年々多くの企業で働き方改革が行われ、時間外労働が厳格に管理されたり、メンタルヘルス対策が実施されるようになりました。衛生管理、健康管理の一貫で、今まで衛生管理者が選任されていなかった事業場で、衛生管理者が選任されるようになっています。
働き方改革や健康経営の観点から、衛生管理者が活躍する場は今後も増えることが予想されています。衛生管理者は事業場内で、健康・衛生管理業務に関する業務を担います。

衛生管理者を必要としている企業は多い

企業が必要とする衛生管理者の数はずっと足りていません。
「衛生管理者が足りない」、「衛生管理者が退職して困っている」、「衛生管理者が人事異動となり本社に居なくなった」というお客さまからの声を何度も聞いてきました。昨今は働き方改革や健康経営を実施する企業が増えていることから、今までよりも衛生管理者を求める企業が増えています。
社内で衛生管理者の教材や受験費用を支給したり、衛生管理者免許の有資格者に毎月手当を出している企業もあります。
衛生管理者が足りていない企業では、衛生管理者の資格を持っていると、会社内で一定の立場を確保できる可能性があります。

衛生管理者が選任されていないと罰金?

労働安全衛生法では、非正規雇用のアルバイトやパートタイムの社員を含め、常時50名以上の労働者が就労する事業場では、衛生管理者を選任し、労働基準監督署へ届け出る必要があります。50名以上の場合は衛生委員会の開催義務、産業医の選任義務もあります。
衛生管理者未選任の場合には、50万円以下の罰金が科されます。
参照:衛生委員会と選任の早見表

今後は今よりも衛生管理者が必要とされる

今後も衛生管理者の未選任については労働基準監督署から厳しく指導されることが予想されます。
監督署対策だけではなく、企業の労働環境の改善に衛生管理者の存在が不可欠です。
今後は今よりも労働者の獲得が困難となることが予想されます。働きやすい職場環境が企業の成長に必要なため、衛生管理者による職場環境の改善の機会が増えます。
衛生管理者免許を取得する際の受験勉強、衛生管理者としての衛生委員会への参加などを通して、職場の健康や衛生管理に関する知識が身に付きます。職場でのスキルアップや、自らの働き方や健康を見直す点から、衛生管理者免許の取得をご検討下さい。

アニサキスは魚介類に寄生する寄生虫の一種です。
長さは2センチ程度であり、肉眼で見ることができます。食中毒の原因となるウイルス(ノロウイルスなど)や細菌(サルモネラなど)は寄生虫よりも非常に小さいため、肉眼で確認することはできません。

アニサキスが寄生している生の魚介類を食べることで、アニサキスが消化管の内に入ります。アニサキスが胃や腸の壁に侵入し、腹痛などの消化器症状が出現します。

治療は内視鏡による摘出術で、ウイルス性の食中毒と同様に抗生物質の効果はありません。

原因

アニサキスが寄生している魚介類が原因です。鮮魚売り場で売られているタラやサンマにおいて、時々アニサキスを見つけることができます。最近は「魚にアニサキスが寄生していることがあります」という注意書きが貼られてることがあります。

症状

消化管に入ったアニサキスが胃壁や腸壁に入り込み、腹痛が生じます。かなり強い腹痛です。

予防

治療

A型肝炎ウイルスによる感染症で、時に急性肝炎となり、重症化することがあります。
A型肝炎ウイルスはワクチンで予防できます。
肝炎ウイルスはA型以外に、B型、C型肝炎ウイルスなどがあります。B型やC型肝炎ウイルスとは異なり慢性化することは無いといわれています。B型やC型肝炎では慢性肝炎になり、肝硬変や肝臓癌につながることがあります。
国内におけるA型肝炎の感染事例は少なく、海外渡航の際に感染することが多いです。

症状

主な症状は発熱と消化器症状です。
  • 潜伏期間は約1か月
  • その後に発熱、倦怠感、食欲不振、嘔吐、黄疸など
  • 小児は症状が出ないことがある

原因

  • A型肝炎ウイルスに汚染された生の魚介類、水
  • A型肝炎ウイルスで汚染された人の手や包丁などで調理した食品

予防

  • 中心まで十分に加熱する
  • 新鮮なものを購入し、冷蔵庫に入れて保存し、早めに食べる
  • 魚介類を触ったら、よく手を洗う
  • 生の魚介類用の包丁とまな板を用意し、他の食品ではこれらを利用しない
  • 調理器具を消毒する
  • 食中毒にかかった人の便や、吐瀉物をさわったら石けんで手を洗う
  • A型肝炎が流行・発生している海外の地域へ旅行するときは、生水や生ものを避ける
  • ワクチン接種

治療

ウィルスによる感染症のため、抗生物質は無効です。
対症療法を行います。
A形肝炎ウイルスにはワクチンがあります。ワクチンは3回接種する必要があります。ワクチンで抗体が獲得できれば、A形肝炎ウイルスに汚染された食品を食べた場合に発症するリスクを減らすことができます。
海外赴任の際にワクチン接種を行う企業があります。海外出張が多い労働者に接種を勧奨する企業もあります。海外へ渡航する際には生の海産物を避けたり、安全な水を選ぶ必要があります。
ノロウイルスは感染力が非常に強く、時に激しい下痢や嘔吐が続き、小児や高齢者では重症化することがあります。
ノロウイルスのようにウイルスが原因の食中毒では抗生剤の効果はありません。
同じウイルス性食中毒のA型肝炎ウイルスはワクチンで予防することができますが、ノロウイルスはワクチンで予防することができません。
冬期に発生することが多い食中毒ですが、夏期に牡蠣を食べて発生することがあります。
幼稚園、保育園、老人施設、病院などでノロウイルスが発生した場合、吐瀉物や下痢便の処理を誤ると、集団発生につながることがあります。
飲食店の従業員がノロウイルスに罹患していると、提供した食品を通じて感染が広がることがあります。
ノロウイルスの流行期(冬)に、ウイルス性腸炎という診断書が出された場合には、ノロウイルスによる腸炎と考え、休ませて下さい。

症状

主な症状は激しい消化器症状です。症状は数日しか続きません。
  • 潜伏期は1~2日
  • その後に、健康な大人でもぐったりする程の著しい症状
  • 嘔吐、吐き気、激しい下痢、腹痛
  • 発症から3日以内に回復

原因

食中毒としてウイルスが含まれる牡蠣を食べて感染する場合と、二次感染としてノロウイルス感染者の吐瀉物や大便の処理をした際に感染する場合があります。
下痢や嘔吐が治まった後も、1ヶ月程度大便にウイルスを排泄し続けることがあり、職場内や家庭内でノロウイルスが長期間、多発することがあります。
  • ノロウイルスに汚染された生の二枚貝(牡蠣など)
  • ノロウイルスで汚染された人の手や、包丁などで調理した食品
  • ノロウイルスに罹患した人の便や吐瀉物

予防

食中毒対策と、二次感染対策に分けて考えます。ノロウイルスはアルコールに対する耐性があり、アルコール消毒は無効です。次亜塩素酸ナトリウムで消毒を行います。取っ手などの金属を次亜塩素酸ナトリウムで消毒すると腐食するため、次亜塩素酸ナトリウムで消毒したらすみやかに水拭きをして下さい。

食中毒対策

  • 生食を避ける。生食をする際には食べる量を減らす
  • 中心まで十分に加熱(食品の中心部が85~90℃で90秒間以上の加熱)
  • 新鮮なものを購入し、冷蔵庫に入れて保存し、早めに食べる
  • 二枚貝を触ったら、よく手を洗う
  • 生の二枚貝用の包丁とまな板を用意し、他の食品ではこれらを利用しない
  • 調理器具は次亜塩素酸ナトリウムで消毒する

二次感染対策

  • ノロウイルスにかかった人の吐瀉物や便を処理する際にはマスク、手袋、エプロンなどで防護し、密閉した状態で破棄する
  • ノロウイルスで汚染された床は次亜塩素酸ナトリウムで消毒する。アルコールは無効
  • ノロウイルスで汚染された衣類は次亜塩素酸ナトリウムで消毒するか、破棄する
  • ノロウイルスの流行時期に下痢や嘔吐がある場合には通勤しない
  • トイレを清掃する際も次亜塩素酸ナトリウムを用いる

治療

ウィルスによる感染症のため、抗生物質は効きません。
対症療法を行います。

幼稚園や保育園、医療福祉施設、調理従事者は、ノロウイルスの流行期(冬期)に、嘔吐、吐き気、下痢、腹痛、発熱といった症状があれば、仕事を休んで下さい。それ以外の業種でも休むことが望ましいです。
消毒はアルコールではなく、次亜塩素酸ナトリウムを利用します。

医療機関での検査

インフルエンザウイルスのように、ノロウイルスも迅速検査(ノロウイルスの抗原定性検査)を行えます。ノロウイルスの検査は健康保険についての制約があるため、全ての患者さまで行うことはできません。ノロウイルスの検査を行わずに、臨床経過と病状から「ノロウイルスによる腸炎」と診断することが多いです。

ウイルス腸炎とノロウイルスによる腸炎

ウイルス性腸炎はウイルスが原因の腸炎です。ノロウイルス、アデノウイルス、ロタウイルスなどが原因です。ノロウイルスによる腸炎はウイルス性腸炎に含まれます。
ウイルス性腸炎という診断書が会社に提出される機会は頻繁です。ノロウイルスの流行期はウイルス性腸炎という病名をノロウイルスによる腸炎と考えて下さい。ウイルス性腸炎だから出勤してよいという判断をすると、感染者が職場で下痢や嘔吐をした場合に、職場でノロウイルスによる集団感染が起こることがあります。

胃腸炎と腸炎

胃腸炎と腸炎は胃の症状があるかどうかです。下痢に加えて吐き気や嘔吐がある場合には胃腸炎、下痢だけの場合は腸炎です。

冬にウイルス性胃腸炎やウイルス性腸炎という診断書が出された場合はノロウイルスを必ず疑って下さい。

他の細菌による食中毒とは異なり、細菌が作る毒素による食中毒です。
毒素が原因のため、細菌そのものに効果を発揮する抗生剤は無効です。

他の食中毒は1〜3日後に症状が出ることが一般的ですが、黄色ブドウ球菌による食中毒は数時間後に症状が出ます。昼に食べた食品が原因でその日の夜に症状が出るようなイメージです。

原因

黄色ブドウ球菌はヒトの皮膚に存在するため、手などに触れる食品が原因となります。 菌は熱に弱いのですが、菌が作る毒素は熱に強く、食品を加熱しても食中毒が起こす場合があります。
  • 加熱後に手作業を行う食品
  • おにぎり、いなりずし、巻きずし、弁当、調理パン

症状の特徴

  • 食後1~6時間で発症
  • 吐き気、嘔吐、腹痛、下痢
  • 発熱はないことが多い

予防

  • 手にケガをしているときは調理しない
  • 調理前によく手を洗う
  • 食品は冷蔵庫に入れて、菌が増えないようにする
  • 髪の毛やつばが食品に入らないようにする気を付ける
  • おにぎりを握るときにラップを使う(ビニール手袋も有用)

治療

抗生剤は効果がありません。対症療法となります。
カレーやシチューといった、作り置きをして再加熱して食べる食品で生じることが多い食中毒です。

ウェルシュ菌とは

ウェルシュ菌は人や動物の腸管、土壌など存在しています。嫌気性菌に分類され、酸素が無い環境を好む細菌す。カレーの中身は無酸素状態になるため、再加熱をする際に、十分に加熱をしないと細菌が増殖します。
牛肉、豚肉、鶏肉で検出されることが多いのです。人の便から検出されることもあります。
熱に強い芽胞となるため、高熱でも細菌を死滅されることが難しく、食中毒の原因となります。

原因

  • 加熱調理した後、室温で冷まして放置し、再び加熱することを繰り返した食品が原因になりやすい
  • 煮物、カレー、シチュー、スープなど
  • 給食、出店など、一度に大量に調理した食品が原因になる
  • 嫌気性菌なので酸素が少ない状態で細菌が増えることが特徴です

症状

  • 食後8~20時間(平均10時間)
  • 腹部膨満、腹痛、下痢
  • 嘔吐、発熱はほとんどおこさず、通常は1日程度で回復

予防

  • 作りおきの料理を食べる場合は、十分に加熱する
  • 加熱調理したものは、できるだけ早く食べる

治療

抗生剤で治療をします。
大腸菌は動物や人の大腸の中にいるため、大腸菌と名付けられました。
ほとんどの大腸菌は無害ですが、下痢などをおこす一部の有害な大腸菌を「病原性大腸菌」と呼びます。
病原性大腸菌のうち、毒素を作って出血を伴う下痢を起こすものが「腸管出血性大腸菌」です。
O157の他に、O111、O26などが有名です。O157のことを、O-157とハイフンありで記載することもあるようですが、このページではO157と書きます。

O157とは

O157は毒性の強いベロ毒素を産生する大腸菌です。
抵抗力の弱い小児や高齢者では重篤な症状になることがあります。
O157による食中毒は大きな事件となることがあり、テレビや新聞でO157について何度も報道されています。
飲食店では、鮮度や温度管理、食器の定期交換、従業員の健康管理などでO157を防ぐ必要があります。
当社のお客さまでは鮮度管理の遵守、定期的な消毒、加熱の徹底、トングの定期的な交換、出勤時の体調報告などで0157による食中毒を予防しています。

O157の原因

以下の食品がO157の原因として特定、推定されています。
もちろんO157に汚染されていない場合は発症しません。汚染されていても、毒素が少ない場合や、免疫力が強い場合は発症しないことがあります。
  • 牛レバー、ハンバーグ、牛タタキ、ローストビーフなどの加熱不足の肉
  • 殺菌されてない井戸水や湧き水
  • 有機栽培の生野菜

症状

1週間前後で激しい腹痛と下痢を起こすことが特徴です。
時に腎不全などの合併症で致死的となることがあります。
全く症状が出ない人もいます。
  • 食後3~8日
  • 激しい腹痛、頻回の下痢、下血
  • 子どもや高齢者では、貧血・腎不全・けいれんなどにより、致死的となることがあります(溶血性尿毒症症候群、HUS)

予防

  • 生鮮食品は新鮮なものを購入し、冷蔵庫に入れて保存し、早めに食べる
  • 肉を触ったら、よく手を洗う
  • 包丁やまな板を使うときは、生の肉は後で切る
  • 生の肉用の包丁とまな板を用意し、他の食品ではこれらを利用しない
  • 中心まで十分に加熱する
  • 調理器具を消毒する
  • 調理器具を定期的に交換する
  • 殺菌されてない井戸水や湧き水などは飲まない
  • 生野菜の洗浄を十分に行う

治療

  • 必ず医師の診察を受けて下さい。
  • 市販の下痢止めなどを利用すると、O157自体やベロ毒素が体外へ排出されにくくなるため、病状が続くことがあります。
  • 抗生剤で治療をします。
  • HUSになった際は人工透析などの全身管理が必要になることもあります。
食肉などを介して感染し、時に神経障害の後遺症を残すことがあります。
英語ではCampylobacter jejuniと記載するため、カンピロバクターのことをキャンピロバクターと記載している場合があります。

症状

  • 食後2~7日
  • 下痢、血便、発熱、おう吐、腹痛、筋肉痛
  • 数週間後に、手足や顔面の麻痺などを起こすことがある(ギランバレー症候群)

原因

  • 加熱不足の肉(特に牛肉、鶏肉)や、生の牛レバー
  • 殺菌されてない井戸水や湧き水(動物のフンに汚染されている可能性があるため)
  • ペット

予防

  • 生鮮食品は新鮮なものを購入し、冷蔵庫に入れて保存し、早めに食べる
  • 肉を触ったら、よく手を洗う
  • 包丁やまな板を使うときは、他の食品を調理した後に生の肉を切る
  • 生の肉を調理するための専用の包丁とまな板を用意し、他の食品ではこれらを利用しない
  • 中心まで十分に加熱する
  • 調理器具を消毒する
  • 殺菌されてない井戸水や湧き水などは飲まない
  • ペットと遊んだ後は手を洗う

治療

抗生剤で治療をします。
海水中に含まれている細菌で、海水温が高くなると細菌が活発になります。
海水で生息する魚介類が原因で食中毒になることがあります。

腸炎ビブリオによる食中毒の特徴

生の海産品が原因です。
海産品を調理した調理器具を十分に消毒しない場合、その調理器具を利用すると二次感染を起こすことがあります。

原因

  • 生魚介類。刺身や寿司など
  • 生の魚介類を調理した調理器具で扱った食品

症状

  • 食後4~72時間
  • 激しい下痢、血便、腹痛、発熱

予防

  • 生鮮食品は新鮮なものを購入し、冷蔵庫に入れて保存し、早めに食べる
  • 魚介類は流水でしっかり洗う
  • 生の魚介類にさわったら、よく手を洗う
  • 包丁やまな板を使うときは、生の魚介類は後で切る
  • 生の魚介類用の包丁とまな板を用意し、他の食品ではこれらを利用しない
  • 中心まで十分に加熱
  • 調理器具を消毒する

治療

  • 必ず医師の診察を受けて下さい。
  • 市販の下痢止めなどを利用すると、腸炎ビブリオ菌が体外へ排出されにくくなるため、病状が続くことがあります。
  • 抗生剤で治療をします。