹き飛ばす作用があります。身体面において力がみなぎったり、疲れが吹き飛ばす作用があります。生で選手の活躍を見ることで、感動、夢、生きがいが生まれ、人生が明るくなることもあります。
声援は止めよう
会場で声を出して応援することでさらにドパミンやアドレナリンが分泌されます。大声で歌ったり、笑うことでストレスホルモンであるコルチゾルが減ることも分かっています。スポーツやコンサートを見に行くことで、幸福感が得られ、気持ちが落ち着き、元気になることは科学的に正しいと言えます。
観戦に夢中になってマスクを外してしまう人がいたり、顔とマスクのサイズがあっていない人がいたり、ウイルスの透過性が高いマスクを使っている人がいた場合、皆が大声で選手を応援してしまうと、新型コロナを広げてしまう可能性が高くなります。全員がそれぞれに合う不織布マスクを着用することは現実的には困難です。
新型コロナウイルスは飛沫感染で感染が広がることが分かっています。声援で飛沫感染のリスクが増えるため、声を出さずに応援することが望ましいです。コロナが終息するまでは声援を控え、拍手や起立で選手に気持ちを伝えましょう。
競技場やコンサート会場は危険なのか
会場は観客もスタッフも全員がマスクをしています。さらに検温、手指消毒、換気、人数制限、イベントによっては陰性証明やワクチン接種などが実施されています。
屋外会場は常に新鮮な空気に入れ替わっています。屋内会場は気積が極めて大きく換気性能が高いことが知られています。多くの人を会場に集客していても、全員がマスクを着用し、静かに観戦していれば満員の通勤電車と比較して危険とはいえません。
Lancet Infectious Diseasesによると2021年5月29日にパリのAccor Arenaという屋内会場でライブが行われた際に、ライブ参加者と非参加の一般住人の陽性割合は0.2%(8人陽性)、0.15%(3人陽性)で有意差はありませんでした。対象者は入場3日前に抗原検査で陰性を確認し、14日間追跡されています。入場時にマスク着用、検温、手指消毒、体調確認があり、会場内ではマスク着用アルコールの提供はありませんでした。物理的な距離を置かず、いわゆる密な状態で開催されました。きちんと対策をすればライブを開催してもクラスターになる可能性は少ないといえます。当社が関わった数千から数万人の来客があったスポーツイベント、コンサートではコロナのクラスターは一例もありません。
無観客試合の結果、メンタル不調が増えた?
メンタルの外来や産業医面談を通じて、スポーツ観戦やコンサートへの参加が生きがいの方がコロナ禍で参加できなくなり、精神症状が悪化する事例を少なからず経験しています。うつ病の方がうつ病を悪化させて働けなくなったり、健康な方がうつ病に近い状態になるなど、コロナによる行動の自粛がメンタルに大きな影響を与えていました。
生きがいは人それぞれです。スポーツを生で見ること、アイドルのコンサートに行くことを人生で一番大事にしている方がいるのは事実です。精神科の治療は精神療法(カウンセリング)、環境調整、薬、気分転換が4本柱です。
スポーツ観戦などの趣味をもっていると、趣味を通じて気分転換ができ、メンタルの状態を改善することができます(もちろんうつ病の方は興味の喪失が主症状の一つのため、抑うつ状態が著しいと楽しむことができません)。軽いうつ病の方、適応障害で職場のストレスに悩んでいる方、パニック障害で通勤電車に乗れない方で気分の改善を図りたい場合、スポーツ観戦やコンサートに参加(もちろん、読書、旅行、温泉などでも問題ありません)することを検討してください。アドレナリンやドパミンなどの脳内物質を理解し、コントロールできれば、人生を変えられると言っても過言ではないかもしれません。
コロナ禍において感染対策が優先されるのはやむを得ないことです。エンターテインメントは私達の人生を豊かにし、エンタテインメントがあるから私達は日頃の辛いことを頑張ることができます。
人と人が直接ふれあうことによって、五感で相互を理解し、自分の存在を認識できます。コロナ禍で人と人の接点が減少し、PCやスマホでのコミュニケーションばかりになり、大事なものを失いました。他人とのコミュニケーションに齟齬が生じやすくなり、他人との助け合いが減り、時に生きる気を失うことがあります。会うことが、いちばんです。感染状況や変異株の状況も考慮しながら感染防止対策と経済社会活動の両立が求められます。
当社の提供業務
当社は産業医業務だけでなく、スポーツ会場の健康管理、メンタルヘルスの取材などを請け負っています。業務や取材の依頼についてお気軽にお問い合わせください。
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東京などでは新型コロナの患者数の増加に伴い、保健所による積極的疫学調査が行われなくなっています。社内で感染者が生じた場合、社内で濃厚接触者を調査して保健所へ報告する機会が増えています。産業医の立場で、社内で行う濃厚接触者の調査と、保健所へ相談手順について記載します。
保健所による積極的疫学調査の縮小
新型コロナの感染者数の増加に伴い、東京などの患者数が多い自治体において、保健所機能がパンクしています。東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県などは濃厚接触者や感染経路を詳しく調べる「積極的疫学調査」を縮小する方針を各保健所に通知しています。
以前は社内で新型コロナの感染者が出た場合、事業者が感染者が勤務する事業場を管轄する保健所に社内で感染者が出た旨を相談すると、社内の濃厚接触者の有無について意見をもらうことができていました。現在は保健所から「社内で濃厚接触者の調査をし、結果を報告してください」と言われる機会が増えています。
社内で感染者が出た場合の手順
以前と異なり、社内で濃厚接触者の調査を実施する手順が増えました。
「社内で濃厚接触者の調査を実施」、「保健所へ社内調査の結果を報告」、「濃厚接触者の決定(保健所が行わない場合は社内で濃厚接触者の決定)」、「濃厚接触者へ通知」という流れになります。
社内で濃厚接触者を調査
調査対象期間
感染者が発症する2日前から最終出勤日までが調査対象となります。発症する2日前から感染力があることが分かっています。デルタ株の場合、発症する3日前から感染力があるとされていますが、現状は発症2日前からを調査対象とすることが一般的です。
対象場所と対象者
感染者と一緒になる場面で、マスク未着用、1m以内、15分以上の3要件のうち、1要件を満たす場所にいた人が対象です。以前は3要件の全て満たす場合とされていましたが、現在流行しているデルタ株は感染力が強いことが分かっており、1つの要件でも感染することが分かっています。
保健所へ社内調査の結果を報告
事業者が感染者が勤務する事業場を管轄する保健所に社内調査の結果を相談してください。感染者が居住する自治体ではなく、感染者が勤務していた自治体の保健所となります。
濃厚接触者の決定
保健所が濃厚接触者を決定することが一般的です。上述の通り、保健所が積極的疫学調査を実施しなくなっていることから、保健所が濃厚接触者を決めない事例が報告されています。この場合は社内調査を根拠として社内で濃厚接触者を定めてください。
濃厚接触者への通知
保健所が濃厚接触者へ連絡をしない場合、事業者が連絡することになります。伝える内容は、「濃厚接触者とされたこと」、「出社できないこと(在宅勤務は可能)」、「PCR検査を推奨すること」、「給与や復帰までの流れといった就業規則について」です。濃厚接触者が社外の者である場合も通知してください。
感染者は就業禁止、濃厚接触者は出社禁止
感染者は就業禁止とし、療養に専念させてください。原則として有症状者は①発症日から10日間経過かつ症状軽快後72時間経過した場合、無症状者はPCR検査実施日から10日間経過した場合に療養終了となります。保健所もしくは主治医から療養終了の意見をもらい、症状が無くなった後に職場復帰させてください。療養証明が出されるまでに1ヶ月程度時間を要したり、出されないことがあるため、復帰時に療養証明の提出を必須とする運用は不適切です。治療や隔離生活で体力が低下しているため、職場復帰後1ヶ月は残業制限などの就業制限をかけることが望ましいです。なお、退院や療養解除後の新型コロナ患者から感染が広がることはないとされています。
濃厚接触者は感染者と最終接触日(感染者と同居している場合は感染者の療養終了日)の翌日から14日の出社制限をかけてください。保健所の指示などにより必要に応じてPCR検査を実施し、感染の有無を確認してください。14日後に症状が無ければ出社制限を解除してください。感染者と異なり体力の低下が認められないことが多いため就業制限は不要です。
社内で濃厚接触者を生まないために
新型コロナは飛沫感染がほとんどです。感染(濃厚接触者になることも含む)マスク着用で防げることが多いため、マスクを外す機会を減らしてください。当社で関わる事案は食堂、寮、喫煙室、会議室でマスクを外した例が目立ちます。また昼食は一人、全ての会食を禁止としてください。
職場でマスクを外す機会は食堂(食事をする場所)、更衣室、シャワー室、喫煙室に限られます。これらの場所では人数を制限する(可能であれば一人)、会話を制限する、会話をする際にはマスクを着用する、1m以上の距離を設ける、15分以上滞在しないことが求められます。コピー機、ドアのノブ、会議室の机などの共用部は毎日1回以上の消毒をしてください。
事業場の消毒、事業活動の継続についても相談を
保健所は濃厚接触者のこと以外にも消毒や事業活動についても相談を受け付けています。積極的疫学調査が中止されている現在でも、新型コロナで困ったことがあれば、保健所へ相談してください。当社が関わる事例では、消毒は「時間が経過しているため不要」、事業活動は「濃厚接触者がいないもしくは少ないため制限は不要」との意見がほとんどです。
WEBへの掲示、不動産オーナーへの報告を
感染者が出た場合に自社のホームページで周知することが一般となっています。お客さまなどのステークホルダーに安心してもらうためにも掲示をおすすめします。ビルに入っている場合、他のテナントさんに心配を与えるため、不動産オーナーへの報告も実施してください。事業場の消毒を行う際にオーナーの許可や報告が必須であることも理由です。
当社の産業医は新型コロナの対応になれています。お気軽にお問い合わせ下さい。
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非常勤医師として働いている医療機関と自治体のご配慮により新型コロナのワクチンを接種させていただきました。ワクチンを打つまでの流れと、副作用、感じていることを書かせていただきます。
産業医がワクチンを打った背景
医療者は新型コロナワクチンを優先的に接種できます。この医療者は医師免許や看護師免許の有資格者を示さず、医療の現場で働いている者のことです。病院で働く医師、クリニックで働く看護師だけでなく、医療機関で事務員をしている医療系の資格を持たない者も優先接種の対象者となります。有資格者でも医療現場で働いていない者は優先接種の対象となりません。産業医は医療機関ではなく企業内で働いているため優先接種の対象となりません。現在も多くの産業医がワクチンを打ていません。
私は産業医をしている時間がほとんどですが、週2日だけ精神科専門医として医療機関で臨床業務を行っています。高齢者を診察する機会が多いため、勤務先の医療機関と自治体のご配慮により、新型コロナワクチンの優先接種者に選んでいただき、ワクチンを受けることができました。
1回目のワクチン
2021年2月に勤務先の医療機関でワクチンの希望者を募っており、ワクチン接種を希望する旨を伝えました。しかし、いつ、どこで、誰が打つかについての情報はありませんでした。早く打ちたいという気持ちを持ちつつも、ワクチンについての連絡が来ないため、3月にはワクチンを申し込んだことすら忘れてしまいました。
3月に「4月頃に打てるかもしれない」と連絡がありました。4月第2週に「第3週に打てるがどうしますか」と連絡があり、希望する旨を伝えました。しかし、第3週になるも「ワクチンの納品が無い」と連絡があり予定していた日に打てませんでした。この頃にいつもの臨床業務をしていると、ワクチン接種済みの高齢者が何十人もおられ、ワクチンを打っていない私や看護師さんが医療を提供するといった違和感を抱えながら診療を続けていました。
3月第3週の週末に「翌週に納品がある見込み」と言われ、4月27日に接種しました。2回目の接種は3週後の5月第3週を予定しているが、実際に打てるか若干不安です。
1回目の副作用
接種直後・・・接種時の痛みはインフルのワクチンと変わらず、チクッとする程度のものでした。出血はありませんでした。消毒液にアレルギーがあるため、アナフィラキシーショックが心配でしたが、待機場所で15分休憩している際にアレルギー症状は認められませんでした。
接種1時間後・・・倦怠感、頭痛、軽い浮動性のめまいといった感冒様の症状と、接種部位の腫脹と弱い疼痛が出現しました。PCで作業をしていると若干ぼーっとするような感覚がありましたが、仕事への影響は一切ありませんでした。
接種日夜・・・感冒様症状は変わらず、発熱はありませんでした。接種部位のさらなる腫脹と強い疼痛がありました。痛みはいわゆる運動後の筋肉痛のようなもので、肩全体に激しい痛みが生じました。いつものように食事、入浴をし、たくさん寝ました。
投与1日後・・・感冒様の倦怠感、頭痛は悪化せず、発熱はありませんでした。腫脹と疼痛は前夜よりも悪化し、腕を速やかに動かすことができなくなりました。
投与2日後・・・副作用が無くなりました。感冒様症状、接種部の腫脹と疼痛は軽快しました。
2回目のワクチン
2021年5月第3週に2回目のワクチンを打ちました。1回目と同様の左肩に接種しました。
2回目の副作用
1回目よりも2回目のほうが副作用が出やすく、副作用が重篤と聞いてましたが、2回目の副作用は目立ちませんでした。2日ほど左肩の筋肉痛様の疼痛があったのみです。
ワクチンについて思うこと
産業医面談で労働者から「ワクチンを打てば無敵になる。マスクを外せるし、飲み会にも行ける」といった話を聞くことがありました。
mRNAワクチン(ファイザー・バイオンテック、モデルナ)は感染予防効果や重症化リスクを90%以上減らしたり変異型ウイルスに効果があることが分かっていますが、感染や重症化を完全に防ぐことはできません。生産年齢の方がワクチンを受けられる日がいつ来るか分かりませんし、ワクチンが長期的に効果があるかも分かりません。ワクチンが効かない変異型ウイルスが出現する可能性もあります。従って、今後も私たちはマスクを着け、手指消毒をすることになりますし、事業者は在宅勤務を続け、社内での感染対策に努める日々が続くことになります。
4月から高齢者のワクチン接種が開始になり、一部の医療者を追い越して高齢者へ接種されるようになりました。ワクチンを打たない医師(当時の私)や看護師が、ワクチン接種済みの高齢者を診察することに強い違和感を抱きました。高齢者の接種は極めて大切ですが、医療者のワクチン接種をもう少し円滑に進めるべきだったのではと思っています。
産業医として日本全国からワクチンについての情報が届いています。関西、福岡、首都圏といったコロナ患者が多い地域よりも、コロナが少ない地域に相対的に多く(人口や感染者に対してのワクチン量が多い)のワクチンが納品、接種され続けている傾向があると複数の方から聞いています。大阪などで感染者が急増した要因の一つにワクチンの偏在があるのではと感じています。
優先接種の対象から産業医、保健師、助産師(助産所で働いている場合)といった有資格者が外されていることに疑問を感じます。産業医や保健師は企業内で多くの会議に出席します。癌や糖尿病などの病気を持つ方と個室で面談は日常で、社外との接点も多くあります。助産師さんは妊婦さんや新生児へ医療を行う立場です。
司法関係者から裁判所や検察庁で働く人も優先接種の対象にならないと聞いています。裁判官や検事は日本に3千人ほどしかおらず、司法関係者に新型コロナが流行すると司法が止まってしまい、大変なことになってしまいます。当社のお客さまである公共交通機関や学校からも優先接種の対象外だが、社会から事業の継続を求められているとの相談を受けています。
CNNによると疾病対策センター(CDC)のガイドラインでは、「ワクチン接種の優先順位は、医療従事者と長期ケア施設の入居者を最上位、次が75歳以上の高齢者とエッセンシャルワーカーのうち消防士や刑務官、公共交通機関の労働者など医療関係以外の人々、その次に65~74歳と16~64歳で医療的に高いリスクのある人」とのことです。私は日本もこれに準じた対応が望ましく、助産師さんや、公共交通機関の職員、司法関係者にも優先接種すべきと考えます。
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